ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 兎姫・迷宮−ラビンス・ラビリンス−
- 日時: 2009/11/18 18:02
- 名前: ルナ (ID: tt6yt7Ql)
魔法(風・雷・炎・水を操る)を使うことが出来ます♪
典型的な魔法物語ですが。
ラビンス 姫
バニークと双子
クリームとは親友
レオンと婚約
レオン 王子様
ラビンスと婚約
クリーム 精霊
ラビンスと親友
バニーク 姫
ラビンスと双子
シルヴァと婚約
シルヴァ 王子
バニークと婚約
わけわかんないかもしれませんが。
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- Re: 贖罪 ( No.1 )
- 日時: 2009/10/07 20:17
- 名前: ルナ (ID: tt6yt7Ql)
「うぁ…」
苦しそうに肩で息をしながらラビンスは寝返りを繰り返す。
魘されているのはよくあることなのだけれど、やっぱり今日は尋常じゃない。
「姫……」
レオンはラビンスの額に掌を寄せた。
「後ろ!」
王宮。レオンとラビンスの寝室とはまた違った、王子と姫が眠る部屋。
シルヴァとばにーくの寝室で、王子の叫び声が響いた。
なぜかというと、姫の背後に暗殺を謀って真夜中に忍び込んできた曲者が襲いかかっていたから。
だが、王子は姫を助けたりはしない。
理由は、しなくても大丈夫だから。
姫はそれくらいの力量は持っている。
ほら。
声で気付いたバニークは振り返って暗殺者を倒そうとする。
その理由は。
「ラビンス…?」
最後の言葉。
シルヴァの魔法も間に合わなく、バニークは少女の手によって焼き殺された。
実は。
バニークを殺してしまう夢はよく見るのだけれど、幼くはない姿でバニークを殺す夢は、未来のことを予知しているようで、過去の夢を見るより辛かったりする。
あの時の罪はまだ償っていないし、その痛みを背負わなければいけないことも分かっているのだけれど。
自分は、別に想像力が強い方だとは思わない。
それでも…容易に想像できてしまうんだ。未来が。
それはとても過酷なもので。
私はそれに耐えられるほど、強くなんてないんだ。
場面が変わった。
あれは———クリーム?
と、小さなクリーム色の精霊は私の前に降り立った。
厳しい顔で、私を見ていた。
笑ってくれることはなかった。
「ラビ…?戦う気、ある?」」
クリームの問いに、夢の中の私は答えた。
「死んでも、いいかな…。生きてたって仕方ないし。」
本当は、わかってた。バニークを殺してしまえば後戻りなんてできないって。
クリームは、絶対私とは一緒にいてくれないって。
という、心の声が伝わってくる。
後悔の念と、決意の念が。ほんの少し、後者の方が強く。
「わかってて、バニーちゃんのこと、殺したんだね…」
だから、どうか私を殺して。クリーム。
夢の中の自分は、そんな思いの中で笑った。
「ごめん。だって、最後はクリームに殺されたかったんだもん。」
その笑顔の瞳から、流れ落ちるのは一筋の涙。
それが地に触れるのと同時に、ラビンスの体は力を失くした。
ふわふわと飛んできて、ラビンスの顔の近くに降りた。
「ばか、でしょ」
「わかってる…ごめんねって、シルヴァ王子と、レオンに伝えておいてくれる?あの人たちには、本当に申し訳ないことしたと思っているから」
辛いはずなのに、一息で言って息を吐いた。
「あとさ、ごめん。クリーム。一番…ごめんね?私のわがままに突き合わせちゃって、本当に…」
やだっ
聞きたくない。
想像していたことと、まったく一緒。
悲しくて、つらくて、負の感情が湧きあがってきて。
夢だってわかってる。
でもさ、これがまるっきりでたらめだなんて、思えないんだ……。
自分はきっと、人を巻き込んで自分の弱さから逃げたり、平気でしちゃうと思う。
だって、今だってそうだよ。夢の中の自分の気持ち、わかるって思ったもん。
やっぱり、耐えられなかったんだから。
「ごめん」
そういった時の夢の中の自分の気持ち。
伝わってきた。
これが本当の未来だったら。
額の近くに微量の殺気。
これ、誰から伝わってくるもの?
