ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.28 )
- 日時: 2012/04/05 20:52
- 名前: 下母 (ID: SpLhUj83)
「…は?ちょっ…はぁ!?」
咄嗟に避けたはいいが引く気は微塵もなさそうだ
「さぁさ♪ご褒美よどこに行くんだい♪お茶会に遅刻は厳き…ん…♪ムニャムニャ」
突然鼠はトロンと目を眠たそうにして体を左右に揺らし出した
「厳禁厳禁厳禁厳…き…」
そして重たいまぶたをついに閉じそのまま倒れる。
同時に手に持っていたバターナイフがザクッとシルクハットの男の右足に突き刺さった
「ギャァッ!?まっ、またやったなこの腐れ鼠!!これで何回目だと思ってるんだ!!くそっくそっ!!!!!」
子供のように地団駄を踏み熟睡中の鼠に罵声を浴びせ始めるその姿はお世辞でも紳士的とは言えない
「アハハ。本当。仲いい。お茶会。続きは?」
手に4本ほどバターナイフを握りしめたアリスがわくわくとシルク八ットの男に問う
「お茶会はおひらきだおひらき!!くそっ今日もロクなお茶会にならなかったじゃないか!!明日もどんちゃん騒ぎがしたいのならおいでアリス。」
それだけを伝えまた鼠に何の意味もない罵声浴びを続行する
アリスは悲しくも嬉しくもない微妙な表情でそっかとだけ言うとバターナイフを手離し俺に駆け寄った
「お茶会。おひらき。次。行こう。か?」
「……」
鼠がバターナイフを振り下ろした時点でとっくに失神直前だった俺はその声に答える暇なくアリスにまた手をひかれる
「次。どこ行きたい?」
「あ—…できるだけ危険じゃない場所がいいな」
「それなら。いい所。ある。お花たくさん咲いてる。」
しばらく歩くとある異変に気が付いた
木…なんかどんどんと大きくなってないか?
それにまわりの花とかも…
「着いた」
アリスがそう言った時にはむしろ俺達が小さくなってんじゃないかと錯覚してしまう程植物が全て巨大サイズで目の前には2m弱の薔薇が5本咲いていた
右から白、黄色、赤色、オレンジ、ピンクで何故か目玉と口らしきものがついている
「こんにちは。ホラ。挨拶」
「……こ…んにちは」
ギョロっと凝視してくる薔薇達はしばらくヒソヒソと話した後黄色いバラが口を開いた
「こんにちは、お二人さん。…よく見ればアリスじゃない。相変わらず変な所にパーツがついてること。」
そして今度は白いバラが話し出す
「でもよく見て?片方もアリスにそっくりだわ」
次にオレンジが。
「アラアラ。ホントねぇ。頭に妙な毛をつけてる所までそっくりねぇ。こんな妙ちくりんな形はアリスだけだと思ってたけど違うのねぇ。」
妙ちくりんはお前らの方だと思うけど…
「アリス。妙ちくりん。違う。アリスは。アリスだよー?」
「お馬鹿さん。妙ちくりんは名前じゃなくってよ。あなたのような形を妙ちくりんと言うのよ。」とピンク
「ホラホラ。お喋りはもうお止め。前みたいにアリスが怒りだしては厄介でしょう。アリス。そちらは?」
透き通った声でそう言ったのは真ん中にいる赤いバラ
「すごい?アリスが。見つけたの。アリスと。同じ。種族。形も。同じ。」
それを聞いてオレンジが口を開く
「ホホホ。ホントそっくりねぇ。馬鹿そうな顔までそっくりねぇ。きっと頭の中もからっぽなのねぇ!!」
…もはやツッコむ気にもなれない