ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- アルメリア
- 日時: 2009/10/16 21:39
- 名前: 霧茜 (ID: 7z3IIjJJ)
みなさんこんばんは!霧茜です
銀蝶マリアと同時進行でこちらも書いていこうと思います。
どうぞ温かい目で見てやってください
>>1 vol.1
>>2 vol.2
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- アルメリア vol.1 ( No.1 )
- 日時: 2009/10/12 21:39
- 名前: 霧茜 (ID: 7z3IIjJJ)
アルメリア vol.1
「久しぶり、100年経っても変わってないようで」
赤い髪、紅い瞳、赤いドレスに身を包んだ女が言った。
「あなたがこっちに来るなんて、珍しいじゃない」
すると、今度は黒い髪、黒い瞳、漆黒の服を着た女が笑いながら言った。
「ちょっとした手違いでね、いろいろ仕事ができちゃって」
「手違い?」
「うん、無罪の奴が落ちてきたから、リリースしに来たの」
「へぇ、面白そうね、それ」
赤い女は興味深そうに瞳を輝かせた。
「ねぇ、どんな人間なの?遊びがいある?」
「残念だけど、人間じゃないよ」
「え?」
黒い女はニコニコしながら言った。
赤い女は怪訝そうな顔をする。
「人間じゃないって?」
「うん」
「じゃあ何なの?」
「吸血鬼」
黒い蝶々を羽ばたかせ、暗い森の中
見えてくるのは、大きな廃墟。
廃墟の中は趣味の悪い銅像や置物が並んでいる。
その先を進んで、大きな扉。
キィィィィ・・・・・・・
ゆっくりと開ければ、顔がこちらに向かれる。
「・・・あ・・・」
「怪我の調子はどう?吸血鬼さん」
「・・うん、大分マシになってきたけど・・えっと、」
「ああ、様子見に来ただけだから、そのまま寝てていいよ」
「・・・・ありがとう、ごめんね?」
寒いくらい涼しい風。
真っ暗な部屋に差し込む月の光。
金色の髪に反射して、すごく綺麗だった。
NEXT vol.2
- アルメリア vol.2 ( No.2 )
- 日時: 2009/10/16 21:38
- 名前: 霧茜 (ID: 7z3IIjJJ)
アルメリア vol.2
ガ、シャン・・・
硝子が割れる音
足元には気に入っていたワイングラス。
「さいあく・・・・」
手がまだ震えるみたいだ、グラスが掴めなかった。
割れて粉々になったグラスを見て、これがワインだった時よりマシかとため息を吐いた。
「あーあ、」
後ろから女の声。
振り向かなくても誰だかわかった。
「まだ動かないほうがいいのに」
「あはは・・どうしても飲みたかったからさ」
「で、割っちゃったんだ」
女は割れたグラスを眺めておかしそうにクスクス笑った。
「うん、手が滑っちゃって」
「よかったね、あたしがいて」
「・・?」
「直してあげるよ」
女は屈みこんで、スッと破片に手をかざす。
すると、黒い光と共に現れる漆黒の蝶。
蝶はヒラヒラと舞い、目を奪われた。
「はい」
「えっ・・・、」
蝶を見ていたら突然目の前に差し出されたもの、
さっき割ったワイングラスが元の形に戻っていた。
「あ、・・ありがとう」
「ワイン飲みたかったの?」
「うん」
「注いであげるからまだ動かない方がいいよ。もう割りたくないでしょ?」
「あ・・うん、それじゃあ、お願いします」
改めて、女を見て思った。
魔女、か・・・・。
「ねぇ魔女さん」
ワインを持ってきてくれた女に話かける。
「・・リカオン」
「え?」
「名前。そういえば言ってなかったから」
「・・・」
「大丈夫、今回は本当の名前だから」
女、リカオンはそう言って笑った。
「・・じゃあ、リカオン。俺の怪我が完璧に治ったら、何かお礼するね」
「人間じゃないのに律儀だね」
「うーん・・でも本当にリカオンには感謝してるから・・」
「お礼ねぇ・・・あ、いいこと考えた」
リカオンは俺に近づいて、そのまま首に手をかけた。
「!?」
「これ頂戴」
そう言ってリカオンは、俺の付けていた黒い十字架の首輪を奪った。
「・・・いいけど・・それだけ?」
「それだけ」
リカオンは笑いながら、窓を開けた。
涼しい風が吹き込んでくる。
「じゃ、また来るね」
「えっ・・」
羽ばたく漆黒の蝶。
リカオンは、魔女。
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