ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- トランジスタ — 遮光の賢者 —
- 日時: 2009/09/13 19:35
- 名前: 白崎 京谷 (ID: xr1in99g)
こんにちはの人も、初めましての方も、
クリックありがとうございます!!マウスを握るその指に感謝…(←意味不w
では改めまして…
こんにちは。ヘタレ女子の白崎 京谷(しらさき きょうや)と申します。
(別名:挫折女w)
さて、小説歴は9ヶ月くらいになりますが、まだまだ文下手です…。
それでも見てやんよ! という心優しきお方は、京谷の感謝の気持ちをお受け取りになりながら、
どうぞお進みください^^
Page:1
- Re: トランジスタ — 遮光の賢者 — ( No.1 )
- 日時: 2009/09/11 17:55
- 名前: 白崎 京谷 (ID: xr1in99g)
いつからだろう 悪が滅びゆくようになったのは……
必ず正義が勝ち、世界に平和が戻って来る。
在り来たりな終わり方 聞き飽きた最後。
もうウンザリだ——
俺が変えてやる……
この俺が……世界の秩序を、"オベリオン"の全てを——
破 壊 し て や る
- Re: トランジスタ — 遮光の賢者 — ( No.2 )
- 日時: 2009/09/13 18:37
- 名前: 白崎 京谷 (ID: xr1in99g)
序章 〜殺
辺りの空気が一瞬にして氷点下と化した。上質なカーテンが凍りつき、天井の照明に厚い氷の膜がはり、白熱していた電球も輝きを失った。外では木枯らしが騒ぎ初め、死の臭いを嗅ぎ取ったのか、大勢の"異形"が目を光らしていた。
異形取り巻く山小屋の中、二人の魔術師が対立していた。が、片方は床にひれ伏し、勝機を失ったかのように思えた。老人の腹部から赤黒い液体が漏れている。
「何故……何故ワタシを刺した……!?」
流れ出る血を必死に抑え、残り少ない魔力をフルに使う。
小刻みに震えていた電球が突然弾けた。
それを合図に、老人の瞳から光が消え、長寿の命を無念に終えた。
「レンブラント——」
そう生涯最後の言葉を残して。
- Re: トランジスタ — 遮光の賢者 — ( No.3 )
- 日時: 2009/09/13 18:37
- 名前: 白崎 京谷 (ID: xr1in99g)
「さてレンブラント——」
白髪交じりの老人が言った。
「昨日ワタシが教えた事は何だったけな?」
老人は眼鏡の奥に光る鈍い瞳を金髪の少年に移した。老人の肩に乗るイグアナも同時に振り返る。
「はい、お師匠」
老人とは逆に、ハキハキとした口調で少年は発した。
「『魔神《ジン》と魔術師との共生関係について』です」
何も悟れない無表情を崩さず、少年は師匠からの質問を返した。老人は満足そうに頷くと、話を続けるよう促した。
「魔術師の大部分は自分の良き相方、"魔神《ジン》"を味方側に付け、"血の契約"を交わします。その時魔神《ジン》はジンと言う階級から、使魔《シャイターン》に飛び級する事が出来ます。契約を交わした使魔は級の格上げと交換に、その魔術師と一生を共にする事を約束します」
一言も間違えず言い切った少年を、さも嬉しそうに頷いた老人は、「そうだ」と告げた。
「では訊くが、このイグアナも使魔であるかな?」
老人は皺の多い手をイグアナに回し、喉元を優しく撫で始めた。気持ち良さそうに顔を和らげるイグアナ。
「はい。お師匠の使魔、"スパルタカス"でございます」
自分の名を口に出された為、イグアナの目が大きく見開いた。
「さよう。スパルタカスはワタシの相棒だ。何年も血の契約を途ざさず、ずっとワタシの命を守ってくれた」
その時、老人の顔が一瞬にして真剣な目つきに変わった。
「レン、お前さんも使魔が欲しいか?」
どうやら自分を試そうとしているらしい。そう察したレンブラントは首を横に振った。
「いいえ、俺は自分の命は自分で守ります。使魔など、無力な魔術師が力の差を補う為に雇う、単なる穴埋めにしか過ぎません」
すると突然イグアナが歯を剥き、侮辱された事に怒りを覚えた。しかしレンブラントは知らん顔で師匠の様子を覗う。
- Re: トランジスタ — 遮光の賢者 — ( No.4 )
- 日時: 2009/09/13 19:34
- 名前: 白崎 京谷 (ID: xr1in99g)
師匠はレンの言葉に全く動じなかった。
それどころか、「そうかもしれんな」と同意してしまったのだ。
この反応にはさすがのレンも聞き耳を立てた。スパルタカスに至っては、主人をレン以上殺気立ってに睨みつけている。
「しかしなレン。お前の考え方にも一理あるが、ワタシはそうまでして使魔を否定する事は出来ない」
師匠の言葉にはところどころ意味深気な様子も見られた。
「現に使魔と共に生きているのだからな」
師匠の顔がやっと柔和な老人に戻った。
張り詰めていた空気が解れ、レンブラント背中に感じていた重みがやっと無くなる。
「ワタシが何故使魔を求めたのか、それは今になってはもう分からん。ワタシも随分落ちぶれたものじゃ。そうじゃのう……考えられるのは——」
師匠は垂れ下がった顎鬚を撫でながら、遠い過去を見据えるように空を見た。
「何かを追い求めていたのじゃろうな……。人知を超えた魔力を欲しがっていたのかもしれん。魔神さえものに出来れば、神と交際出来るとまで考えていたのかもしれんな。全く、なんて自己中なんじゃか……」
若き日の自分に呆れた動作を見せる師匠に、レンブラントは可笑しな憐みを感じた。
なんて馬鹿なのだろう。血の契約とは即ち、"寿命を縮める法"。自分の鮮血を悪魔に差し出すのだ。
確かに絶大な魔力を得るに足らないが、魔術師となってまで長寿にした命を、半分削るような行為。
仲間が欲しくて、親身になってくれる相棒が欲しくて魔神を雇う奴も居るが、それは単なる負け犬の遠吠えにしか過ぎない。
魔術師は孤独な存在。群れる事を嫌い、一匹狼である以上、仲間を欲しがると言う下劣な行為、有ってはならないのだ。
俺はそんなもの要らない。太古からの教えに従い、一人で生きて行くんだ。
仲間など、必要価値無し。
「レンブラントよ、お前はそんな風になってはいかんぞ」
自分の思考を察したかの如く、師匠はぼそりと忠告した。
レンは唸るように「分かってますよ」と冷たく言うと、自分の部屋へ帰って行った。
弟子が去って行くと、老人——オーディーン・マンドレイクはイグアナと顔を見合わせ、困ったように微笑んだ。
Page:1
この掲示板は過去ログ化されています。