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　　　５，『偽りの作家』

　　＋６９日目＋


「さてと……」

　今日も学校から帰って早々、ＰＣを起動させる。明日は小テストがあるが、そんなことは気にしない。もともと勉強は出来る方だし、直前にちょちょいとやればなんとかなるだろう。
　そういえば、最近は違う掲示板には行っていなかった気がする。この小説板αばかりに片寄りすぎていたのだ。まあ予定では、一応今日はβの方へと行ってみることになっている。

　掲示板β。同じ管理人が運営しているであろう、通常のサイト。ゲームなどの攻略や情報も載せているが、それが実際に活用されていたのは当初だけである。今となっては、ほぼまったく関係のない雑談ばかりだ。さらに、その人数の多さからか、煽りや荒らしが多く、小説板αで有意義な時を過ごしている人たちにとっては、それなりに恐れられている場所だ。一時期は、そこから大量の荒らしがやってくるという噂まで飛び交っていたという。
　そこへ俺は今から行く。最初は、偽のハンドルネームを使うのは当然のこと。下手をして叩かれるのは御免だからだ。

　掲示板βを開くと、そこは確かに荒れていた。釣りスレや煽り、さらには連続書き込みや長文荒らしなど……。しかし、利用者の数はとても多かった。小説板αとは比べものにならない。しかし、だ。その中に、見覚えのある名前を俺は見つけた。

「ミア？」

　ΜЕЕЯが書いている小説と同じ題名で、まったく同じものがそこに存在したのだ。『　Turns　』〜小説掲示板物語〜　これは一体……。本人なのだろうか？
　俺は確認を取る為、ひとまず別窓で小説板αを開いた。ふと、その二箇所のトリップを見比べると、それに若干の違いがあることがわかる。偽者である可能性は非常に高いが、まあまずは本人に確認を取るべきなのだろう。

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　　　Ｒｅ：『伝説のラーメン家—２—』 雑談しようb
　　名前：GЁＳТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

　　　掲示板βの方にいるのは、ΜЕЕЯなのか？
　　　あっちの方にも行ってたんだな

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　俺はそれだけを書き込んで、ひとまずはそのβの方の小説を見てみることにした。内容はまったく同じだったが、若干書き方が違う。掲示板の表現の仕方も途中から変わったりしているが、結局は元に戻したりと滅茶苦茶だ。だが、寄せられたコメントの返信の仕方に関しては非常によく似ている。決定的に違うのは、どこかよそよそしさが漂っているところ、また小説の内容の質問に関して、曖昧にしか答えていないことだ。やはり偽者なのだろう。
　ひとまず俺は、率直に訊いてみることにした。

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　　　Ｒｅ：『　Turns　』〜小説掲示板物語〜
　　名前：GЁＳТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

　　　こんちにはΜЕЕЯさん
　　　俺のことわかりますよね？

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　軽いいびりに近いものだ。本物なら当然知っていると返信するだろうし、偽者でももしかしたらそうするかもしれない。
　そのころ、小説板αの方ではΜЕЕЯが激怒していた。

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　　　Ｒｅ：『伝説のラーメン家—２—』 雑談しようb
　　名前：ΜЕЕЯ◆himmel.asI

　　　なんという（汗
　　　まさか小説を真似されるとは思わなかった！
　　　抗議してきましょ（駆

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　　　Ｒｅ：『伝説のラーメン家—２—』 雑談しようb
　　名前：殺鬼◆ifj/grj/0

　　　パクられたのか？

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　　　Ｒｅ：『伝説のラーメン家—２—』 雑談しようb
　　名前：GЁＳТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

一瞬ΜЕЕЯかと思ったが
　　　　トリップがちょっとだけ違ったな
　　　　トリップが似てるとは・・・

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　小説を実際に書いていない俺には、それがどの程度のものなのかはわからないが、少なくとも自分の作ったものを真似されるというのは耐え難いものなのだろう。しかしだ、相手は同じ名前を使っているから、いわゆるなりきりのような状態。実際にはΜЕЕЯには影響はなく、どちらかというと自分の作品をさらに多くの人に見てもらえるということにもなる。まあ、それは許可があった上でのことだとは思うが。
　俺はウィンドウを掲示板βの方に移して、その様子を観察することにした。

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　　　Ｒｅ：『　Turns　』〜小説掲示板物語〜 　（Ｎｏ．１２４）
　　名前：ΜЕЕЯ◆himmel.asI

　　　ちょっ
　　　これは僕のオリジナルですよ！
　　　無断転載はやめてください

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　　　Ｒｅ：『　Turns　』〜小説掲示板物語〜　　　（Ｎｏ．１２５）
　　名前：ΜЕЕЯ◆himmelhUen

　　　＞＞１２４
　　　あなたこそ偽者です

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　　　Ｒｅ：『　Turns　』〜小説掲示板物語〜　　　（Ｎｏ．１２６）
　　名前：ΜЕЕЯ◆himmel.asI

　　　＞＞１２５
　　　元のＵＲＬ貼りましょうか？
　　　そこは、ここに載っている小説よりずいぶんと多くの話が載っていますがね？
　　　さらに、そこのトリップは僕のものと一致していますが。

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　ここぞの一発だ。トリップが一致しているのなら、少なくとも他言はない。言い訳の仕様がない。
　その後の返信は無いままに、そのスレッドはロックされてしまった。これは相手が納得または諦めたということなのだろうか。まあ、妙な争いがなくてよかったと思えばそうだ。

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　　　Ｒｅ：『伝説のラーメン家—２—』 雑談しようb
　　名前：ΜЕЕЯ◆himmel.asI

　　　勝った……。

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　　　Ｒｅ：『伝説のラーメン家—２—』 雑談しようb
　　名前：GЁＳТΙЯЙ◆PcVg241Jzs

　　　お疲れ＾＾
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　　　Ｒｅ：『伝説のラーメン家—２—』 雑談しようb
　　名前：ネオン◆BieE4ENesD
　　
　　　あ、終わったんだ。なんとか大丈夫だったんだね！

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　　　Ｒｅ：『伝説のラーメン家—２—』 雑談しようb
　　名前：詩穂◆SLootE8BKs

　　　乙〜

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　お疲れ、ご苦労様という言葉が飛び交う。まあそこまで大したことでもないと思うが。俺にとっては、そこまで騒ぐ問題だろうか、程度でしかない。

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　　　Ｒｅ：『伝説のラーメン家—２—』 雑談しようb
　　名前：焔　白牙◆tr.t4dJfuU

　　　これでΜЕЕЯさんが被害を受けたサイトは４つ・・・
　　　大変ですね

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　ΜЕЕЯはその行動、威厳、小説によって、気に入らないものにとっては単なる邪魔な存在でしかなかった。その分他の人よりも多く叩かれることが多い。それは俺も感じていたことだ。さらに自ら敵を作りやすい性格でもある。それが天然のものなのか、意識していることなのかはわからなかったが。
　アンチが出るということは、それなりにやはり知名度があるということに変わりない。この掲示板で皆に一目置かれている存在であることは確かだったし、俺もそのひとりだ。
　今回の偽の件は、言い換えればΜЕЕЯの力を認めていたからこそ、転載という形で名前すら同じで真似をした。それは良いことなのか悪いことなのかと聞かれれば悪いことなのだろうが、要するにとらえ方なのだろう。