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_____________melodie. 〜残酷な死神〜
日時: 2009/09/16 09:42
名前: 稀羅 ◆DRCiQieXkE (ID: Uohuc6GT)

   ────冷たい眼をした少年が、
                血塗れの少女の髪を撫でた。



------


稀羅で きら と読みます...
此処の掲示板は初めてですが頑張って書きます.



--- P. f


 帝 (micado) 男
美しい物が好き。“帝”は偽名。
死神を名乗り、気に入らない者は躊躇なく殺す性格。
何ヶ国語も操ることが出来る天才。
特技は一瞬で全ての物事を把握すること。
基本的無表情、何を考えているか分からない。


 フィルレ (fillrei)
帝を見守るモニター。何億何兆それ以上の
情報を自ら把握し、帝に伝える。
前世は人間。性別は不明。
人間界に未練があり、帝を愛し、全ての世界を憎む。
短時間だが死神に化ける能力を持つ。


 ゾル (Zole) 女
ある王国の姫。この座を争った姉を憎み、殺す。
殺した事実を隠すため、ひっそりと暮らす。
神を信じ、ある日窓辺にとまっていた水色の鳥に依頼書を託す。
人をみると発作的に体が震える。







--目次
>>00 pRolOgUe
>>01 >>02 >>03
>>4 >>5 >>6

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Re:       _______melodie. ( No.3 )
日時: 2009/09/15 11:42
名前: 稀羅 ◆DRCiQieXkE (ID: Uohuc6GT)

--- 02


「 俺より美しいひとは居ないのか 」


帝はフィルレに微笑む。沈黙が流れ、
また独特の機械音が流れ出す。


「 帝様より美しい者はいないでしょう …が 」



「 が? 」




「 ……が、この依頼には貴方が必要なのです 」


「 ふうん 」

帝は興味ありげな、しかし興味なさげな、微妙な表情をしてダイスを更に素手で砕いた。


「 そうだな。暇だし協力してあげてもいいかもよ。
 必要といわれて悪い気はしないしね 」


洋風のハンガーにかかったローブをそのまま羽織ると、フィルレに振り返る。


「 何故そこまで君が必死なのか、俺には分からないけどね 」



「 わたしも、いきます 」


フィルレはそう告げると、プツンとモニター画面を自ら消した。

Re: _____________melodie. 〜残酷な死神〜 ( No.4 )
日時: 2009/09/15 19:43
名前: 稀羅 ◆DRCiQieXkE (ID: Uohuc6GT)

--- 03

奥から現れたのは金髪で長い髪をした美少女……のような死神。



誰もがうっとりするような顔立ちなのだが、

帝は見慣れているためか、表情ひとつ変えない。


「 フィルレ… 早く連れて行けよ 」
「 はい 」


すると、フィルレと呼ばれた死神は呪文を唱え始めた。


気が遠くなるような、でも幻想的なリズム。
歌を歌っているような…しかし呪文に過ぎない。


フィルレは閉じていた眼を、ゆっくり開けた。



風も無い、空気が淀み、草も枯れ果て、建物も崩れ落ち、空も真っ黒な、人間界の隅。


死神ふたりがぽつんと降り立った。


「 滅びてる。美しくないね 」

そう言う帝の表情は笑っていた。
フィルレは呆れた声で笑うと
道を案内しながらふたり、足をすすめる。


すると、場所に似合わない大きな城がみえてきた。

Re: _____________melodie. 〜残酷な死神〜 ( No.5 )
日時: 2009/09/16 09:30
名前: 稀羅 ◆DRCiQieXkE (ID: Uohuc6GT)

--- 04


「 醜いオーラが出てる 」



帝が小さく呟くとフィルレが口を開いた。


「 ゾル姫が居る城でございます 」

ゾル……。帝は何かを感じ取っていた。
帝は暫くすると持っていた鎌の先を舐めた。


「 何か殺りたい気分だよ 」

赤い眼をして、すっかり“殺る気”だ。



「 ちょうどいいじゃないですか─── 」



フィルレは微笑む。


帝の幸せこそがフィルレの幸せなのだ。


帝は鎌をおろすと、辺りをみまわし城に足を運んだ。



「 いやああああっ! 」

いきなり響き渡った女の声。帝は微笑んだ。


「 ゾルか? 」
「 ひっ……!人間っ!こないでえっっ! 」


声のするほうのドアの前に足を運び、帝は6回ノックした。


「 人間っ…!いやああああ! 」

ギィ…… 扉を開けて一番初めに帝の視界に入ったのは、
黒ずんだドレスを着て、やせ細った姫君の姿だった。

Re: _____________melodie. 〜残酷な死神〜 ( No.6 )
日時: 2009/09/16 09:40
名前: 稀羅 ◆DRCiQieXkE (ID: Uohuc6GT)

--- 05


「 こな……っ 」

ゾルは、顔を上げて驚いた顔をした。


「 貴方……人間じゃ……ない? 神?私を助け………! 」



「 失せろ 」


帝は背中にしょっていた鎌を大きく振り下ろし、ゾルの長い髪を切った。



金色をしたつやつやした髪は、そのままぱらぱら、と床に落ちた。


「 何をするの─── 神様…?誰なの? 」
「 黙れ。俺の話をききやがれ。それ以上言葉を発したところで 」


帝は再度鎌を大きく振り下ろす。部屋全体が揺れた。


「 殺すよ 」
「 死神……っ! 」

ゾルは驚いて眼を丸くし、帝はにんまりと笑った。


「 君が依頼したんだろう?責任とれよ 」


フィルレも横で微笑む。ゾルは息を整えている。



ゾルは堪えきれないようで、泣き始めた。
嗚咽を漏らしながら、ゾルは叫んだ。


「 殺して……っ……! 」

Re: _____________melodie. 〜残酷な死神〜 ( No.7 )
日時: 2009/09/19 21:38
名前: 稀羅 ◆DRCiQieXkE (ID: Uohuc6GT)

--- 06


「 誰を殺せばいい? 」



さきほどまで穏やかな目をしていた帝は、
ゾルの言葉にすっかり殺す気満々モードだ。




「 姉を…っ 姉を殺した者の存在を、全て消して! 」


「 ふうん 」

帝はにんまりと笑った。真っ白な八重歯がのぞく。



「 お前が殺したこと、街中の奴が知ってるよ、きっと。
もう街じゃないけどね、カスだよね 」


帝は鎌を背負いなおすと、ゾルをにらみつけた。


「 真実を知っている奴を殺すとなると、
 何か大事なものをたくさんいただくことになりますよ 」



フィルレは言った。

「 命……とか……? 」



ゾルは不安そうに訊く。


「 俺は本当の死神じゃないから、命とかは要らない。
俺は、美しいものが欲しい 」

帝はそっぽを向くと無言で扉を開けて出て行った。


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