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- 機械少女。(グロあり)
- 日時: 2009/10/05 15:42
- 名前: テト (ID: VZEtILIi)
シリアス&グロ……はちょいあります。
でわ、どうぞ。よろしくお願いします。
■登場人物■
染井芳野
17歳。幼い性格の美少女で、屋上登校。時折毒舌を吐く事がある。ある秘密を持っており、そのせいで迫害を受けた為、感情が少々歪んでいる。
白羽冴
17歳。成績は中の下で、運動神経も普通のきわめてフツーの男子高校生。左目が潰れているらしく、長い前髪で隠している。
彼岸花
推定26歳。近所の駄菓子屋のお兄さん。本名は不明。お店の名前が「彼岸花」。飄々としていて、何もかもが適当。モテるらしい。
茲
推定8歳。彼岸花の娘らしい、無口な少女。
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- Re: 機械少女。(グロあり) ( No.1 )
- 日時: 2009/10/05 16:30
- 名前: テト (ID: VZEtILIi)
序章
蒼白の少女は屋上で悲しみを押し殺す
春。桜舞うキレイな季節。
俺は無事に、何の問題も起こす事なく、高校2年生になった。
結構成績が下で、心配していたんだけど。
花びらが風に揺られ、天気もいいから、今日みたいな日は一人で、屋上で食べようかと思ったりして。
急いで階段を駆け上がる。
何だか大声で叫びたい気分だ。やっと、2年生になれた。
たった1学年上がっただけだけど、かなり興奮していた。
屋上の扉を思い切り開け、明るい日差しが視界いっぱいに広がる。
「…………」
「…………」
停止した。
俺の動きも、脳も。
屋上には先客がいた。しかも、かなり可愛い美人で、髪の毛が凄く目立つ。
地球人か!と突っ込みをいれたくなるような、キレイな蒼白色で、腰以上に長かった。
大きな瞳で、しかも黒じゃなくてカラコンを入れてるんじゃないかと思うほどの青色で。
「あ、えっと……」
つまった言葉を必死で出そうとするけど、あまりにもそいつがキレイだったから、俺は必死で言葉を探して、
「……ご、ごめん。邪魔する気じゃないから。すぐに出て行く……」
次は、思考が止まった。
自分の見たものが一瞬信じられなくて、本当に驚いて、息が止まったかと思った。
何だ、こいつの「手」。
右手が……取れてる。
「…………」
「…………」
「……えーと。失礼します」
「ちょい待ち」
キレイな声で、その子が俺を引き止めた。
待てって、あいつの手、今どうなってんのかわかってんのか?もう一度、よく見てみる。
右手の腕から先がなくて、その子の隣に置いてある。その先端の無い腕からは、黒と赤の導線がビロ〜ンと飛び出している。
「ろ、ロボット……????」
「あぁ、コレ?うん。驚くよね。やっと今、お前が何に対して驚いているのか、わかった」
幼く、拙い口調でその子は言った。
そして、置いてある右手を左手で拾って、先端に接着させる。
「……アンタ、それ痛くないわけ?」
「どうして?芳野の腕なのに」
芳野……。
芳野!!?
「お前、“染井芳野”????」
「あったりー♪」
聞いたことある。染井芳野!1年の時、同じクラスだったけど、全然授業に顔出さなかった奴だ。こんな美人だったんだ。
「お前、学校来てたんだ……。て、てか!さっきの何?マジでお前、ロボットなわけ?」
染井はニカッと笑って、
「半分だけだよ」
少しだけ小さい声で言った。
半分……だけ?
半分だけっつー事は、体半分がロボット??
「ロボットって言ってたけど、芳野はねぇ。“セカンドサイボーグ0001”っていう正式名所があるんだよね」
せ、セカンドサイボーグ0001……?
