ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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檻の中の小鳥
日時: 2009/10/28 06:49
名前: 結崎頼火 (ID: cYSZrqDn)

  ◆プロローグ◆
 はじめまして、ボクはこの家で飼われている小鳥です。ボクは数年前からこの家で飼われています。
 この家の主は、小日向聡吾こひなたそうごといいます。今年で46歳になります。彼には、里子さとこという名前の14歳になる女の子がいます。彼女はよくボクと遊んでくれました。里子は小さいころの交通事故が原因で、体を動かすことができなくなってしまったのです。
 ボクは彼が嫌いです。彼はボクのことを汚いモノでも見るような目で見るからです。彼のボクに対する扱いはとてもひどかったのです。
 里子の母親ははるかといいます。里子の体が不自由になってから、ずっと彼女の世話をしてきました。家事をしながらですから、とても大変だったと思います。
 遥は聡吾の後妻で、前の妻は病気で数年前に死んでしまいました。つまり、里子と聡吾は本当の親子ではないのです。
 遥はもともと気が弱いので、聡吾のすることに何か意見するということができませんでした。
 この家は森の中に建っています。聡吾は作家で、小説を書くために静かな環境を望んだので、ここに家を建てたと聞いたことがあります。
 この家にはあまり人は来ません。しかし今日は違います。この家でパーティーをすることになったからです。聡吾の書いた小説が賞をとり、そのお祝いのためのパーティーなのです。ただ、パーティーといっても、それほど大掛かりなものではありません。親戚などを集めたうちわのパーティーなのです。

  ◆1◆
 
 遥は、朝からパーティーの準備をしていました。料理の買い出しや、会場の準備などをしていると、あっという間に午後になってしまいました。「パーティーの準備はできた?」と和馬かずまが言いました。
 和馬は小日向家の長男で今は東京の建設会社に勤めています。建設会社に勤めているだけあって体格はとてもがっしりとしています。今住んでいるのは東京ですが、今日はパーティーなのでこの家に来ています。
「ええ、あとは料理だけね。料理は恵理子えりこさんが手伝ってくれるんですって」
 遥が立ったまま言いました。
「何時に来るの?」
「2時ごろには来られるって」
「まだ時間があるね。軽く何か食べとく?」
「そうね、この子にも何か食べさせなきゃいけないし。ほんと、もう14歳なのに小学生くらいの身長しかないんだから、もっと食べないと大きくなれないわよ。それじゃ、何か作るわね」
「親父は?」
「今小説を書いてて手が離せないんだって」
 そう言うと遥は料理を作るためにキッチンに向かいました。

 昼食をすませて休憩していると、玄関のチャイムが鳴りました。
「たぶん、恵理子さんだわ」
 遥はソファーから立ちあがって、玄関に向かいました。玄関の扉をあけると、そこには秋本恵理子さんが立っていました。
「いらっしゃい、早かったわね。どうぞ、入って」
 遥は恵理子さんをリビングルームに案内しました。 恵理子さんはF出版の編集者で、賞をとった聡吾の小説も担当しました。
「飾り付けはもう終わったんですね」 
 恵理子さんはソファーに座りながら言いました。このリビングルームが、パーティーの会場なのです。
「あとは料理だけよ」
「料理ならまかせてください」
 恵理子さんは自信満々に言いました。2人がそんな会話をしていると、遥がコーヒーを入れて持ってきました。
「どうぞ」
 そういって遥はみんなにコーヒーを配りました。
 それからしばらく雑談をしていると、あっという間に時間が経ってしまいました。
「それじゃ始めますか」
 遥がそう言うと、2人は立ち上がってキッチンに向かいました。

