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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ミィツケタ…【16話更新!!】 ( No.43 )
- 日時: 2012/07/29 13:17
- 名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
18話(巧SIDE)
日室を連れ、二階へと上がる。先ほど、五十嵐に化けたぬいぐるみに…いや、あの子にだまされた場所。一段、一段…確かめるように登っていく。
2人とも靴下で上ってるから、そんなに音はしない。静寂があたりをつつむ…はずだった。
ジャリッ、ジャリッ。
突然、あたりの静寂を何かの音が打ち破った。細かい何かがこすれあう音。どこかで聞いたことのある、そう…
「米の…音…?」
日室がつぶやく。背筋に悪寒が走った。
ぬいぐるみが…来たのか…!?
「っ!!日室、早く!!」
「おっ、おう!!」
僕は急いで走り出した。見つかり、つかまったら一巻の終わりだ。みんなを助け出すことはできなくなる。つかまる前に、どうか…!!
…必死の願いも、このかくれんぼは聞き入れてくれなかった。
階段を登り切った時、僕の目の前に、誰かが立ちふさがった。
「…!!」
暗闇の中、少女は笑う。右側でサイドテールにし、赤いリボンを結んだ髪の毛。白いシャツに、赤いワンピース。そして10歳くらいの、その風貌。
「…久しぶり、たっくん。」
日室の顔が驚愕に歪むのが分かった。
「この声…ぬいぐるみ…!?」
日室は信じられない、といった表情で僕を見る。
「野本…お前、知り合いなのか!?」
「私とたっくんは、幼馴染だよ。」
少女はくすくすと、無邪気に笑った。その笑い方、笑顔、何も変わってはいない。でも、今の彼女は昔の彼女じゃない。いったい、どうして。
「結愛…。」
呼ぶ。その名前を、4年ぶりに、呼ぶ。
結愛と書いて、ゆうあと読む、その名前を。
「こんばんは。」
結愛はまたくすくすと、でもさびしそうに笑った。
この世に存在しないことを、嘆くかのように。
モウイイカイ
マアダダヨ
モウイイカイ
モウイイヨ
ミィツケタ…
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