ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 改訂版、(なぜかさっきの消えた……) ( No.5 )
日時: 2008/04/28 19:00
名前: НΙММЁL ◆MEER.m/asI (ID: Wl8kRSYB)
参照: 電脳空間に閉じ込められた彼らは脱出できるのか……?【 『REGAINⅩ』  】                  ____________『 Turns 』〜小説掲示板物語〜 もよろしくお願いします

    +2日目+


 憂鬱な学校生活から解放され、家へと帰る。
自分の部屋へ行く前に、リビングにいる母さんにひと言。

「夢やるから邪魔しないで」

それだけいうと、僕はとっとと自分の部屋へと入った。
昨日はコメやコメ返しにいそがしくてなかなか小説が更新できなかった。
まあ、そこまで焦る必要もないのかもしれないが……
時間は余るほどある。

 自分の部屋に入ると、ベッドの上に鞄を放りだし、即、PCの電源を入れた。
よく母さんに悪い癖だと怒られるが、そんなことは気にしない。
現実に、居心地のいい場所なんてないのだ。
だからその現実を真っ直ぐに捉える必要はない。
悪く言えば、ネットに逃げているとも言える。
だがネットなら、自由に自分を作れる……いうなれば夢の中のような場所だ。

僕は、ネットのことを『夢』と言う。
そう言わなければ、現実とネットの世界の区別がつかなくなりそうで怖いのだ。
よく、ネット依存症などの人達がテレビなどで取り上げられるが、その人達が「あっちの世界へ行きます」などと
置き手紙を残して死ぬのを、僕は少し恐れながら見ていた。
当然、そんな人達のようにはなりたくない。
だからこそ、僕はネットを『夢』という。
現実では出来ない自分を作り出せるという意味でも、そう言うのが適切だと思っていたからだ。

ようやく、PCが起動した。
僕はお気に入りに入れていた、小説掲示板αへのリンクをクリックする。

「コメは来てるかな?」

期待に胸を膨らませて、僕はページのダウンロードが完了するのを待つ。

「ん?」

僕が開いたページには、僕の書いている小説はなかった。

「下がったのかな?」

小説やスレッドを更新すると、それらは基本的に一番先頭にソートされる。
そして、更新のないスレは下へどんどん下がっていく。
どの掲示板でも基本的にそうなのだが、小説掲示板で考えると、ある意味おもしろいシステムだと言える。

「僕の小説は……」

題名で探すと目が痛くなるから、名前の欄で探すことにした。すらすらと自分の名前を探す。

「TIL、TIL……あった」

3の番号の所まで落ちていた。どうやらかなり皆、更新が早いようだ。
物語の出し惜しみをしていると、置いていかれるかもしれない。

最終更新者は……

【TIL】

「……」

まあ、しかたないか。
まだ2日目だし、そう簡単にコメをくれるわけもない。
もっと努力が必要なのだろう。
自分で無理矢理自分を納得させつつ、僕は小説の更新作業に入った。


小説の更新を終え、自分の小説が1の項目にあがったことでとりあえず満足した僕は、
他の人の小説を見て回りながら、気ままにコメをしていく。
とりあえず僕が考えたのは、まず知名度を上げることだった。
みんなが僕のことを知ってくれれば、いずれ僕の小説が目についたときにコメをくれるかもしれない。

そんな期待を胸に、僕は他の人の小説を読んでいく。
そんなとき、僕はある奇妙な光景に出会った。
それは、祐美というネームの人の小説だった。

そこには……

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   Re:Your smile forever……            (No.221)
  名前:制裁を加える者
   
   死ね、消えろ、無駄スレ……
         :
         :
         ;
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そのような文字が何行にも連なって書かれていた。

(『荒らし』か……?)

