ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.1 )
- 日時: 2012/01/30 20:23
- 名前: 織也 (ID: sp6Br4Ue)
Episod01;Beginning
「ちょっと、何で先に出ちゃうのよ!!」
「何でって・・・お前、声掛けても起きなかったから」
「待っててくれたっていいじゃない!!いじわる!!」
「はいはい。ほら、朝礼に遅れるぞ」
朝早い時間。まだ学生とも言える年齢の少年と少女が戯れていた。
少年は軽く笑いながら少女の手を引き歩く。
そして、文句を言いながらも楽しそうに手を引かれる少女。
表情、言動ともに年相応ではあるが、
身を包むその服は、少年少女と言うには似つかわしくないものであった。
黒い、死の匂いを漂わせるような漆黒の服。
所々に銀のラインがあしらわれているが、黒が大部分を占めている。
重々しい雰囲気を持つそれは、彼らのれっきとした制服である。
学校のものではない。
・・・・・彼らは、ある機関に属している公務員だ。
高くそびえ立つビルに入ると、検問所の様なものがあり近くには警備員が気をつけの状態で立っていた。
「おはようございます。芹沢 暁(せりざわ あかつき)、<SMS>です」
「同じく<SMS>の初恋 ゆづき(はつもの ゆづき)です」
少年、暁と少女、ゆづきは胸ポケットからIDカードを取り出し、パネルにタッチしてゲートをくぐる。
警備員はそれを見て敬礼し、また元の体制に戻った。
ゲートから数歩ほど歩いた所に沢山のエレベーターが設置されていて、どの扉の前にも行列ができている。
しかし、一番右奥のエレベーターには行列は出来ていない。
にも関わらず、誰もそのエレベーターを使おうとはしないのだ。
だがそれは、この機関に所属する者たちにとっては至極当然のこと。
・・・・そこは、<特別>だからだ。
暁とゆづきは、迷うことなくその右奥のエレベーターに向かう。
<下り>のボタンを押して待っている二人に、後ろから話しかける者が一人。
「お。暁とゆづ、おはよう。朝から仲いいねぇ」
「!!夕顔先輩」
「げっ、弘一!!!!何で居んの?!」
「何でって・・・・まあ、お仕事ですからね」
弘一は二人に軽く挨拶すると、一緒にエレベーターを待つ。
他愛もない談笑に花を咲かせ、盛り上がっているとようやくエレベーターの扉が開く。
中に入る途中に、弘一がそういえば。と声を上げた。
「暁、ゆづ。今日から特務が下されることになったらしいぞ」
弘一の言葉に、暁とゆづきは気を引き締めた。
彼等<SMS>に特務なんて、滅多になかったからだ。
・・・・・・そしてこれが、すべての始まりになる・・・。