ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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俺と世界の夢戦争〜Mind war〜
日時: 2009/12/05 14:14
名前: 十六夜 葉月 ◆Gl6JohbFiw (ID: A8w5Zasw)

大半の方、初めまして。そしてHNは違いますが前作を知っている方はお久しぶりです。

敢えて前HNは名乗りません。作品を読んで「この人かな?」と思った場合は気兼ねなく訊いて下さい。


作品の感想や誤字や脱字の報告、アドバイスは有り難いのですが、ネットマナーを守って下さい。

特に、内容の薄いコメント(頑張って下さいや良いですね、等)や一行レス、顔文字やギャル文字の使用、許可をとらずに宣伝やタメで接する事等は禁止します。

それでは至らない所も多々ありますがお付き合い下さい。

war:-1 タイトル、無題>>1
war:0 忘却と言う名の舞台の上のニチジョウ>>2
war:1 思い出は鮮烈に(前編)>>3
war:2 思い出は鮮烈に(後編)>>4
war:3 小さな盤上の哀れな駒よ>>5
war:4 聖戦の裏は殺戮>>6
war:5 旅と戦争は道連れだらけ>>7
war:6 両手に花は別名、両手に危険物 I>>8
war:7 両手に花は別名、両手に危険物 II>>13
war:8 輝く星は暗雲に呑まれる、ただ虚しく>>16
war:9 白の正義、黒の正義>>17
war:10 cross×cross>>18
war:11 誰が為に彼等は死に急ぐ I>>19

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Re: 俺と世界の夢戦争〜Mind war〜 ( No.1 )
日時: 2009/12/06 22:08
名前: 十六夜 葉月 ◆Gl6JohbFiw (ID: A8w5Zasw)

war:-1 タイトル、無題

 日常とは何か。非日常とは何か。俺の日常だと思っていた毎日は嵐のようにやって来た非日常によって容易く壊されてしまった。
 いや、これが日常になってしまった。あの夢のせいで。夢、なんだよな。

 そう、アレは不思議な夢だった。……夢、だった。

※  ※  ※

 あれ、ここはどこだよ? 暗くて辺りが見えん。どっかに電気のスイッチか何かねぇのかよ、とぼやくのには訳がある。俺が今居る場所は何故か辺り一面暗闇に染まっていた。別に、俺は第六十感の類は信じない方だが、直感が動くな、と全力で警鐘を鳴らしていた。
 何故だろう? 今動けば二度と日の光を浴びれない気がする。ええと、例えるなら、アレだ。断崖絶壁の崖の先端に立たされている感じ? うーん、駄目だ。上手く表せん。家に帰ったら現国の勉強しねぇとなぁ。多分、一昨日の小テストの結果を見せたらお袋怒るよなぁ……。あーあ。ずっとここに居てぇなあ。まぁ、テストなんてどうでも良いさ。
 因みに俺の特技はどんな時でも独り言で楽しくなれる事さ。ヘイそこの仔猫ちゃん、俺と一緒にお茶しませんか!?
 などと暗闇に慣れていつも通りのテンションでポージングをした時に足を動かしたので、何か柔らかいゴムのような物に包まれた硬い何かを踏んでしまった。


 ん、 何か踏んだよな。ったく危ねぇな。転んだらどうする!! 
 と素直な感情を、舌打ち混じりに表していると、また襲って来た六感の危機に少し動揺しながら踏んだ物を見る為に顔を近づけると、ぼんやりと物体の輪郭が浮き出て来た。

 んだよ、ゴムのオモチャか? 何でこんな所に置いと、く……

 俺は見てしまった。「ソレ」はゴムのオモチャなんかではなく、切り離された人体の一部、それも太い血管が通ってる体の上の方、右肩と左肩の間の中心から上に伸びている、少しくびれた部分から人間の頂点に当たる部分だった。「ソレ」が一個や二個ではなく、数百、数千単位で転がっていた。確信した時、「ソレ」が放つ異様な臭いが鼻を通って脳を焦がした。

 物体が何だったのかを確信したら、「ソレ」を俺の体は生理的に拒んだ。口内に広がる酸っぱい物を、服や顔が汚れるのも構わずに吐き出すと幾分かはスッキリしたが、また込み上げてきそうだった。

 ここ、やべぇよ……逃げろ! 足、動け!! 動けよ!! と必死に脚に言い聞かせたが、全く動かない。
 逃げたいけど足がすくんで動けずに俺は呆然と突っ立った。「ソレ」のように動かない俺と、その周りを囲んだ本物の「ソレ」達による沈黙を破ったのは断末魔と共にこちらへ向かって来る、新たな「ソレ」だった。
 冷静に見ている場合ではない、早く逃げないとどんどん近づいて来る。

「あ、ひ、ぃあ」

 情けない声が出てようやく足が動き、俺は両足が千切れそうになるくらい動かした。その度にぬかるんだ泥を踏んだような音と「何か」が折れて足場が崩れて転びそうになったけど、生憎俺は下を見れるような勇者じゃないから必死に踏みとどまって足を動かした。


 やがて道が開けてくると、そこは雨が降っていた。……ケガをした時に体内から出る液体と同じ色の。
 直接言うとつまりアレだよ、えーと、その、そう、「殺人現場」。あれ? なんだか恰好良い四字熟語みたいだなぁ。よし、リピートしてみよう。

「殺人現……」
「ようこそ、私の殺人現場へ。うふふ、また、会いましょう?」

 突然、今まで中心で「ソレ」を作っていた小柄な少女が振り向いた。口元には人間が作れる表情とは思えない程の殺気立った、それでも棘のあるバラのように美しい妖艶な笑みを浮かべていた。その姿に、何故か見覚えがある気がした。

