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Re: 黙示録─緒言─2話up ( No.7 )
日時: 2012/03/13 17:17
名前: Johannes (ID: HhjtY6GF)

・・・・・・[要塞学校]

誰かの悲鳴で、正典は目を覚ました。




  「この学校は我々“エフェソス”が占拠した!!!!!
    諸君が一番知っているとは思うが、この学校は国内で
   随一のセキリュティ対策が施されている。我々はそのセキリュティシステムを操作できる。

       すなわち

   東宝高校は要塞と化したと言っても過言ではない。逃げることは不可能。
   妙な真似をした奴は、躊躇なく殺すからな。
     黙って、口を閉じて静かにしていろ。」




正典が倒れていた場所は、ステージ脇にある放送室だった。
他にも放送で呼ばれた9人が倒れている。
正典は起き上がると、痛む頭を手で押さえながら千鳥足で立ち上がった。その時だった。

「黙って跪きなさい。」

若い女性の声がした瞬間、正典の後頭部に銃口が突きつけられた。
「・・・な、なんだよ・・・・・・」
「今から体育館1階へと移動する。騒がずに、黙って階段を降りろ。」
女性は正典の後頭部を銃口で押し、階段のある扉へと向かわせる。
正典は何もすることができず、言われるがままに扉を開けて階段を降る。
「お前らなんだよ・・・・・・まるでテロリストみたいな・・・・・・」


 「私たちはテロリスト。この学校はすでに占拠した。」


女性の声のトーンが、一気に落ちた。
正典は階段を降り終えると、そのまま校舎へと繋がる廊下を歩く。
「・・・・・・皮肉ね。自分たちの高校が、逃げることを防いでいるなんて。」
女性は鼻で笑いながら言う。
「止まりなさい。」
正典が止まった場所は、校舎と体育館の廊下の境界線だった。
しかし、校舎へは行けない。侵入者防止用の鋼鉄シャッターが降りているのだから。
「あなたはこれから、校舎内でサバイバルゲームを行う。先ほどの10人とね。」
「はぁ!?」
正典が女性に向かって驚いた表情を見せると、銃口を向けられ「黙れ。」と一喝された。


「ルールは簡単。明日の午前6時までに一人でも生き残っていれば、あなたたちの勝ち。
  ただし、全員死んでしまったら
 今人質にしている1年生と2年生、職員全員を殺す。無論、時間制限内に全員が死んでもね。


          だ・か・らと言って


 ゲームに参加しないような素振り、ゲーム放棄した場合は、校舎内に設置された爆弾が爆発するから。
  手を抜いても同じ。この学校には、監視カメラが廊下と教室に設置されてあるんだからね。
 自分たちが一番理解してると思うけど、ここからは逃げられないから。
  仮に逃げたとしても、その瞬間にあなたたちの負けよ。まぁ、せいぜい頑張ることね。浅はかな友情と絆で。」


女性が説明し終えた瞬間に、シャッターが不気味な音をあげて開き始めた。
正典は女性に押され、渋々校舎へと足を踏み入れる。
「ほかの9人もすぐに来るわ。それまで武器でも調達して、戦いに備えておくことね。」
「お、おい・・・・・・そんな冗談だ・・・・・・」




  「これは現実。前を見て、ただ戦いなさい。」




シャッターが降り始める。正典は呆然と、女性を見つめた。
女性の容姿はあまりにも若く、私服姿だが、恐らく正典同様の高校生と思われた。
ポニーテールが似合っている。
正典はとりあえず、自分の教室へと向かおうとした。その直後だった。


「元はと言えば、全て、あなたたちが悪いんだから・・・・・・」


確かに、そう聞こえた。
正典は振り向いて女性を見ようとしたが、その瞬間にシャッターが完全に閉まってしまった。
「・・・俺らが、悪い?」
正典は疑問を思い浮かべながら、とりあえず自分の教室である2年9組へと向かった。



******



体育館 ステージ脇放送室



「しかしまぁ、順調すぎて不気味だな。」
「お前らの姿のほうが、よっぽど不気味だ。」

テロリスト集団“エフェソス”の副リーダーを担う新井数也は、道化師、ピエロ模様の仮面をした男に言う。
「リンカーン、お前たちはゲームを楽しくしろ。こっちもただじっと待っているだけではつまらないからな。」
道化師の仮面を付けたリンカーンと呼ばれた男性は頷くと、横に立っている仮面をつけた2人を見る。
「ナイト、ハピネス、お前たちも暴れまくれよ。」
騎士模様の仮面を付けたナイトは黙って頷き、戦隊ものの仮面を付けたハピネスは敬礼をする。
「今、全員を校舎に入れ終えた。」
扉が開きながら、マシンガン片手にメンバーの佐田英彦が言う。
「君と一のおかげで、ある程度校舎内の複雑な通路が分かった。」
数也は大きく深呼吸をすると、放送室の機械の電源を入れ、マイクのテストをする。
そして、校舎内だけに放送されるように操作する。


『要塞と化した東宝高校にいる10名のプレイヤー諸君、今、サバイバルゲームの準備が整った。
    現在の時刻は午前10時。
    ゲーム終了の時刻は明日午前6時。つまり、20時間だ。
  ルールは聞いたはずだ。それでは始めてもらおう。』






そして、校舎内に虚しく放送の電源が切られる音が響いた。