ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.9 )
- 日時: 2012/04/22 14:16
- 名前: 織也 (ID: PRhXGwDk)
Episode09;Mirror
「あああああああああああああああああああああっ!!!!!」
廊下に暁の絶叫が響く。
それは、そこに居たゆづきと弘一の鼓膜を揺らした。
「い、今の、暁の・・・・・?」
「行くぞゆづき!」
「う、うん!!」
教室の中、詠律は楽しそうに暁の頬を撫で続ける。
撫でられている暁は、カタカタと震え、言葉の羅列を吐き出すばかり。
「ふふ。早く起きろよ、待ちくたびれたぞ・・・?」
「ぅ、ぉれ、は、あ、あぁ、あ・・・・・」
「暁から離れなさい!!藤崎 詠律!!」
突然、教室のドアが開き、ゆづきと弘一が現れた。
ゆづきの瞳には憤怒の炎が宿っている。
「あら、千里眼。怒っているの?<大事な人>に手を出されたから?」
嘲笑うかのように、詠律は口角を上げて、暁の頬に唇を押し付ける。
その光景に、ゆづきは目を見開き、歯をギリッと食いしばった。
「暁からっ、離れろおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!藤崎 詠律あああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!」
「あはははっ!!!!!遊んでほしいの?!いいよぉ?遊んでやるよっ!!」
「ゆづき、おいゆづき!!」
弘一の静止を振り切り、ゆづきは叫ぶ。
「私の能力知ってるんでしょ?なら分かるわよね、あんたの行動は予想範囲内なのよ!!」
「お前こそ、私の能力をしってるんだろうな?千里眼」
「ふん、虚勢を張っても無駄よ。あんたに能力は無い!!それは千里眼で確かめたわ!!」
「あ、そう?それならいいんだけどぉ・・・・」
詠律は微笑を湛え、ゆづきの方を向きなおす。
ゆっくりと左手を翳し、さらに笑う。
「じゃあ当ててごらん、千里眼。私はこのあと何をするのか」
「挑発しても無駄よ、それくらい簡単に・・・」
それだけ言って、ゆづきの動きが止まった。
詠律は笑う。
「ゆづき?どうしたんだ?」
「嘘、だって、こんなことって、あるわけ・・・・」
「何も、見えない・・・・・・・・・・」
「早計はどうかと思うよ、千里眼?」
「っ、やっ」
いつの間にかゆづきの目の前には、詠律が立っていた。
反射的に攻撃しようと右手を振り上げたゆづきだったが、詠律はそれを簡単に受け止め、押し倒す。
「な、何で・・・・・」
「はっ、そんなことも説明しないとわかんないの?」
「説明は要らないよ、詠律ちゃん。いや、<藤崎 詠律>を名乗る君」
傍観していた弘一が、ゆっくりと近寄ってくる。
「ふふ、物分かりが良くて助かるよ。<オブザーバー>」
「そんなことまでわかるのかい、すごいね、君の能力は」
「君の能力は、全てをそのままに映す<ミラー>だね」
詠律の口元が、弧を描いた。