ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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† 失われた記憶 †
日時: 2009/10/26 16:22
名前: *'`魅華..$! ◆YYYugkJ222 (ID: ZvRr1aJX)
参照: (★%'ω`*$) __ This is our true story.

√ $.⌒PROLOGUE % !‾\________


 柔らかな粉雪が舞う夜

 途切れてしまったアナタの糸

 アナタに何が起こったの?

 アナタは何を覚えているの?

 
 アナタは何か思い出せるの?──

 私を…覚えているの?


 何故 忘れてしまったの…?

     __________/‾ 〓.END */



■テーマソング

卍 19 Memories ((加藤ミリヤ
卍 memories    ((大槻真希

Page:1 2



Re: † 失われた記憶 † ( No.2 )
日時: 2009/10/26 16:35
名前: *'`魅華..$! ◆YYYugkJ222 (ID: ZvRr1aJX)
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√ $.⌒STORY % !‾\________


 いつもと変わらない静かな日。
 今日もまた雪の舞う街を2人で歩く。
 当たり前の日常だった。

 「…梨乃?」
 「ん?何 涼太?」
 「俺さ…お前のこと一生忘れねえよ」
 「…!なっ…いきなり何言ってんの!?」

 毎日のようにお互いの愛を確かめて
 本当幸せとしかいいようのない日々。
 いつも一緒にいる梨乃と涼太は
 誰から見ても幸せそうなカップルだった。

 「…涼太」
 「何だよー」
 「あたしも大好き…っ」

 ひとけのない街に2人は綺麗に映えた。


 「じゃーね、涼太。また明日っ!」
 「おー 風邪ひくなよー!メールすっから!」
 「はいはい!じゃーねえ!」
 「おー」

 バタン…

 1人暮らしの梨乃は冷えた家に入る。
 どんなに寒い日でも涼太といれば感じない
 冷たさを 家に入れば一層強く感じる。

 「…っ 寒っ!」

 ストーブに火をつけながら体を摩る。
 本当、寒い。
 早く暖まりたくて、お風呂に湯を張りに行く。
 それから戻ってくると
 部屋はだいぶ暖まっていた。
 はあ、と息をつくとベッドに倒れこんだ。

 そして、そのまま眠りについた。

     __________/‾ 〓.END */

Re: † 失われた記憶 † ( No.3 )
日時: 2009/10/26 16:49
名前: *'`魅華..$! ◆YYYugkJ222 (ID: ZvRr1aJX)
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√ $.⌒STORY % !‾\________

 
 ふいに目が覚める。
 お風呂に入ってないし 食事もしていない。
 でも 動きたくない…。
 今何時…と時計を見れば深夜1時を差している。
 いいや、とばかりに梨乃は再び
 布団にもぐりこんだ。

 その時…

 ヴーヴー…

 携帯が鳴る。
 その音に梨乃は飛び起きた。

 画面を見ると
 「新着メッセージ1件 涼太」
 と表示されている。
 さっきまでの無気力さなどどっかに吹っ飛び、
 カチカチと携帯のボタンを押す。
 しかし、そこに表示されたのは、

 「らなよさ」

 という意味不明な文章だった。

 「何これ」
 
 梨乃は不思議に思い、メールに返信をする。

 「涼太あ!(^O^)/ 夜遅くにごめん<(_ _)>
  さっきのメール何?
  教えてえっ(> <))」

 送信ボタンを押す。

 カチ…


 ………こない。
 今まで10分以内に来ないこと なかったのに。
 てか もう30分経ったのに…。
 寝ちゃったかな…?
 でも涼太からのメールは来たのが35分前。
 その5分後にメール送ったんだから
 いくらなんでも起きてるはず…。

 少し不安を覚えた梨乃は
 涼太に電話をかけた。
 しかし──…

 「おかけになった電話番号は 現在──…」

 え・・・
 どういうこと?
 だって…涼太の番号だよ?これ…
 何で…?

 何度かけても機械的な女性のアナウンスが響くだけ。

 梨乃はパニックに陥っていた。

     __________/‾ 〓.END */

Re: † 失われた記憶 † ( No.4 )
日時: 2009/10/26 17:13
名前: *'`魅華..$! ◆YYYugkJ222 (ID: ZvRr1aJX)
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√ $.⌒STORY % !‾\________


 不安で一睡もできないまま
 梨乃は一夜を明かした。
 いつも来てくれる涼太の迎えもなく
 ひとりで学校に来る。
 涼太がいないとこんなにも街は寂しいんだ。
 こんなにも風は冷たいんだ。
 朝から涙を流す梨乃の心に
 涼太は気付いているのかな──。

