ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.2 )
- 日時: 2012/01/30 22:14
- 名前: 織也 (ID: KuHgV/y.)
Episode02;Encounter
今日、世界ではある人間達によって安寧が奪われようとしていた。
人智を超える、人ならざる能力を持つ者。
_アブノーマラーだ。
古来より発現が確認されてきた能力者だが、その数は増加傾向にあった。
世界の各機関は増加する能力者の反発を恐れ、公的に管理・制御することを決め、公的機関設置。
それが暁達の所属する機関_世界能力者保護機関、通称WLPOである。
表向きは様々な課に分かれ能力者の登録・管理をするのだが。
・・・国家機密を負う裏の課が存在していた。
_SMS。
特別魔法課。この課に所属する全ての人間は能力者であり、
WLPOに登録しない能力者、アブノーマラーを捕縛する任務を負う。
デスクワークが主だが、戦闘などもかかせない危険な場所である。
・・・そんな彼らに下された特務とは・・・。
「・・・潜入捜査、ですか・・・・・・?」
そうだ。と眉間にしわを寄せたひげ面の男がデスクに肘をつき、三人を睨みつける。
「ある学園にアブノーマラーが潜伏しているという垂れ込みがあってな、事実かどうかを調べてほしい。
詳細はこの書類に記載している。定期報告を忘れるな。・・・健闘を祈る」
「「「了解!!!」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「よーし、お前ら注目しろよー。今日は転入生が二人も来てるからな!!仲よくしてやれよ?はい、じゃあ自己紹介して」
明るい物言いで促す教師に少し戸惑いながらも、暁は深呼吸して話し始める。
「えっと、芹沢 暁と言います。この大きなホーピアナーズ学園で新しく生活させていただきます、よろしくお願いします!!」
「暁は固いなあ。初恋 ゆづきです!!勉強は大体苦手です、皆と仲良くなれるように頑張るのでよろしくお願いします」
歓迎の拍手が響き、笑顔が生まれる。
そんな光景に暁もゆづきもほっとした。
・・・WLPOではいつも気を抜けない状況だったからだ。
「じゃあ芹沢に初恋、よろしくな。じゃあ席に着いてくれ。初恋は吉屋の横で、芹沢は藤崎の横だ」
名前だけを言われても、どこだか分からなさそうだが。
ご丁寧に全員の机の前部分にローマ字で名前が書いてあった。
暁は気をつけながら<藤崎>の名前を探す。
『ふじさき、ふじさき・・・・・・あ』
教室の一番後ろの窓際の机に<FUJISAKI>という字を見つけたのだ。
すぐにその横の空いている席に座り、隣の藤崎という人間に話しかける。
「あの、芹沢 暁です。よろしく」
「・・・・・・」
暁に声をかけられたその人間は、窓の方に向けていた視線をそちらに向けた。
肩から、長く艶やかな黒髪がさらりと零れた。
「・・・・藤崎 詠律(ふじさき ありあ)・・・」
「・・・・・・・え?」
少女の言葉に戸惑う暁。
しかしそんな彼を他所に、彼女はまた言う。
「藤崎 詠律。私の名前。貴方は芹沢 暁くん。・・・合ってる?」
「あ、ああ、そう。合ってるよ」
「そう。なら、いい」
そう言うとまた少女、詠律は窓の外に視線を向けた。
不思議な子だなあ。と暁は思ったが、あまり気にも留めずにもらったばかりの教科書を開いた。
・・・全ては必然なのだと、知らないまま・・・・・・。