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Re: トワイライト・カーニバル ( No.7 )
日時: 2012/04/21 18:50
名前: 織也 (ID: l0EYH8mH)

Episode07;Hate


「暁!!お昼ご飯は私と食べるでしょ?!」
「・・・・暁君、お昼ご飯・・・・・」
「〜〜〜〜〜っ・・・・・・」

俺は今、最大の危機に陥っているかもしれない。

ゆづきと藤崎さん、二人に両腕を引っ張られているのだ。


「あ、あの、藤崎さん、俺はゆづきと・・・・」
「・・・暁君、私とご飯食べたくない・・・?」
「っ、そ、そういうわけじゃ・・・」

でも、ゆづきと行かないと、定時報告ができない・・・っ。


俺たちの周りにギャラリーが増えていく。


ざわざわ、ざわざわ・・・・・



「えー?芹沢君と初恋さんって、付き合ってたんじゃないの?」
「藤崎と芹沢が恋人同士になったらしいぞ」
「ゆづきちゃんと藤崎さん、恋敵みたいよ?!」
「藤崎さん大人しいと思ってたのに・・・案外やるのね・・・」
「芹沢、転校早々モテるなぁ」


周囲の人間が、勝手なことを口走っていく。
勝手に、虚像の俺たちで面白がる。

やめろ。何も知らないのに勝手なことを言うな・・・。


・・・昔にも、こんなことが・・・・・・・?


「・・・・・・・・・・・・・暁君」
「っ、あ・・・・・・」


藤崎さんの言葉に、意識が覚醒する。
また、思考の海に沈んでいた・・・・・。


「・・・と、とにかく、俺はゆづきと「おーいゆづー、暁ー」」

暁の言葉を遮るように、弘一の声が教室に響いた。
教室中の視線が、一気に彼に向けられる。


「お。何?修羅場?いきなり青春してるじゃん暁〜」
「そんなのじゃありません!!」
「弘一!!丁度いいところに来た!!この子何とかしてよ!!!」
「ん?・・・・おー、君が詠律ちゃんか。俺弘一、よろしくね」


笑顔で手を差し出す弘一。
その手が触れるか触れないかの位置で、詠律は一歩後ろにさがった。
詠律の瞳と、弘一の瞳が、交錯する。


「・・・・え、なに、俺嫌われてる?あはは・・・」
「・・・・・・・・・」


微妙な距離で、戸惑うように笑う弘一。
それをいつもの無表情で見つめる詠律。


「・・・・・貴方、夕顔 弘一ね・・・」
「あれ、俺のこと知ってる?俺って実は有名人??」


ちゃらけた風に言うと、周りの女子から黄色い歓声が飛ぶ。
夕顔先輩の顔は世間でいう美男子、つまりはイケメン、というやつだ。
同級生は勿論、下級生にもその名は知れ渡っているらしい(ゆづき情報)
詠律さんもその取り巻きの類なのだろうか・・・。


「・・・知ってる、だって私、貴方のこと・・・・・・」





「・・・・・・・・大嫌いだもの・・・・・・・・・・」


そこにいた全員が呆然とした。
弘一だけは大きく笑っていたが。


「ははっ、面白いな詠律ちゃん!あははははっ!!!」
「・・・・・・・・・・貴方、苦手・・・・・」



詠律はそう言って暁の横を通って教室を出て行った。


「な、なんなのあの子・・・・やっぱり変だわ!!」
「おい、ゆづき!・・・・ゆ、夕顔先輩、あまり気にしない方が・・・」
「え?ああ、全然気にしてないよ?優しいなぁ暁は!」


「「「「「「夕顔先輩!!!!!!!」」」」」」


キャーキャーと弘一の周りに女子の群れができた。一瞬で。
あんな奴のどこがいいのよ。とゆづき。



「・・・・苦手、ね・・・」


弘一の呟きは、黄色い声にかき消された。