ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.5 )
- 日時: 2012/03/16 16:04
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
「…っ…カハッ」
走ったせいで余計に喉が渇いた…
もうあの人は追いかけてこない事を確認してその場に腰を下ろす
疲れた…足痛いし喉乾いたし…
そうだ、ここら辺の森は赤ずきんの方が断然詳しいだろうし、泉の場所ぐらい知ってるかもしれない
俺は少しだけ希望を取り戻し赤ずきんに問う
「なぁ、ここら辺に水飲む所とかある?」
赤ずきんは相変わらずの無表情で右手を俺の前に差し出した
「…ん?」
どうゆう事?俺の後ろに泉があるのだろうか?
俺が後ろを振り向くとグイッと襟を掴んでさらに手を前に突き出す
なっ…なんつー力っ…
「あ…の…離してくんね…?くるしっ…」
必死に頼み込むとようやく赤ずきんは離してくれた
何がしたかったんだ…赤ずきんまで敵になったのかと思ったぞ
何回か咳込んでから先ほど突き出された右手を見る
確かさっき俺をかばって出血した方の手だ
乾燥されきってない血がまだドクドクと出ている
まさか、その血を飲めってか!?
「血…血以外のモノで!!」
それを聞くと赤ずきんは一瞬だけ驚いた顔をしてから俺の裾を引っ張る
ついてこいって事か?
しばらく歩いて俺は沈黙に耐えれず話しかけた
「お前いつも自分の血飲んでんの?」
我ながら失礼な質問だと後から気付いたが
赤ずきんはそんな事気にしてないようだ
右手で自分の喉を指さした
「…あ、の…喉穴開いてるから飲めない…って事かな?」
それを聞いてコクンとうなずいた
「痛くねぇの?」
赤ずきんは少し考えてる素振りを見せてから首を横に振った
「へぇ…」
夢の中だからなんだっていいもんな…でも俺いまだに足が少し痛いし、息切れもするし、えらくリアルな夢だな?
「…」
「…」
しばしの沈黙に耐え、やっと森を抜けた
あたり一面お花畑で日差しがまぶしい
天国かと疑うほど綺麗な光景に見入っていると赤ずきんがお花を摘みだした
そしてグイッと花を俺に向け突き出す
「え?…あの…っ…俺花の蜜なんか飲まねぇって!!!!!」
涙目でイヤイヤする俺にやっと花をどけ少し落ち込む赤ずきん
ド…ドSかっ!!
「俺は水が飲みたいんだっ!!」
そう叫ぶとかなり呆れた顔でまた裾を引っ張る
今度はすぐに着いた。お花畑をすぎ、小さい森を抜けある一軒の小屋にたどり着いた
「お前の家?」
そう聞くと首を横に振り、躊躇なく入った
おいおい、人の家にズカズカと…
俺もつづいて入るとどうやら一人暮らしらしい
家具は絶対的に必要なものしか置いていなかった
それなのに結構ギュウギュウだ、小屋自体が小さいからな
赤ずきんは、慣れた手つきでどこから出したのかコップに水を入れて俺に差し出した
「ん、ありがと。でもいいのか?これ人ん家だろ?」
やっとありつけた水を2、3度口にふくみ喉を潤す
赤ずきんは木でできた椅子に腰を下ろし、窓を見つめていた
しばらくするとドアが開き誰かが入ってきた
「あぁ、帰ってたのか」
俺からも向こうからもタンスが邪魔で姿が確認できない
でも聞き覚えがある声だった
なんとなく出ずらくてそのまま突っ立っていると
向こうからやってきてくれた
「ん?おぉっさっきの小僧じゃねぇか」
やっぱり、あの銃士だ
俺は自分の意識が遠くなっていくのを感じだ、アレ?これ…気絶ってやつかな?
そりゃそうだもんな、あの銃士の姿を見たら誰だって気絶するよ…って赤ずきんは平然としている!?あぁ…慣れてる…の…か…
ぐるんと世界が逆回転したかの様な錯覚に落ち、俺は床に崩れた
銃士の左目はえぐれていて全身がズタズタに引っかかれていた
傷口からは血が絶え間なく出ていて赤ずきんより何倍もの血の匂いを漂わせている
右手は食いちぎられたのか、肘から下が無かった
それでも生きていて最初に出会った時のように不気味に笑っていた