ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 『四』って、なんで嫌われるか、知ってる? ( No.37 )
- 日時: 2012/07/16 10:48
- 名前: 香月 (ID: OldIND5q)
- 参照: 久しぶりすぎる更新…すみません…
第十六話
「……そう、なのか」
白いベットに横たわり、玲は顔を歪めている。傷が痛むからだろうか……、なんて。
そんな訳、ない。
「……うん」
私たち三人…凛と塁と私は、お母さんとお父さんが外国にいると知らされた日の週末に、玲の所へお見舞いに行こうと決めた。
目的は、もちろん……すべてを、知らせるため。
玲は私たちの話を、笑いもせず、疑いもせず、真剣に聞いてくれた。一生かかっても飲み込めないような、途方もない話を。
もし私が玲の立場だったら、きっと訝しがって、話もろくに聞かなかった。
どうして玲は、そんなに素直に信じてくれるんだろう。
そんな様なことを玲に尋ねたら、
「みんなの目を見れば分かるよ、本気で話してるんだ、って。そんなことも分からないほど俺はバカじゃないし、人が本気で話してるのに、それを茶化すようなマヌケでもねえからな」
しっかりと前を見据えて、そう答えた。
……なんだ。意外と成長してるじゃん。
私は、玲のその瞳を、少し頼もしく思った。ま、あくまでも少しだけどね。
「…ほんで、マジで父さんと母さんは外国にいんのか?」
玲の重い質問に、塁が答える。
「分からない。携帯に電話しても、この番号は現在使われていません、ってアナウンスが流れるだけ」
その暗い声に、焦った様に訊く玲。
「メ……メールは?してみたのか?もしかしたら、メールなら…」
「……ムリだよ。私たちだってそう思って、何度も…何十回も試したよ。……でも———」
凛が、今にも叫び出しそうに顔をくしゃくしゃにしている。
……分かる。凛の気持ち。
私も、不安で、不安で。
文字通り、胸が潰れてしまいそう、だ。
「……私…」
のどの下辺りを押さえて、声を絞り出す私。
「お父さんの、会社に電話したんだけど。……外国に行ったんなら、転勤になってるはずだ、って思って」
「……うん」
「そしたらさ。電話、したらね」
……声が、震える。
うまく息ができない。
「———篠原なんて人、いないって…言われて。それどころか、そんな人が勤めていた、っていう記録もない……って」
「………」
———何度目か分からない。
不安が増すような無言の空気が、私たちに舞い降りた。
いつもなら、落ち着く……はずの、家。
なのに今は、果てしなく心細い。
まるで底なし沼にはまっているみたい。
もがけばもがくほど、深みに落ちてゆく。
……そして、いつかは———。
「!!」
突然鳴り出した電話の音に驚く。
…なんだ、ビックリさせないでよ。
誰からだろう?
「もしもし?」
私は、受話器を取った。
……それが、どんな知らせかも知らずに。
『もしもし、篠原さんのご家族の方でしょうか?こちら、佐藤大学病院ですけれども』
「蘭ちゃんたち、かわいそうにねぇ……ご両親も亡くなったっていうのに」