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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 片翼のヴァルジール
- 日時: 2009/10/28 20:41
- 名前: KYAS (ID: YiQB1cB2)
「ヴァルジール」
静寂に浸る宵闇の中、女は無機質なそれに触れて、そんな単語を口にした。女の横顔は物寂しげで、虚ろであった。
無意識に発した単語だったのか、女は数瞬後にハッとして、落胆と捉えられるため息を一つ、ついた。
その虚ろな視線の先にはやはり、無機質なものが存在する。とても大きい。中学校の校舎程度だろうか。姿は宵闇に隠され、特定することができない。
まだ私は未練があるのか、と自嘲気味に悟る。もうこれが動かなくなったのは一年以上も前なのに、まだ自分は希望を持っている。
ああ、違う。これが動くことを望んでいるのではない。これを動かす人を望んでいるのだ。正確には、これを動かしていた人——。
「……ヴァルジールっ……」
再び女の口から、その単語が発せられた。
今度は無意識ではない、はっきりと、意識して。
願わくは、再びあの青空を共に翔けんことを。
————
初めまして、KYASと言います。
読み方はそのまま英単語として捉えてもらっても、ちょっとムリにキャスと読んでいただけても構いません。
小説歴は……後少しで二年? まぁ、ひよっこです。
分類はシリアス? と思います。グロい描写はほとんどないかと。あ、SFが入ります。
至らぬ点が多いと思いますが、どうか宜しく御願いします。
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