ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 緋導ク者トナレ Goddess of Skeleton ( No.2 )
- 日時: 2012/01/29 21:59
- 名前: 栩堂護刃 ◆Kqe55SnH8A (ID: UgN/I8x0)
- 参照: 【忍者】http://kudouyuzuriha.kagome-kagome.com/
黒髪が何処からか吹いてきた風に踊った。
「退いて。貴方とは戦いたくない」
急所目掛けて放たれた刃を俺は辛うじて避けた。無様に転がる俺は立ち上がろうともがきながら其の言葉を聞いていた。
「!」
答える間も与えず襲ってくる追撃。大きく跳躍した、だけど全く隙のない彼女の振り下ろされた太刀は大地を大きく抉った。
「もうやめろ!」
俺は叫び、再び翻された横薙ぎの一閃を片手で受け止めた。パシッと心地よい乾いた音が起ち、続いて温かい液体が滴り落ちる。
赤い、液体。
「っ、あ……さ、いきっ…離してっ…!!」
不思議と、痛みは無い。
「帰ろう、お前は何でも頑張りすぎなんだ」
◇◇◇
御巫霞月(みかなぎ かづき)。中学校三年生の終わり、受験が迫っているこの時期に彼女は転校してきた。黒髪碧眼のその美少女は数ミリ程度の低頭をした。サラリと黒髪が流れ落ちるのをクラスメイトはほぅ…と息を飲む。まあ確かに今世紀最高の美少女かもしれないが…。
彼女はなぜこんな時期に転校して来た? ここは小学校からエスカレーター式の私立学校だから高校受験も楽と言えば楽だけど、さすがに今の時期だと学力検査を受けなくてはいけないだろう。さらに重ねて能力検査を受けた上でやっと高校進学が決まる筈だが。それはあくまでもそうなるかもしれないだけであって可能性は極めて稀である。
だったら、何故……、
「っ!」
思わず立ちあがった。机が、椅子が音を起てる。
微かだが明らかに睨まれた。自信過剰とかじゃなく、なんかこう…。
「……ちっ」
思わず舌打ちをしてしまった。
——————殺気。
こう言ったほうがしっくりと来る。
睨まれた、とかそんな生易しいモノじゃない。吐き気を感じ逃げ出したくなる初めてのこの感覚。
肌がピリッと焼け身体中に凍った血が無理矢理流れるような感覚。思わず背筋が伸びた。
何故…考えても答えが分かるわけでもなく。しょうがなく俺は手を挙げた。
「せんせー、俺が彼女の校舎案内と検査の監査やりますよー」
「ああ、ありがとう豪我」
なんでお前が俺を睨むのか、確認してやろうじゃないか。御巫霞月を睨み返す。
——————と。
何故か目を逸らされた。