ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.6 )
- 日時: 2012/04/02 23:08
- 名前: 織也 (ID: l0EYH8mH)
Episode06;Puzzle
「・・・・暁、どうしたの?」
「・・え?な、何が・・・・?」
「いや、あんた昨日からなんか様子が変だから・・・」
そういわれて、暁は顔を真っ赤にした。
暁に関しては敏感なゆづきがそれを見逃すわけもなく・・・。
「・・・・藤崎さんと何かあったの?」
「っ、何にもないって言ってるだろ!!!!」
暁はゆづきの手を払いのけて、学校へと走って行った。
それを、ゆづきは寂しそうな目で見つめていた。
払いのけられた手を、強く握りしめながら・・・・・。
『昨日の今日だぞ・・・・藤崎さんにどんな顔で会えばいいんだよ!』
暁は昨日のことを思い出していた。
二人きりで歩いていた廊下。
疑問しか抱いていなかった彼女に対して俺は・・・・・・。
_私は、藤崎 詠律。それ以外の何者でもない・・・・・
その言葉に強く惹かれて、憧れて、焦がれて、・・・・・・
彼女の肩を強く抱き寄せ、紡がれる言葉を封じるように・・・キスをした。
「・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!!!!」
思い出して恥ずかしくなった暁は、また顔を真っ赤にしてしゃがみこんだ。
なぜ彼女に対してあんなことをしてしまったのか。
・・・・・・史上最大の謎だ。
悩み、寝られなかったせいで寝不足の頭痛が襲う。
「・・・・何してるの、暁君」
「っ・・・・・・!!」
上から降ってきた声に驚き、顔を上げる。
そこには、思考の渦中の人物、詠律が立っていた。
何の感情も浮かんでいない瞳が、真っ直ぐに暁を見つめる。
「・・・具合、悪いの・・・?」
「いや、具合悪くは・・・・・・・・」
ない。
と言い切る前に、詠律が暁の手を握った。
どくり。
暁の鼓動が強く脈打つ。
「<あなたはどこも悪くない、痛くない、苦しくない>・・・そうでしょ?」
「・・・・え、あ・・・・・・」
不思議なことに、先ほどまでの頭痛は治まっていた。
「・・・学校、早くいかないと・・・・・・」
「あ、ああ、そうだな・・・・・・」
詠律は、暁の手を握って立ち上がるように促す。
暁もそれに応えて立ち上がる。
そしてそのまま歩こうとした・・・・しかし。
「っ・・・・・・・・・・・・・」
「!!何をするんだ、ゆづき!!!!!!!!!!!」
ゆづきが二人の間に割って入り、詠律を突き飛ばした。
詠律は地面に突っ伏した。
「貴方なんなの!暁に変なことしないで!!もう二度と関わらないで!!」
「・・・・・<関わらないで>・・・・・・」
詠律はまた繰り返し、今度はゆづきを見つめる。
「それは、無理・・・何故なら私が関わることを望むから。願うから・・・・」
「っ、私だって、あなたと暁が関わらないことを望むわよ!!」
「・・・・・・・・」
詠律は少しの間目を伏せて、もう一度瞳にゆづきを映した。
「<拒否>」
「!な、なに・・・・」
詠律の言葉にゆづきは戸惑う。
「<拒否、拒否、拒否。貴方に私は捕われない、縛られない、絡め取られない。貴方の意思を拒否>・・・・・いいよね?」
「っ・・・・・・・うっ・・・・・」
ゆづきは何も答えない。
詠律はそれを見た後、暁を見た。
「じゃあ、また学校で。暁君」
「あ、また後で・・・・・・・・」
暁は詠律を見送る。
ゆづきの方をちらりと見つめれば、険しい顔をして俯いているばかり。
『そういえば、藤崎さん・・・・・・・』
俺のこと、暁君って呼んでた・・・・・。