 2人が料理を作っていると、玄関のチャイムが鳴りました。遥は料理を恵理子さんにまかせて、玄関に向かいました。玄関の扉をあけると、3人の人物が立っていました。小日向家次男の貴夫たかおと、聡吾の大学時代の親友の川上一也かわかみかずやさんと田所賢二たどころけんじさんです。
 和馬と貴夫は前妻の子供なので遥とは血はつながっていません。
 貴夫は1年前に家を出て、兵庫でアルバイトをしながら1人暮らしをしていました。
 遥は3人をリビングルームに案内しました。
 4人がリビングルームに行くと、聡吾がいました。
「やあ、よく来てくれたね」
 聡吾が言いました。
「こちらこそ、招待していただいて」
 川上さんがそう言いながら頭を下げると、田所さんも一緒に頭を下げました。 
「なかなかいい家ですね」
と、川上さんが言いました。2人はこの家に来るのは初めてなのです。
「あと少しで小説が書き終わりそうなんだ。すまないが、先に食べていてくれ」
 聡吾はそう言うと部屋を出て行ってしまいました。「もう、あの人のためのパーティーなのに・・・それじゃ、食べましょうか」
 遥はそう言うとキッチンから料理をとってきて、テーブルの上に並べました。
「さあ、始めましょうか」
 遥はグラスを配りながら言いました。
「そうだ、あなたは飲めなかったわね。待ってて、今ジュースを持ってくるから」遥がジュースをとりにいっている間に、恵理子さんがみんなのグラスにビールをつぎました。遥がジュースを持ってきてグラスについだところで、和馬が言いました。
「親父はいないけど、乾杯」
「乾杯」
 みんなもグラスを持って言いました。
 

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Re: 檻の中の小鳥 ( No.3 )
日時: 2009/10/27 20:46
名前: よぉ (ID: wbEZ.sQ0)

初めまして。 よぉといいます。

ここからどう、シリアス・ダークになるのか読みどころです。

更新頑張って下さい。

Re: 檻の中の小鳥 ( No.4 )
日時: 2009/10/27 21:38
名前: ひなき、 (ID: 4a6peOBE)

こんにちは。
小説は、>>0に書くのではなくてコメントの部分に書いていいんですよ

Re: 檻の中の小鳥 ( No.5 )
日時: 2009/10/27 22:52
名前: 結崎頼火 (ID: cYSZrqDn)

そうなんですか! すみません。始めたばかりの者なんで。 というわけで、さっそくコメントのほうに書かせていただきます。

Re: 檻の中の小鳥 ( No.6 )
日時: 2009/10/27 22:54
名前: 結崎頼火 (ID: cYSZrqDn)

「あれ?里子ちゃんは?」
 川上さんが言いました。 
「あの子、気分が悪いらしいのよ。今日は1日中部屋にいるみたい」
と、遥が言いました。 
 みんながリビングルームでパーティーをしているとき、里子は1人で自分のベッドに寝ていました。里子の部屋はリビングルームから少し離れた家の奥にあります。里子の部屋には扉が2つあります。1つは廊下に、もう1つは部屋に入って左側の、聡吾の書斎に通じる扉です。聡吾の書斎をはさむように、右側に里子の部屋、左側に今は使われていない空き部屋があります。空き部屋には、鍵の壊れた廊下の扉以外に扉はありません。しかし、空き部屋と書斎をへだてる壁には中学生がやっと通れるくらいの穴があいています。1年前に急に壁が崩れて穴があいてしまったのです。
 里子の部屋には、里子が横になっているベッドが1つと、その横に机と椅子があり、部屋の隅に車椅子があります。 
「里子ちゃん、料理持ってきたわよ」
 遥が料理を持って部屋に入ってきました
「食べたくない」
「そんなに気分が悪いの?」
「大丈夫だから」
「それならいいんだけど・・」
そう言うと遥は部屋を出て行きました。
 リビングルームではまだパーティーが続いていました。聡吾はまだ戻ってきていません。