何だよ、ソレ。
「お、お前……マジで言ってんのか?」
「それ、どーゆー意味かな?」
染井が首をキレイに傾けて訊ねた。
「お前が、サイボーグとか……。ありえない、し」
「芳野が、嘘ついてるって思う?」
声が、少し低くなる。
「いや、別にそう言ってるわけじゃ」
何かが、俺の頬をかすった。
早過ぎて、何が何だかわからなかった。でも、後ろを見ると壁に穴が開いている。
「…………ッッ!!」
「動かないで」
前を向くと、キスしそうなほど染井が近づいて、俺の頭に何かを突きつけた。ピタッと動きが止まる。
目を動かして横のを見ると、ソレは銃だった。
しかも、染井の腕の先から出ている。
「動いてもいいけど、脳みそ散らばるよ」
染井が無表情で俺を見る。
ガチャッと引き金を引く音がして、一瞬で皮膚があわ立った。
殺されるのか?俺。
こんな、得体の知れないクラスメイトに。
汗が流れる。
「芳野も喋りすぎた。反省。今ここで、お前の頭を粉砕して、記憶を失くそうとも思うけど、そしたらお前、絶対死んじゃうでしょう?」
「……」
無言で数回頷く。
「フツーの人間だから、フツーに心臓が止まって死んじゃう。でも、芳野は死なない。たとえ、」
そう言って、染井が自分の腕、つまり、銃口を自らの頭に押し、
「ッッ!!!」
撃った。
染井の華奢な体が倒れる。血が飛び散り、体が痙攣している。恐怖で目眩がし、吐き気がしてきた。
驚きすぎて、息も出来ない。
俺の目の前で、染井はしばらく倒れていた。
しかし、チラッと頭をこちらに向け、無邪気な笑顔で俺を見て、
「ね?死なないよ?」
そう言った。
血が、どんどん体に戻っていって、穴が開いているはずの頭には傷一つない。
「ねぇ、お前は何て言うの?」
「……し、白羽……冴……」
「サエ?冴……。わかった、冴だね」
何がわかったのか、よくわからないが、何かわかったらしい。
「冴、芳野はキミに重大な秘密を知られてしまいました。よって、キミを監視します」
- Re: 機械少女。(グロあり) ( No.2 )
- 日時: 2009/10/05 17:45
- 名前: テト (ID: VZEtILIi)
第一章
機械少女は監視として俺に纏わりつく
あれから、三日。
「……おい」
「何?」
「後について来るな。鬱陶しい」
「あ、ひどい。今、暴言言った。芳野、泣いちゃうよ」
あの染井芳野は俺に付きまとうようになった。
学校の授業には出ないけど、放課後とか、近所をぶらついている時とか。
「あのさッ。俺絶対誰にも言わねぇから!着いて来るの止めろッ!」
「……信用できない」
「いや、だから!信用しろって!」
「人間は、信用できない」
少しだけ、うっと唸ってしまった。
染井芳野の噂は、1年の時から少し聞いている。
何でも、精神的に病んでいて、何度も自殺未遂していて、挙動不審で、アブナイ奴。
それらしい生態は見当たらないけど、時折見せる暗い表所は、少し俺も気になった。
「まぁ、アレだよ。俺はあまり口柔らかくねぇし。それに、お前の秘密も守るから」
「信用できない」
キッパリ言われた。
てか、最近“芳野”なんて呼んでるし。しかも、向こうも普通に、俺の事名前で呼んでるし!
「冴、どこに行く?」
「近所の駄菓子屋。付いて来るな」
「芳野は、冴の監査役だ。気にしないで」
「いや、ムッチャ気になる!眠れねぇから!」
近所の駄菓子屋は、「彼岸花」とかいう名前で、そこそこの安い値段で菓子が買える。
「こんにちは。彼岸花」
「お、また来たの」
金髪に染めた髪を伸ばして、まぁ、結構格好いいんだけどどこか飄々とした彼岸花は、本名不明のお兄さんだ。
「あっれ〜?偉く美人な子といるけど。彼女?」
「違う。断じて。トモダチ」
芳野にさっそく目をつけた彼岸花が、マジマジの彼女を見る。芳野は真っ直ぐに彼岸花を睨んでいる。
「この子……人間じゃないね」
「……………はい??」
疑問符が浮かんだ。
「その子、セカンドサイボーグだね。へぇ、どこで手に入れたの?白羽くん」
「い、いや!え?てか、何で!?」
どうして一発でバレたんだ!