荒らしは、どこの掲示板でもかならずひとりはいる。
ここでは見ないと思っていたが、どうやらそれも表面上のことだけだったのである。
もしかしたら、もっと被害は出ているのかもしれない……。

まだそこのスレ主は気づいていないのか、その後の返信は一つもされていなかった。
どうするべきか……

無視、素通り?
でも一度見てしまうと、何か言いたくてたまらくなった。

僕は、注意することにした。

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   Re:Your smile forever……            (No.222)
  名前:TIL◆LIrXODpGRg

   荒らしですか?最低ですね。
   あなたの様な人は邪魔です。
   消えてください。

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とりあえず、これだけ書き込むことにした。
するとすぐに……

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   Re:Your smile forever……            (No.223)
  名前:制裁を加える者

   は?だまれよ(笑
   お前正義ぶってんの?バッカじゃねーの!
   邪魔?知らねぇ
   お前こそ消えろ

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(こ、こいつ……言わせておけば!)

今までさまざまな掲示板をまわってきて、荒らしに過度に反応すると、かえって状況を悪くすることはわかっていたが、
自分が本格的に使い始めたサイトでやられると、何か見過ごせないのだ。

僕の怒りがふつふつとわき上がってきたその時——

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   Re:Your smile forever……            (No.224)
  名前:祐美◆rEtIL4VroE

   来てみたら荒らしと思われるコメが……(^^;)
   初めまして、TIL様。

   >>222
   お気遣いはありがたいのですが、荒らしには無視が一番ですよ?

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スレ主からの返信だった。

「やっぱり無視がいいのか……」

何か、余計なことをしてしまった気がする。
逆に、被害を広げてしまった。

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   Re:Your smile forever……            (No.225)
  名前:TIL◆LIrXODpGRg
   
   やっぱりそうですよね……
   わかりました。今度からはそうします。
   御迷惑をおかけしてスミマセンでした。
 
   なんか曖昧になってしまったんですが、小説頑張ってください!

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   Re:Your smile forever……            (No.226)
  名前:ネオン◆BieE4ENesD

   やあ、祐美。
   久しぶりに来てみたら、何か余計なのが……w
   続きがんばってね!

   TILs、祐美の言う通り、無視すればいいと思いますよ。
   荒らしには無視が一番有効ですからね

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ネオンは祐美の小説の常連のようだ。
やはり、ここでは荒らしを無視したほうがいいらしい。
違う掲示板だと、逆に叩いたりするのだが……

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   Re:Your smile forever……            (No.227)
  名前:TIL◆LIrXODpGRg

   >>226
   わかりました、無視するように心がけます

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それだけ書き込んだ直後——

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   Re:Your smile forever……            (No.228)
  名前:制裁を加える者

   そろいもそろってバカばっかりだな〜
   無視できるもんならしてみろよ?

   ばえgjなじあgkなw:おう゛ぃあしjがうぇfghう゛ぁそ:bう゛ぃはgv:
   あうぃえhばおいhb:えいあhb:おあいえhばえがえd:いhう゛ぁえおgぼあうぇh
   ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
         :
         :
         :
————————————————————————————————————————  
 
さまざまな偽号や謎の適当に打ったであろう言葉が十数行にわかって書き込まれていた。

「ひどい……」

僕はキーボードを操作し……その途中で手を止めた

「無視するんだっよな?」

僕は思わず、荒らしに文句を書き込んでいた。
ここで返信すればただ迷惑になるだけかもしれない。
僕は打ち込んだ文字を消し、そのまま様子を見ることにした。
ここで下手に行動するのは、あまり良いこととは思えなかったからだ。

荒らしの『制裁を加える者』は、3回ほど荒らし行為を繰り返した。
しかし、祐美は何もそれに対して返信せずに、ただ小説だけを更新していった。
それは、何かベテランの雰囲気が漂う小説で、荒らしなど気になることはない。
小説の内容が、とても良かったために、荒らしの行為が逆に愚かに見えて、気に留める気がなくなった。

すると、その後荒らし行為は一度もなかった。

「やっぱり、無視するのが一番なのかな……?」

今まで結構荒らしを見てきたが、今だに荒らしをする人の気がしれない。
何を考えているんだろうか?

「あ、明日の宿題しないと……」

僕は自分の小説を1話だけ更新し、その日はPCを終えた。