 青ざめた顔の聡吾がガタガタと震えています。なぜだか分かりますか?猟銃の銃口が聡吾の頭を狙っているからなのです。
「やめろ…やめてくれ…」
 聡吾はそう言いながら、少しずつ後ずさりしました。ボクは本当にうれしかった。聡吾が死ぬところを見られるのですから。
「助けてくれ…」
 銃口は聡吾の頭を狙いつづけています。そしてついに、猟銃の銃口が火を噴きました。弾丸は聡吾の額に命中して、彼は床に倒れました。聡吾は死んだのです。そのあとすぐ、猟銃が床に落ちる音が部屋中に響きました。死体の足元に猟銃が落ちています。
 この部屋は里子の部屋の隣にあります。部屋の中にはいくつかの家具があり、天井には小さなシャンデリアが下がっています。窓は1つありますが、内側から施錠されています。この部屋にも扉が2つあります。1つは廊下に、もう1つは里子の部屋に通じています。廊下側の扉も内側から施錠されていますが、里子の部屋に通じている扉は施錠されていません。
 廊下の扉が勢いよく開いて、遥と川上さんが部屋に飛び込んできました。
「大丈夫?里子」
「何があったの?隣の部屋から銃声が」それを聞いた遥は、隣の部屋に通じている扉を見ました。
「里子、銃声がしてから私が入ってくるまでの間に、この部屋を通って誰かが廊下へ出て行った?」
「いいえ、誰も…」
 里子が言っていることは本当です。隣の部屋で聡吾が死んでから、この部屋を通って廊下へ出て行った人間は誰もいません。里子の部屋にも窓がありますが、その窓も施錠されています。
 川上さんは扉をゆっくりと開けました。 
「聡吾さん!」
 川上さんは一歩後ずさりしました。
「誰もいない…」
 隣の部屋をのぞきこんだ川上さんが小さな声で言いました。そうなのです。聡吾が死んでいる書斎には、犯人はいないのです。
 廊下の扉の鍵を開けると、田所さん、恵理子さん、和馬、貴夫が入ってきました。
「なんてことだ…」
 誰かがそう言いました。
リビングルームに、全員が集まっていました。里子も、車椅子にのせて、ここに連れてきています。
「お願いします」 
 川上さんが警察への電話を終えて、電話を切りました。
「20分くらいで来れるそうです」
「もしかしたら…現場を見てきます」
 しばらくして、川上さんが言いました。
「ちょっと待て、川上。警察が来るまで現場はそのままにしておかないと」
「心配するな、見るだけだ」
「それなら俺も行く」
 田所さんが言いました。

「なるほど」
 川上さんが部屋を見回しながら言いました。
「どうした?」
「これを見てくれ」
「これって猟銃のことか?べつに変なとこはないが」
「猟銃は変じゃない。落ちている場所だよ」
「場所って、死体の足元じゃないか」
「違うよ。ほら、この猟銃はシャンデリアの下に落ちているんだ」
「それがどうしたんだ?」
 川上さんは、その問いには答えず、何かを探しています。
「おかしいなぁ。どこかにあるはずなんだけど」
 そう言って川上さんは考え込んでしまいました。 
 ◆さて、ここまで読んで下さったあなた、どうもありがとうございます。そして、もう謎は解けましたでしょうか?
 なぜ犯人は、みんなが現場に来たとき、現場の部屋にいなかったのか?犯人は誰なのか? 
 聡吾が殺されていた書斎の窓と廊下側の扉、里子の部屋の窓は間違いなく施錠されていました。犯人はそこからは逃げておりません。 そして、犯人が殺してから遥と川上さんが里子の部屋に入ってくるまでの間に、里子の部屋を通りぬけて廊下に出て行った人間もおりません。ちなみに、川上さんが探していたものは「ロープ」です。
 そうだ、もしかしたらあなたは、犯人は里子の部屋のベッドの下にでも隠れていたのだ、とか犯人は聡吾を殺してから、里子のいる部屋に入り、死体が発見されるまで何気ない顔をしてそこにいたのだ、と思っていませんか?だとしたらそれは間違いです。里子の部屋には隠れられる場所は一切ありません。
 そうそう、最後にあなたに言っておきましょう
  ◆私はあなたに挑戦する◆って挑戦できるレベルじゃないんですけどねww

Re: 檻の中の小鳥 ( No.7 )
日時: 2009/10/28 19:22
名前: 結崎頼火 (ID: cYSZrqDn)

動機は書いていませんが、ここに書いてある情報だけで推理することができます。解けるでしょうか?


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