芳野を見ると、よほど警戒しているのか、俺の後ろに隠れている。
「どうして、わかったんだ?」
「んー?だって、俺も少〜し関わってるからね」
「この日本に、人間とサイボーグの合体版なんてあんのかよ」
「いるじゃん。彼女が」
芳野が怒ったような口調で、
「お前、芳野をどうする気だ」
「どーもしない。てか、ホントにいたんだねぇ。知らなかった」
彼岸花がカラッとした笑顔で言い、
「この事は、他言無用にしてくれよ」
「はいはい。わかってますよ、白羽くん」
- Re: 機械少女。(グロあり) ( No.3 )
- 日時: 2009/10/05 18:05
- 名前: テト (ID: VZEtILIi)
彼岸花によると、こういう事らしい。
セカンドサイボーグとは、体の一部がサイボーグ、つまり機械で作られている人間の事を指すらしい。
そういう人間は、重症の怪我を負った、病気で体の一部を失ったなどから、その失った体の部分を機会で補うらしい。
しかし、それには大きなリスクがあり、そのリスクをクリアした人間ではないと、副作用に耐えれなくなり、自ら命を落としたり、拒絶反応で死亡したりするらしい。
普通は、手や足といった体のわずかな部分だが、芳野はどうやら、「体のほぼ半分」がサイボーグらしく、彼岸花も珍しがっていた。
「かなりのリスク、背負ってるんじゃないの?」
「芳野、平気だよ」
芳野は、別に何も感じていないみたいだけど。
「で、彼岸花がソレに関わってるって、どういう意味だよ」
「それはさー、少し秘密なんだよね。ま、今は駄菓子屋やってっから。景気よくしてねぇ」
愛想よく手をふっている彼岸花の後ろから、一人の女の子がすっと出てきた。
この子、知ってる。
名前は、何だだったかな。滅多に見ないし、喋る事もないから、忘れた。
「茲、店番は今日はいいよ」
「……」
そうだ、茲だ。
あまり表情を変えず、無口だから時々いるのかいないのかわからない時がある。
彼岸花の娘らしいけど、詳しい事は知らないし、興味もない。
芳野は珍しそうに彼女を見ている。
「ところで、お嬢ちゃんは何ていう名前〜?」
「……染井芳野」
「ソメイヨシノ……。キレイな、桜の名前だね」
彼岸花が笑って、
「俺も、彼岸花。同じ花の名前っしょ?」
「芳野の方が、お花キレイ、だよ。彼岸花は、少し、寂しくなる」
拙い口調だった。
育ちのせいなのか、口調が少しだけ変だ。
「どっちも、キレイ。だけど、ね」
良かった。
彼岸花と仲良くなったら、俺からも離れていくかも。
「で、なーんで白羽くんにくっついてるのかな?」
「監査。冴が、芳野の秘密をバラさないように」
「そ、か」
蒼白の長髪をたなびかせながら、芳野がアイスを舐める。
「芳野、俺に纏わりつくの、止めろよ。絶対秘密は厳守すっから」
「ダメ。芳野は、決めた。冴と一緒にいる」
なんか、懐かれたンですけど……。
「いーじゃん♪嫌われるよりは、マシでしょ?」
彼岸花も何か言ってるし。
まったく。
♪
いくつもの死体がありました。
いくつもの死体がありました。
その中央で涙を流しながら、歌姫は歌います。
その中央で血を流しながら、歌姫は嘆きます。
どうして、助けてくれなかったの?
どうして、助けられなかったの?
答える者は誰もいませんでした。
答えられる者はいませんでした。
赤く滲む白いドレスに、歌姫の涙がこぼれます。
小さく震えるその肩に、そっと誰かが手を置きます。
歌姫はそちらを見つめました。
誰かは歌姫を見つめました。
淡く儚い幻想の中、今夜も歌姫は、
死体に子守唄を聴かせます。
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