ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.19 )
- 日時: 2012/04/05 20:53
- 名前: 下母 (ID: SpLhUj83)
「…アレェ?おかしいなァ…いつもならこれぐらいに助けに来てくれたのに」
イラつきを見せてるオオカミはダルそうにつぶやいた
「まぁちょっと遅れるんだろ」
俺達はひたすら待った。かれこれ2時間は経つ
「明らかに忘れてんだろォ…」
「さすがに1000回以上捕まってんだから面倒くさくなったんじゃね?」
そんな事を話していると突然地下室のドアが開いた。照明がついてないから誰が入ってきたのか見えない
「赤ずきんか?」
そうオオカミに問いだが返事は返ってこなかった
どうしたのかと顔を向けると目をまるまると見開きガタガタと肩を震わせている
「おい…どうし…」
「あ…あァ…あれは赤ずきんじゃねェ…赤ずきんじゃねェ!!!!!」
「は?」
じゃあ誰なのかと聞く前にオオカミはガチャガチャと首輪を必死に外そうとしだした
「グルルルルルルルグルルルルルルッ!!!!!」
これぞオオカミとでも言いたくなるようなうめき声
「お…落ち着けって」
「嫌だァァァァァァッ!!嫌だァァァァァァッ!!」
もう何が何なのかわからない。
俺はとりあえずその赤ずきんではない誰かを確認するため暗闇を凝視した
よく見るとコツコツと小さい音を鳴らしながら近づいてくる
「ギャァァアァァアアアァアァァッ!!!!!」
涙目で叫び狂うオオカミはまるで子供のようだ
首以外は基本自由に動けるのでそこら辺の木棒を取り万が一に備えた
足下からゆっくり姿が浮かび上がり、全身黒スーツに金色のステッキ、左手に赤い砂時計を持った男が現れた
「もうちょっとなんだァ!もうちょっと待ってくれ!!そしたら絶対…」
男はニコリと笑いステッキを思いっきりオオカミに突き刺した
てっきり叫ぶのかと思ったらオオカミは悲しそうに俺を見て、「違うんだ。違うんだ。違うんだよ…違う…」としばらく連呼し煙のように消えた
「え…あ…?」
あまりの状況についていけない俺はただただその煙を見つめる事しかできなかった
「飽キチャッタ。」
機械の様な話し方で一言そう言うと男は砂時計を割り、次の瞬間車酔いと似たような感覚に落ちた
あまりの気分悪さに視界もぼやけだし、気絶しそうになる。
…
……
10秒ほどその状況に耐えているとさっきまでの吐き気が嘘のように無くなり視界もはっきりしてきた
「…アレ?」
そこは先ほどまでいた薄暗い地下室ではなく俺の学校だった
いつの間にこんな所に!?
ぽかんと校門の前で学校を見ていると誰かが声をかけてきた
「おはよう」
「うっ…わぁっ!?」
「うぉ!?どうした!?」
振り返ると目をぱちくりして俺より驚きが大きい板垣が立っていた
「あ…いや…何でもない。急に挨拶されて驚いただけだ」
「なんだ、俺まで驚いたじゃん。昨日はちゃんと会えたか?」
「は?会えたって誰に。」
「誰にって昨日お前を待ってたやつだよ。俺掃除変わってやっただろ?」
「…あ…会えたけど…」
「そっか!会えたならよかった。じゃあ俺はそろそろ行くな」
そう言って板垣はまた昨日(?)のゾッとする様な笑みを浮かべ校舎に入る
と同時にチャイムが鳴り、俺もその後についていった