ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 地獄のゲームをハジメヨウカ ( No.8 )
日時: 2012/02/20 21:28
名前: あずさ ◆r39666tJr2 (ID: 9FUTKoq7)

          第3話


しばらくグラウンドを見ていると白石が鎌を持ったままこちらにゆっくり近づいてくる。俺は日奈の手をとり遊馬や皆にいった。

「皆、逃げよう!どこでもいい!できるだけ上の教室のどこかに逃げろ!そのまま鍵をかけてしばらくそこにいよう!」

「状況をしりたいときはどうするの?ずっとそこにいろっていうの?」

そう言葉を発したのは霧島、來。こいつは普段はのほほんとしててあまりそういう事柄には言葉を挟まないのに…。こういう奴だからこそ混乱して泣き叫ぶかと思ったのに。けど、声は震えている。わかってる。こわいんだな?ショックだよな。來は祐二と仲よかったもんな…。

俺は小さく微笑み、來に囁いた。

「状況なら便利な携帯があるだろ?それに俺はずっとそこにいろなんて一言もいってない。ただ今はこの場をやり過ごすにはどこかの教室に身を潜めておくことがいましなければならないことだとおもう。それに今、皆が一斉に動いたら…わかるよな?來」


來は顎に手を置き少し考えながら頷いた。

「そうだね。わかったよ、それじゃ無事を祈るよ拓真くん」

「あぁ!そっちもな!」

俺は來達に手をふり日奈・俺・遊馬と共に3階の1組の教室に隠れることにした。3階の階段をのぼるときふとグラウンドを見てみるとグラウンドではまだ生々しい祐二の遺体が見捨てられたようにあった。

可愛そうに…。あんなに無残な姿になって…。

今見た出来事があまりにも過酷すぎて俺は一瞬嘔吐しかけたが遊馬や日奈に背中をさすられ何とかそこは保てた。


「大丈夫か?祐二の死は残念だったけどさ、でもあいつも白石にあんなことしなければよかったんだよな。」

「あんなことしなっかたらこんなことにならなかったっていいたいのか?」

「え?い、いや、ちげぇよ…。」


俺はいつのまにか遊馬を睨み付けていた。だから遊馬は言葉がでなかったんだろう。

祐二があんなことしてもしなくても結果は【同じ】だと思う。
白石は昨日、転校前の学校で人を殺したと言っていた。だったら…だったら白石は…、でもなぜ殺したかにもよるな。もしそいつが祐二と同じことしたなら…今回は祐二があんなことしたから、になるけど…。でも本当にそうなのか…?


俺達は3回の廊下を進み1組の教室の中に入って身を潜めた。日奈は震える手で俺の頬を両手で優しく包んだ。

「あったかい?」

日奈は俺に気遣ってくれてるのだろう。でも、俺より日奈が寒そうだ。俺は小さく笑って言った。

「俺は大丈夫。それより日奈の方が寒いだろ?俺のカーディガン、きておけよ」

俺はカーディガンを日奈に優しくかけてあげた。日奈は目を瞑った。口元は微笑んでいる。遊馬は呆れた顔で俺達の顔を見比べながら言った。

「お前らこんな時でもいちゃつきやがって…。緊張感ってもんがねぇのか?」

「俺はあるぞw」

「本当かよーw」

「ああ!w」

俺達はいつものように接した。何か…、早くいつもの学校に戻りたいな…。そんなことを思ってるとスピーカーから不気味な女の声が響いた。

「私はさっき人を殺した。私の名は…白石 和子。人を殺すって…楽しいねwだって殺される人の顔ってすごく歪んで見えるもの…。でも…私が殺してもそれじゃ私が楽しめない…」


何が言いたいんだ?楽しめない?歪んで見える?おかしいぞ…。何もかも。スピーカーから微かな笑い声が聞こえる。

「私が望むものは仲間が仲間を傷つけるの。ふふ…楽しそうよね。私はそれを見るのが大好きなの。地獄のゲームに参加してくれるよね?」プツッ

そこでスピーカーからの声が途絶えた。


地獄のゲーム?仲間が仲間を傷つける…?


白石が望んでることは…仲間同士苦しむ姿ってことか…?