ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 地獄のゲームをハジメヨウカ ( No.5 )
- 日時: 2012/02/19 17:51
- 名前: あずさ ◆r39666tJr2 (ID: 9FUTKoq7)
.第1話.
プルルル プルルル
誰だ…。朝っぱらから…。
俺は眠気なまこで机の上においてあった携帯を強引にとりボタンをおし耳におしあてる。俺は眠そうな声できいた。
「もしもし?」
「あ、たっくん起きた?おはようw」
この声は…日奈か。日奈は弾んだ声で言う。
「ねぇねぇ、今日何の日か知ってる?」
「え?」
俺はつい思惑の言葉を漏らした。電話口から日奈の少し怒ったような声が聞こえる。怒ったといっても日奈は怒ってもあんまりこわくない。
「もう!!今日は私の誕生日なんだよ?忘れたの!?」
そうだった。慌てふためきながらカレンダーにチラっと目をやると12の数字に水色の丸が囲まれていた。なぜ水色かというと日奈が好きな色だからだ。俺は頭をかきながら謝った。
「悪い、忘れてたわけじゃないんだ。ここ最近忙しくて」
俺の答えに日奈は小さく笑っていった。
「ふふwいいの、たっくんはいつも頑張りすぎだもん。今回は許してあげる、でもあまり無理したら許さないからね?」
「ありがとう・・・日奈」
「うん!じゃ、またあとでね」プチッ
そうか。今日は日奈の誕生日だったな。何かしようか。うん。ここ最近日奈とは学校でしか喋っていない。別に避けてるわけではない。ただ、衝動的に俺はいつのまにか付き合いが悪くなっていた。それは親友の遊馬からもいわれたことだ。
【お前、最近付き合いわりぃのな!】
その言葉が脳内を張り巡らせる。それはそうかもしれない。
だって中学生の俺にとって父親の死というものは過酷すぎる現実かもしれない。あんなに優しかった父がどうして病におかされなければいけないのかもわからなかった。神様は俺たちを見捨てたんだと勝手に思い込むこともあった。
もちろん、父親が死んだことは友達、いや遊馬や日奈にも言っていない。だからこそ俺の現状が知りたいんだろうな。
俺は制服を着て1階におりる。下では母さんが父さんの遺影の前で何度も何度も手をこすりあわせていた。そして俺の存在にきづいたのか、俺を見るなり狂気に満ちた目をしながら言った。
「どうして?どうしてうちの旦那が死ななきゃいけないの?ねぇ、拓真ぁ…」
わかるよ。母さん。でもこんな思いをいっても父さんは戻ってこないんだ。わかって?母さん…。
俺は母さんの視線から避け何も食べずに家をでた。
家の方から母さんの啜り泣く声が聞こえる。
俺だって泣きたいよ。母さん…。
