ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.17 )
日時: 2012/03/24 16:07
名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)


「…ねむ…」

今日も掃除当番を任せられ一人教室で黒板を消す俺
最近夢と現実の区別がつかないし…夢でも忙しいからなんとなく眠い

外は綺麗なオレンジ色でカラスが数匹鳴いている
時計は午後4時半を指していた

「おい、まだ掃除終わらねぇの?」

ガラッと勢いよくドアを開けて教室に入ってきたのは確か板垣とかいう奴だ。

俺は首を数回横に振ってまだ黒板を消す

「変わってやろうか?」

「…は?」

「だから、変わってやろうか?」

「え…あ…」

急にそんな事を言われ動揺するもとりあえず無視して掃除を続けていると板垣は背負っていた鞄をロッカーに無造作に置き雑巾を手に取る

「…別に手伝わなくていいぞ」

「ハハッ、一人より二人の方が早く終わるだろ」

意味がわからない。改心でもしたんだろうか?それとも動揺しまくっている俺を笑いに来たんだろうか?

今更早く帰ったってただ風呂入って飯食って寝るだけなのに。

黙々と掃除を続ける。よく見たら板垣は時々窓を覗いてはソワソワしている

「なぁ…どうしたんだ?」

「あっ、いや…校門の前にしさ…お前を待ってる奴がいて。まだいるなーって思って」

「はぁ?」

だから変わってやろうかなんて言ったのか。そういえば俺がクラスでまともに話す奴といったら板垣しかいなかったな。板垣はよく人を気遣い。時々雑用を手伝ってくれてたことを思い出した
お人好しってやつか…

「待ってる奴って誰だよ」

「俺が知るかよ。窓見てみ」

そう言われて窓を覗くと校門の前に毛皮のようなマフラーを首に巻いている男性が立っていた

「知らねぇ奴だな…」

「ま。今日は俺が掃除変わってやるから行って来いよ。」

「あ…あぁ、サンキュ」

鞄を背負い俺はもう一度振り返った。偽善者の様な笑顔を浮かべ手を振る板垣に一瞬ゾッとする

そのまま階段を下り校門に出ようとしたら俺に気が付いたのかマフラーの男性がパァッと笑みを浮かべた

どこかで見たことのある様な顔だと思った。

「あの…俺を待ってるって聞いたんですが…」

「そうそう、君を待ってたんだよォ。ププ…また雑用を任されたようだねェ。俺にはあれ程反論してたくせにィ」

聞き覚えのある喋り方に驚いたが気のせいだと思いそのまま続けた

「俺はあんたを知らないし…初対面ですが。」

「あぁあぁ、そうだったねェ俺は君に家出先を教えてあげるために来たのさ」

「家出先?」

「聞くと君の家はえらく複雑だそうでェ、俺がいい家出先を教えてあげるよォ」

「いや、間に合ってます。俺、家出する気ないんで」

「はァ?家出先教えてくれたらするって言ってただろォ?記憶力どんだけ薄いの君ィ」

え?それは夢の中の話じゃなかったのか?現実だったのか?これ以上疲れさせないでくれ。もういちいち聞くのもめんどくさくなった。

「…で、その家出先ってどこ」

「おっ、思い出したかィ?俺についてきなァ」

二ィと笑みを浮かべスタスタと歩き出すのを俺は心底うんざりした顔で追いかけた