夢の中の自分は、もう死んだんだよね。
あれ?
クリームの後ろに、クリームより少し大きな精霊が。
「ラビリンス!」
叫んでいた。掌からほとばしったのは雷。
こんな私だけど、友達の死を、願っているわけじゃないんだ。
出来ることなら、助けたいと思ってしまうよ。
だから———
せめてもの償い。
私の力は夢の中に届くかな。
届くように。守れるように。
大切なもの。
いつかは失ってしまうってわかってる。
だから、ね?
自己満足でいいから。
今だけでいいから。
私に、守らせて———
弾けた。
電流の、光の刃が飛び散る。
まぶしくて何も見えない。
届いたかな、守れたかな……
一連のまぶしさが明け、ラビンスは薄目を開けた。
「姫、大丈夫か?」
ぼんやりと見える人影。
聞きなれた声が聞こえた。
徐々に視界がはっきりしてくる。
「あ…」
夢見てたこと、途中から忘れてた。
目の前には、目を細めて問ってきたレオンが。
「ごめん…夢、見ちゃって」
笑ってみせる。
この人にも迷惑かけちゃうんだな。
「分かってる…」
囁きながら、俯いているラビンスの頬にちゅっとキスをする。
「ねぇ…」
気づいて、レオンの手をとる。
辺りが散らかっていること、おかしいと思ったんだ。
「私、こっちで力使っちゃったんだ…」
でも、大きなけがしてないとこ、さすがレオンだと思う。
「ごめんね…」
レオンの指先をなめる。
私が放った雷。
きっと相当のものだったと思う。
守ろうと思って使った力は、結局、傷つけることしかできなかった…
雫が、頬を伝って落ちるのを感じた。
守りたい。
壊したくない。
———失いたくなんて、ないよ…
涙を救う、レオンの指。
こんなにも優しいこの人を、私は傷つけてしまうなんて。
なら、いっそ。
「その前に私を殺してくれればいいのに…」
レオンの指からもあふれた涙が床に落ちる。
「殺して、もう何も失いたくなんてないから」
ごめんなさい。
こんな役目、貴方にお願いして。
でも、あんなことを起こしてしまうのなら、自分はここで散った方がいい。
クリームに殺されるために、バニークやみんなを傷つける前に。
私を殺して。
「姫。…その夢が本当だっていう証拠はどこにもない。」
まるで、一緒に夢を見てきたような、心の中を読んでいるような言葉。
「分かってる、けど。・・・けどっ」
貴方は聡いから。
言いたいことは分かっているのでしょう?
貴方を傷つけたくはないの。
「愛してる」
私だって、レオンのこと大好き。愛してるよ?
「だから、姫を殺すことなんて、出来ない」
でも、殺さないと、自分が傷つくことになるんだよ?
「ごめん」
レオンの言葉に、ラビンスは少し顔をあげた。
「妹姫や精霊の友達だったら、きっと、姫のこと、殺したんだろうな…」
夢の中で、クリームは、すぐに殺してくれたっけ。
「でも、俺は、想いを犠牲に、願いを聞くことなんて…。ごめんな。姫が好きだ。愛してる。妹姫たちのように、思い出だけで生きていくことなんて、出来ないんだ…」
ごめん、ともう一度レオンは囁いた。
ラビンスの頬を伝ったしずくをなめるレオン。
優しい、優しい。
レオンの言葉に、背くことなんて、まだ私にはできないみたい。
だからもう少しだけ、生きていてもいいかな?
レオン。
貴方は、幸せになれるように。
- Re: 贖罪 ( No.2 )
- 日時: 2009/10/07 20:24
- 名前: ルナ (ID: tt6yt7Ql)
終了、です。
レオンの言う、『妹姫』は、バニークのことです。
回覧、ありがとうございました♪
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