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Re: ミィツケタ…【16話更新!!】 ( No.44 )
日時: 2012/08/14 09:57
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

19話

「結愛、何で…何で、こんなことを。」
「たっくん。」
僕の言葉をさえぎり、結愛は口を開く。
「お姉ちゃんを怒って。お願い。」
「…なんで?」
「お姉ちゃんは、置き去りにしたの。私を。置き去りにして、逃げたの。私は、逃げられなかった。熱かった。本当に熱かった。熱かったの、熱かったの、熱かったの!!」
感情が高まったのか、結愛は、絶叫する。あの日のことだ…すぐにわかった。
でも、違う。君は勘違いしている。まさか、この誤解のために、結愛は…!?
「結愛、違う、違う!!君は…。」
「ねえ、たっくん。これだけ教えてくれればいいの。私と一緒に、お姉ちゃんを怒ってくれる?」
誤解の中で憤る少女に、僕の声は届かない。「怒る」…ただ怒るだけじゃないだろう。この子は復讐したがっているのだ。
「…結愛。」
結愛を見る。頼む、結愛。間違ったことをしないでくれ。
「僕は…しない。怒らない。だから。」
だから。
「だから…結愛、やめてくれ。君は勘違いしてる。間違ってる。」
「まちがっ…て、る?」
結愛の目が一瞬暗くなった。底なしの目。瞬間、結愛の姿がかき消えた。
「ぐはっ…!!」
「日室!?」
日室の喘ぎ声で、はっとした。声のほうを見やり、絶句する。
「ねぇ、たっくん。」
怪しげな笑みを浮かべ、結愛は日室の首を絞める。そんな、いつのまに…。
「私の見方、してくれるよね?」
結愛の声が耳元で聞こえ、悲鳴を上げた。日室の呻く声。そして、冷たい手の感触。
「っっあああああっ…!!」
結愛は左手で僕を、右手で日室を締め上げている。ばかな。10歳の女の子に、そんなことができるはず…。
そういった思考も、苦しさにかき消えていく。闇が深くなり、視界は黒く塗りこめられていく。
「…結良あああああああああっ!!」
最後に思い浮かんだ少女の名前を、叫んだ。