ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺がおカしクなったあの日 ( No.8 )
- 日時: 2012/03/17 01:23
- 名前: 下母 (ID: SDJp1hu/)
…
……
長い夢を見た…
「…はぁ…」
俺はベッドからのそのそと起き上って赤ずきんの事はやっぱり夢だったことを確認する
まだ血の臭いが鼻に残ってる気がする
完全に上がりきってないまぶたを擦り学校の支度をした
「…行ってきます」
父も母もとっくに出かけていて一人ぼっちの家にポツリと言ってから玄関のドアを開け出発する
いつもの道をボーっと歩いていると前から何人かの小学生が歩いてきた
「…?」
なんとなく視線を感じ小学生の方をチラッと見ると一人だけ明らかに学校に行くような恰好じゃない生徒がこっちを凝視していた
赤い頭巾…
「!?」
次の瞬間激しい頭痛に襲われ息苦しくなる
鼓動も無駄に早くて吐きそうだ
「…ぅ…っはぁ…はぁ…」
その場で体勢を崩し俺は地面に手をつく
「お兄ちゃんだいじょーぶー?」
「人よぼーかー?」
「ひどい汗、気分わるいー?」
心配そうに駆け寄る小学生
それにいちいち返事してやれるほどの力もなかった
涙が出そうになった所で誰かに肩をポンッと叩かれた
小さい手だった
「…あ…れ?」
その手がどかされた時さっきまでの痛みが嘘みたいにすぅっと引いていた
急いで後ろを振り向くと誰もいない
「さっ、さっき俺に肩に手置いた子誰?」
目の前にいる何人かの小学生に問うと不思議そうな顔をして首を横に振った
「私たちずっと前にいたよー?誰も後ろになんかいってないよー?
変なのー」
そう言ってクスクス笑うと手を振って行ってしまった
確かに肩を叩かれたんだ…ちゃんと感触が残ってる…
…
モヤモヤを抱えつつ学校を終え家路に着く
父も母も帰っていなかった、今日は多分朝帰りでもするんだろう
お腹も特に空いていなかったので風呂に入ってすぐ寝た
…
小鳥の鳴き声で目を覚ます
なんだ、もう朝か?
重たいまぶたをゆっくり上げて天井をみると
明らかに自室の天井じゃないことを確認する
「…はぁ!?ここどこだよ!!」
寝ぼけていて半ギレ状態だ。ベットから勢いよく起き上る
「あ、覚めたか。大丈夫か?」
「えっ!?あっ…えぇっ!?」
目の前には椅子に腰を下ろしてる銃士と赤ずきんがいた
昨日の夢の続きか!?銃士も赤ずきんも血は出ていないが相変わらずエグい。
「だ…大丈夫かって何が…?」
「頭」
「へ?頭?」
「だから頭痛だよ頭痛!」
「えっ…あ、だ…大丈夫…です」
夢の中で現実の体の心配されてるなんて変な感じだな
「そうか…よかったよかった」
安堵の表情を浮かべて俺にスープを出してくれた
「すまねぇな昨日は、お前血の臭い苦手だったな」
さすが夢の中俺のなにもかもを知っている
「ハハ…そうスね、なんでかわかんないけど…」
「まぁ血の臭いが好きなんて奴の方が変わってるだろうな
お前は普通の反応をしただけだよ、そう皆と変わらないさ。」
皆と変わらない。その言葉がやけに俺の頭に残った
スープを飲みながら赤ずきんの方をチラッと見る
赤ずきんは、スケッチブックに何か書いているようだ
俺が覗き込もうとすると首を横に振られた
どうやら見せたくないらしい
「何…描いてんの?」
なんとなく気になったので聞いてみると赤ずきんは俺を指さした
「俺を描いてんのか?できたら見せてくれる?」
ニコッと笑って見せ赤ずきんに問うと小さく微笑んでコクンとうなずいた
あ…なんか癒される…右半分だけ見れば
左はもうそんな笑顔を出せる力がどこにあるんだって聞きたいぐらい負傷している
「手当…しようか?」
ずっと言いたくても言い出せなかった言葉を発する
手当なら毎日怪我してくる父で慣れてるけどここまでの傷は見たことなかったからなかなか言う勇気が出てこなかった
それを聞いて赤ずきんはパァッと一瞬だけ喜びの表情を見せたがまた首を横に振る
「ハハッ、大丈夫大丈夫俺ら手当しなくても自動回復するから」
「えっ!?自動回復!?」
「そうそう、ほっといても気付いてたら治ってるし
気にすんな」
子供を安心させるような声で言われてなんとなくムッとする
そうか…自動回復するのか…さすが夢の中なんでもあり
数分後
外から物音がして窓を覗くと銃弾の跡がびっしりついているオオカミを発見し逆流しそうになるスープを必死に押さえこんでから声にならない声を上げた