ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.11 )
- 日時: 2012/03/21 02:37
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
「−っ!!…グホッ…ケホッ…」
「おっ、どうしたどうした」
「さっ…さっき外にオオ…カ…ゲホッ…」
喉がゴロゴロしてうまく喋れない
「オオカミ…が…いた」
なんとかそれだけを伝えると銃士はニヤッと笑みを浮かべ外に出ていった
「てめェエェェエエェっ!!いくら自動回復だってこれはひどくねェかァ!?穴だらけだよ畜生ッ!どうしてくれんだよこれェ!?こんなんじゃせっかく食べた物が穴から出ちまうよォ!?」
「そのために穴を開けたんだが」
「ふっざけんなよォ!?そこに赤ずきんがいる事は知ってんだよォオオカミの情報力なめんなァホラさっさとよこす!」
「生憎だがあの子を渡すぐらいならあの子と死ぬ」
「いっみわかんねェんだよこンのヤンデレ銃士ィ…ってか自動回復だから死なねェしィ?そんな事も忘れちゃうほど老化現象進んでるゥ?」
「死にくされこのロリコンンンンンンッ!!」
次の瞬間激しい銃声と共にオオカミの叫び声と窓が割れる音がした
「え…窓?」
どうやらオオカミはこの家の窓を突き破って入ってきたらしい
獣の異臭がむわんと広がりだす
う…吐く…
「死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに」
ブツブツとつぶやいている銃士はほっといてオオカミを見つけなくては…
赤ずきんを狙っているに違いない
俺はそこら辺に置いてあったステッキを手に取る
何故こんな所にステッキがあるかなんていちいちツッコんでられないな…
「見ィつけたァ…」
大柄の体のせいでそこらへんの家具をガラガラと蹴散らしながら赤ずきんに近づくオオカミ
当の本人は表情一つ変えず黙々とスケッチブックに向かってる
「今日こそは、今日こそは食べてあげるからねェ…」
舌なめずりを数回し勢いよく飛びかかった…所を俺が思いっきりステッキをスイングしヒットさせる
オオカミは2度、3度痛みを堪えたような声を漏らしよろめく
「赤ずきん!!」
そう叫んで赤ずきんの手をグイッと引っ張る
反応がないので慌てて肩に担ぎ部屋を後にした
…軽
外に出ると銃士の姿は無く血が何滴か落ちていて森につづいていた
俺は迷う暇なく血の跡を追って逃げる
後ろからはオオカミの遠吠えが響いたが追いかけてくる様子は無い
諦めたのか?そう思いつつも俺は足を止めずにひたすら走った
…
しばらく走り続け一軒の小屋に着く、銃士の小屋ではない事を確認しドアをノックする
「…はい」
しわがれた声が返ってきた、俺は人がいる事にまず安心し口を開く
「あの、追われてるんです…家に入れてもらえませんか?」
「あぁそれは大変…どうぞどうぞ」
そう言ってドアが開き、中に入ると優しそうなおばあさんがニコニコと笑ってどうぞと椅子に座らせてくれた
ガクガクする足を落ち着かせ赤ずきんの顔をうかがう
目はうつろでスケッチブックを握りしめたまま動かない
「さぞお疲れでしょう、ゆっくり休んでくださいな」
「あっ、ありがとうございます」
おだやかな声でさっきまでの恐怖心はいくらか和らぎホッと息をつく
「…そう永遠に休んでていいのよ?」
ボソッとそう言ったのが聞こえどういう意味なのか聞こうとした2秒後頭に激痛を覚え床にぐしゃっと崩れた
「…なっ…痛っ…」
ぐわんぐわんする…何だこれ…何されたっ!?
視界もぼやけだし俺はとうとうその場に気絶してしまった