ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ◆ 戻りたい。 02/過ちup ( No.22 )
- 日時: 2008/04/27 19:19
- 名前: 弥生 ◆b6XgBlRsWM (ID: uj1WcIuh)
- 参照: 戻りたい……戻りたいよ。君が居た……あの頃に。
03 復讐
俺は、あの後愛花を草陰に寝かせて、自分の家に帰った。
自首なんて、できるわけがない。できても、やりたくない。
たった一人で俺の面倒を見てきてくれた母に嫌われたくない。
……なぁ、愛花。俺の事恨んでいるのか??
だったら殺してくれよ。俺を、殺せ。
俺は、一人で声を殺して泣いた。
愛花、……大好きだったのに。ごめんな。ごめんな、愛花。
俺の心は、罪悪感でいっぱいになる。
あの時、愛花の睨んだ目……見たことがなかった。恐ろしかった。
だけど、愛花はそれ以上に俺の事が恐ろしかったんだろうな。
「……ちくしょっ……あい……か。
俺……もう、生きてる価値なんてねぇよ……」
『そうだね、俊。生きてる価値ないね』
俺は、思わず身震いがした。
……愛花の声が聞こえた。絶対……愛花の声だ。
俺は、慌てて周りを見る。しかし、愛花の姿は無い。
だけど、……夢じゃない。現実だ。
愛花は、俺を殺しにきたのだろうか。なら、殺してほしい。
そして……許してくれるまで謝りたい。
愛花。俺の一番愛する愛花を殺してしまった事を。
俺は、麦茶でも飲みに行こうと下に下りようとした。
その時、俺の足首を冷たい手が掴む。
恐る恐る下を見ると……恐ろしい目で睨んだ愛花の姿があった。
「うわああぁっ!!」俺は思わず階段から落ちた。
それを母が発見し、叫んだ。
「嫌ーーっ!! 俊っ! 俊……!!」
「かあさ……ん。大丈夫、落ちただけだから……」
「何処が大丈夫なのよ! 救急車呼ぶからじっとしてなさい!」
大丈夫だってのに。……そんな母が俺は好きだった。
これは……幻覚なのか? いや、違う。愛花の……復讐だ。
だけど、俺がされても文句は言えない。俺は、殺してしまったんだから。
しばらくして救急車が来ると、俺は病院に搬送された。
だが、特に外傷もないので俺はそのまま帰された。
俺は、帰り……母と話した。
「もう……どうしたの? いつもは落ちたりしないのに。
叫んでたし……何か不安な事でもあるの? 母さんに話してみなさい」
「……母さん、俺さ。愛花のこと……」
言いかけた口を、俺は思わず手で押さえる。
「なあに? 愛花ちゃんの事好きなの??」
「ち、ちげぇよっ!!」ま、合ってるけどな。
俺は、その後無言で母と帰った。
……愛花。俺を……いっそすぐに殺してくれ。
いちいち驚かされるより、その方がずっといい。
俺は愛花に取り返しのつかない事をしてしまったんだから。
その時、また声が聞こえた。
『あたし、絶対……俊を許さないんだから。
……復讐してあげるよ、永遠にね』
……愛花、いつでも復讐しに来いよ。
だって俺、愛花の声が聞けるだけで幸せだから。