ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: トワイライト・カーニバル ( No.16 )
- 日時: 2012/06/30 21:25
- 名前: 織也 (ID: 4RLKS53x)
Episode15;Remind
一発の銃声。
それは確かに空間を裂いた。
しかし、その銃弾は詠律を貫通するには至らなかった。
「・・・・・暁、貴方・・・・・・・」
「・・・・・・・・やはり、ね」
弘一はまるでこうなることがわかっていたように笑った。
それに気付かず、ゆづきは信じられない、といった顔をした。
暁は、詠律を庇うように立っていた。
そんな彼の手は突き出すように翳されていて。
まるで銃弾を弾くようだった。
「・・・・思い出したよ・・・」
後ろにいる詠律を振り返る。
驚いたように、目を見開いている詠律と目が合う。
「俺は、こうする運命だったんだよな、詠律・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・あか、つき・・・・」
暁はうすく笑うと、二人の方を見つめた。
「すみません、俺は詠律を守らなくちゃいけない・・・・守りたいんです・・・」
サッ。と手を空を切るように振り下ろす。
銃弾はカラン。と音を立てて床に落ちる。
「<発動><雷神><思いを雷とせよ><決意を轟音とせよ><閃光となって彼の者たちの目と耳をくらませよ>!!」
そういった途端、まばゆい光と凄まじい音が辺りを支配した。
ゆづきと弘一は眩しさと五月蠅さに目と耳を庇う。
その隙に暁は詠律の手を握り締めて出口へと走り出す。
「行こう、詠律・・・・・!!」
「・・・・・・うん・・・・・!!!」
二人は何もないところにまで走ってきた。
荒廃した、ビル群のようなところ。
息を切らして、二人して地面に座り込んでいた。
「はぁ、はぁ・・・・ここまでくれば何とかなるだろ・・・」
「はぁ・・・・・ねぇ、ホントに、思い出してくれたの・・・・?」
詠律は疑うように暁に問うた。
それを聞いて、暁は笑った。
「思い出したよ・・・全部、あのときのことも」
「・・・・あのとき・・・」
「約束しただろ?忘れない、もう絶対」
「・・・やっと、思い出してくれたの・・・・暁・・・・!!」
詠律は、涙しながら暁に抱き着いた。
それに応えるように詠律を抱きしめ返す暁。
「大丈夫、あの約束は必ず守る」
「うん、うん・・・守って、約束・・・・守って・・・!!」
「必ず俺が、お前を殺してやるから」
歪んだ歯車は、歪みを廻す。