ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: bad doream. ( No.1 )
- 日時: 2012/03/02 19:26
- 名前: 程銀 (ID: 8HOrgkFF)
Round.1
その日、悪い夢を見た。
「ユリ、お早うっ!」
「ああ、如月さん…おはよう」
近所の同級生、如月紗江が、眠気全開の朝にも関わらず元気な声を出して挨拶をかます。
僕は曖昧な、しょぼい挨拶を返した。
如月は軽快に僕を追い越し、僕の前方で歩いている女子の方に向かって行った。
所詮は、挨拶など一つの義務に過ぎないのだ。
「ユリ、おはー」
「…遥…おはよう…」
「眠そうな声ー」
「…眠いもん」
一応仲の良い同級生、西原遥が僕の隣に居座る。
僕は眠い目を擦って、夢の内容を振り返った。
「…嫌な夢、見た」
「は?」
「今朝、嫌な夢、見ちゃってさ」
「あー…お前さ、たまに話飛ぶよな」
「…自覚はしてる…」
「で、どんな夢?」
片目を手で覆って、若干夢うつつに陥りながらも言葉を紡ぎだす。
「…何ていうかさ、変な夢だったんだ…」
「ふーん…どんな感じ?」
「…リアルにはリアルなんだけど…所々、明らかに可笑しいっていうか…あり得ない場所がいくつもあったり…。全体的に、違和感がある感じ。…常識と、非常識が入り乱れてる…生理的に気持ち悪くなる…そんな感じ」
そういう夢は、見ないわけではない。頻度は少ないけれど。
そんな夢を見た後は、大抵変な感じがする。夢の内容がカオスすぎて、頭に鮮明に残っていて、それが変に思えるのだ。
けれど、今回の夢は違った。
「…お兄ちゃんが、居たんだ」
「兄ちゃん?…お前の?」
「うん…遥、知らなかったっけ?…僕がまだ小学校中学年位の時…外国に勉強に行っちゃって…。たまに、手紙のやりとりしてる…。年、結構離れてる…10歳くらい…」
「ってことは、おれら今16で…26?」
「ん。…お兄ちゃんが、知らない人と一緒に居た…。あと、如月さん」
「如月ぃ?」
遥が如月を見る。
遥が思う如月のイメージはあまり良くない。むしろ悪い部類に入る。
如月は、とにかく一部の男子に対して気が強い。ユリのように大人しかったり、真面目であったりすれば、単にフレンドリーなだけに終わるが、女子がいう『馬鹿な男子』に対しては酷く厳しいのだ。
その点、女子には極端に甘い。男子が女子を泣かしてしまった場合、女子の方の肩を持ち、男子が何を言っても男子に同情したりすることはない。その所為で、女子からの評価は滅法良いのだ。
そして、如月の性質は、遥にも及んでいる。
「如月が、夢でなんかあったのかよ?」
「…ああ、…うん」
眉間に皺が寄る。
頭が思い出すのを拒否しているように、頭がキリキリと痛んだ。
「…殺されてた」