 「…っ梨乃!?」

 学校について一番最初に
 梨乃の異変に気づいたのは
 真桜だった。

 「ま…おっ…」
 「何…どうしたの!?言ってみ…」
 「りょ…た…があ…っ」
 「り、梨乃!!」

 バタッ…

 
 梨乃は気がつけば 学校の保健室にいた。
 
 「…!梨乃、梨乃っ、大丈夫?!」
 
 泣いていたのだろうか…
 真桜の目は真っ赤で服の袖が濡れている。
 その後ろに愁也もいる。
 
 「夢原…何があったんだよ」
 「ほんと…どうしたの…いきなり倒れるなんて」

 はっと我に返り、突き付けられた現実を
 少しずつ思いだしていく。
 それに伴って梨乃の目から涙があふれる。

 「梨乃…どうしたの?涼太クン今日来てないけど…」
 「えっ…涼太来てないの…?」
 「喧嘩でもしたのかよ」

 喧嘩なんかじゃない。
 そう言おうとした梨乃を涙が邪魔する。
 
 涼太──。

 結局真桜達には何も言えないまま
 保健の先生、佐上先生に言われて
 梨乃は学校を後にした。

     __________/‾ 〓.END */

Re: † 失われた記憶 † ( No.5 )
日時: 2009/10/26 17:45
名前: *'`魅華..$! ◆YYYugkJ222 (ID: ZvRr1aJX)
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 家に帰ってからも梨乃は
 涼太が心配でたまらなかった。
 だから梨乃は涼太の家へ向かった。

 ピンポーン…

 「はい?」

 戸の向こうから声が聞こえる。

 「あっ、あの…夢原といいます。」
 「ああ、涼太の彼女さん!ちょっと待ってねー」

 ガチャ…

 そこから出てきたのは、涼太の姉・春華さん。
 その奥に涼太の兄・翔太さんと弟・悠太君。
 涼太の家は兄弟が多い。
 もう1人末っ子の秋菜ちゃんがいる。
 どうやら学校に行っているようだ。

 「お母さーん、梨乃ちゃんきたよーっ」

 涼太の家族は梨乃を気に入っている。
 遊びに来た日に春華さんと一緒にお菓子を
 作っていったのだが、それがおいしくて
 「料理の上手い子」として母と春華さんが
 気に入ってくれたのだ。

 「あら!梨乃ちゃん 久しぶりね!いらっしゃい」

 明るい笑顔のおばさん。
 梨乃もまた、この家族が好きだった。

 「今日はどうしたの?お菓子作る?」
 
 笑いながら話しかけてくるおばさん。
 でもどこかおかしい梨乃の笑顔に
 おばさんはすぐ気付いたようだった。

 「今日は涼太さんは…?」

 少し怯えるように話しだす梨乃。
 すると悠太君が言った。

 「涼にぃなら梨乃さんの家行くっつってた」

 悠太君もなんだかんだ言って小学6年。
 少し恥ずかしめの声だった。

 「涼太さんとは昨日…8時頃別れたよ?」
 「だって涼にぃきてねえもん」
 「涼太は梨乃ちゃん家泊まるって…」

 春華さんが読んでいた雑誌から目を離して言う。

 泊まる…?

 梨乃を黒い何かが覆った。

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Re: † 失われた記憶 † ( No.6 )
日時: 2009/10/26 18:03
名前: *'`魅華..$! ◆YYYugkJ222 (ID: ZvRr1aJX)
参照: (★%'ω`*$) __ This is our true story.

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 「涼太…いねえの?」

 翔太さんも話す。
 一瞬にして涼太の家族の空気が変わった。
 誰もが不安を感じた。

 『涼太がいない』

 誰もがそう感じた。
 
 「だってほんとだよ。涼にぃさあ…
  電話よこしたんだぜ?
  8時過ぎ…8時10分ぐらいかなあ。
  『梨乃ん家とまるわ』って。
  んで俺『お幸せに』っつって怒られたんだ」
 「8時10分…?」
 
 別れた直後…?

 やっぱり泊まろうかなっていう
 いつもの気まぐれだろうか。
 だから家に電話して…?

 じゃあ涼太はどこに行ったの?
 8時には梨乃が涼太を見ている。
 8時10分には悠太君が電話をしている。
 じゃあそのあと…?

 おばさんが震える声で梨乃に話しかける。

 「梨乃ちゃん…そのあと涼太と連絡は…?」

 ──あのメール…

 「…1時頃に…涼太からメール…来て…」
 「なんて来たの?!それ、今ある?」
 「はい…」

 バッグから携帯を取り出して
 あのメールを探す。
 涼太からメールが来たあとに
 真桜や愁太からもメールが来たので
 消えてしまったかも知れない…と思ったが
 ずいぶんと下の方にあった。

 そこにはあのままの文章。
 「らなよさ」と書かれた短いメール。

 「らなよさ…?なあに、それ?」

 おばさんもまるで同じ反応。
 すると、春華さんが言った。

 「それ、『さよなら』じゃないの!?」

 らなよさ…さよなら…

 嘘…

 それは暗号でも何でもない文章。
 ただ、さよならを逆から書いただけだった。

 何を意味するの…!?

 再び梨乃の目からは涙があふれた。

     __________/‾ 〓.END */


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