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Re: 小説第二部 調査隊と9の悪魔 四十二話更新 ( No.96 )
日時: 2008/06/29 18:03
名前: 鏡 ◆onXZCzuPrg (ID: memccPfd)
参照: 調査隊宇宙同好会!メンバーは、珠依莉さん、一京さん、杉悠さん、ジャンプさん、イベント三人組さん、秋桜さん!

>>95 奈良時代に、九州の博多辺りを、挑戦から守っていた人々です。

この人たちは、ほとんどはただの農民。こうして防人に出なければならなかったんです。昔は。

本当は、美桜を身を挺して守った、あの紅夜の技にしたかったんですが、語呂がどうも・・・。

しかし、ここ一週間ほどで、来てくださったのは貴方とユービィさんだけですよ。有難うございます。


四十六話 停止


倒れているのは、二人だった。

二人とも、身体十に矢が刺さっており、しかも血まみれだ。

二人・・・アノデロス、紅夜の姿は確認できる。

だが、美桜が何処にもいなかった。


と、突然二人のうちの片方の背中が大きく持ち上がる。



ア ノ デ ロ ス だ っ た 。


血まみれの身体が徐々に持ち上がり、そしてうめき声と共に言った。


「重いってんのよ!」


声を発したのは、アノデロスじゃない。アノデロスの下に埋もれていた、美桜だった。

アノデロスを両手で持ち上げ、空に掲げている。

何かもう、野生人のような姿だった。


美桜は、不機嫌そうな顔で、痛みに顔を顰めながら、アノデロスをほうり投げた。

それでも、アノデロスはピクリとも動かない。振動で待った枯葉に、ただ埋もれるだけだった。

枯葉が、赤く染まっていく。


美桜は、何故ここで生きていられたのだろう。

それは、彼女が最後の一撃の時にとったある行動にあった。


『彼女は咄嗟にアノデロスの懐にしゃがみこむ』


アノデロスの最終攻撃、フリーズメテオは、最初に定めた目標に、無数の矢を放つ技。

だが、彼女がアノデロスの懐にもぐりこんだため、彼女めがけて飛ぶ矢のほとんどは、彼女のすぐ側に立っている、アノデロスに命中したのだ。

いわゆる自滅だった。


彼女は、紅夜に駆け寄り、頬を叩く。

「ホラ、あいつは死んだわよ!おきて!」


紅 夜 は 目 を 覚 ま さ な か っ た 。


顔が美桜の手におたれ、揺さぶられるだけで、瞼は全く動かない。

「ちょっと・・・まさか・・・。」


美桜は、心臓に耳を当てる。



止まっていた。

動いてない。


「うそでしょ・・・。紅夜・・・。」

美桜の目から、涙があふれ出る。その涙が、頬流れ、顎から滴り、紅夜の顔を濡らす。

でも、彼の目は開かない。


「紅夜・・・紅夜・・・」

美桜が連呼しても、紅夜は返事もしなかった。


「紅夜ーーーーーーー!!!」


彼女の声は、密林中にこだました。

白い鳥が、美桜の真上の止まり木から、一斉に去っていった。