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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: —ごめんね。 ( No.4 )
- 日時: 2012/03/03 22:50
- 名前: 真紘 ◆AfmxfPFl7Y (ID: ok2.wYGL)
scene1 病室
—ピーッピーッ
ここは、病室。
真っ白な壁に埋めつくされた、何もない空間。
そこは、ただ、暇で。面白味なんて一つもない
こんなとこで一ヵ月も過ごすなんて、病んじゃいそうだな、私。
まだ体調は良くないものの、緊急手術で一命は取り留めたらしい。
あの時のことは、よく覚えてないんだ。
頭を打った衝撃なのかもしれない
真紘だけが悪いだけじゃない
私だって、悪かったところはあったと思う
今更後悔しても遅いけど、皆に『真紘のせいじゃない』って
言いたい。きっと、真紘はひどく責められていると思う
ただ時が流れる空間で、ずっとそんなことを思っていた。
病室の窓からは、時折桜が入ってくる。
もう4月の後半だから、大分桜は散ってきているけど
まだその花弁には、元気が残っていた、
『大丈夫だよ』
そんな言葉が聞こえるような気がした
桜—…桜に限ってということではないけれど、植物の命は儚い。
或時まで自分の蕾が花開くのを待つまで、長い年月をかけて。
いざ蕾を開かせたと思うと、刹那のように散って行って…
時折、無駄じゃないか—って思うことがある。
でも、そんなことを言っても、植物たちはそれを受け入れて
一生を過ごして行くんじゃないか。って、私は思う。
それを思うと、人間の人生も呆気ないんだな、って思う。
いつ死んだって、おかしくない
もしかしたら、私もあの時死んでいたかもしれない。
ひどく頭を打ったから、脳に損傷は残ったけど
十分生きてるから、それでいい。
少しでも生きれたなら、人生とかどうだってもいいんだ
どうでもいい。
有意義に過ごせれば、それでいいんだ。
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