 何で? こんな狂っている奴知らない筈なのに。
 彼女の記憶はノイズとモザイクだらけだか、確かにある気がする。懐かしい、とさえ思ってしまう。

「あ、あのさ!! 君、どこかで出会っ……」

 決死の思いで俺は少女に話しかけてみたが、最後まで伝える事は出来なかった。

※  ※  ※

 目玉の機能が正常に戻った。そう思った理由は、今映し出されている風景が見慣れた自室だったからだ。最近、模様替えしたばかりの淡いブルーのカーテン、机の上には投げ出された現国の小テストと開きっぱなしの参考書、その隣にはどこにでも売っていそうな安っぽいシルバーのシャープペンシル、机の隣には空になったペットボトルや古い雑誌を乱雑に詰め込んだプラスチック製のゴミ箱。何もかも、俺の風景だ。意味なんか伝わらなくても良い!!

「は、ははははは!! 妙に怖くてリアルな夢だったなぁ」

 ……夢、だよな?
 

Re: 俺と世界の夢戦争〜Mind war〜 ( No.2 )
日時: 2009/12/04 16:56
名前: 十六夜 葉月 ◆Gl6JohbFiw (ID: A8w5Zasw)

war:0 忘却と言う名の舞台の上のニチジョウ

 俺だって一応青春真っ盛り、幸せで楽しい事に溢れている毎日を過ごしている。それにもう高校生だ。いくら怖い夢を見たからって一週間もすれば忘れてしまう。
 あの時の、俺も忘れていたんだよな……。

※  ※  ※

 黄昏時に、並木道に沿ってうっすらと黄色に色づくイチョウの葉を眺めながらゆっくり歩いて家路に就くのが最近の俺の日課だ。
 なんて少し洒落た事を言ってみたが、俺の通っている高校の、特に俺の住んでいる築十ウン年の割には防音設備が悲惨な事になっていて毎晩俺を悩ませている、とにかくボロいマンションの周辺に住む奴は皆通っている、当たり前の事を少し恰好良く言ってみたかったのだ。他の奴とは別として俺はそんな年頃なんだよ、多分。
 傍から見れば独り言を呟きながら時々表情を変えている様は正に「ヘンジン」であろう。だが俺は変人ではない。法条 優希(ホウジョウ ユウキ)と言う立派な名前もあるし、後ろを振り返ればまだうっすらと我が学舎、私立春星高等学校が見える。身元も、多分学歴も分かっているなら変人じゃないじゃないか! 至って普通の高校生以外に何と呼ぶんだよ!? 自慢じゃないけどな、成績も運動神経も何もかもが並だ。こんな個性の無い人間が変人の訳ないだろ!? 変人に三指ついて土下座して謝ってこい!!

「わぁっ!! いきなりそんな事大声で言うから驚いたじゃん。にしてもユキちゃん、真面目に……頭、大丈夫? 今度、従兄弟が勤めている腕が良いって評判の病院、紹介しといてあげようか?」

 俺は背後に潜んでいた人物に対し、ある予測をした。奴だ。絶対に、奴だ。栗色の長い髪を後ろに大きなヘアクリップで纏めた見た目美少女、中身極悪のアイツ……

「やっぱり予測通りで御座いましたか。って、いつから俺の背後に居た!? どこまで聞いてたんだよ! ってか毎日毎日ストーカーするな! そしてユキちゃんって呼ぶなあああぁぁぁ!!」

 叫びは虚しく周りに響いただけでアイツは聞いていなかった。むしろ満面の笑みを浮かべている! ヤバい、ヤバいぜ大佐!! 敵はトドメを刺そうとしていますよどうしましょう!?

「ん、大丈夫。安心してよ。最後まで一語一句聞き逃さないで聞いてたから」
「笑顔でそんな事言うなよ……」

 ああああぁぁぁさらば俺の青春…。そうだ、何もかも背後で笑っている森川 千歳(モリカワ チトセ)のせいだ! 畜生! アイツは成績も運動神経も並外れて天才的なのに、なのになんでそれを良い方向に使わないで俺を虐げる方に使ってるんだよ!! 畜生! ちょっと顔が良いからって調子に乗りやがって! つか、あのファッションセンスは意味分かんねーよ。何でジャージを制服の上に羽織ってるんだ!! 男のロマンが! 煩悩があああぁぁぁ!!

「もしもーし、ユキちゃん。チャネってるのは分かったから戻って来て。イタいから。幼稚園児に指差されてるよ」
「好きにしろよ……」

 そんなこんなで結局、背後に千歳を残したまま、再び歩こうとした時、周囲の風景にそぐわない黒塗りの車が目の前に止まった。
 それが、悪夢再来の鍵だったのかもしれない。

Re: 俺と世界の夢戦争〜Mind war〜 ( No.3 )
日時: 2009/11/20 11:45
名前: 十六夜 葉月 ◆Gl6JohbFiw (ID: A8w5Zasw)

war:1 思い出は鮮烈に(前編)

 黒塗りの車が俺達の前に止まってから一分経つか経たないくらいの時間が経過すると、ドアが小さな音を立てて開いた。中から現れたのは体格の良い男でも、役に立たない己の財力を誇示する為の装飾品に身を固めた婦人でもなく、儚い雰囲気の砂糖菓子のような少女だった。

「お久しぶりね。えっと……私、昔一緒にお話しなどして遊んだ神月 杏樹(カンヅキ アンジュ)よ。まさか、忘れてないよね? 約束、覚えているよね?」

 そう告げた少女はゆるくウェーブのかかった長い、雪のように純白で綺麗な白髪を揺らし、深いルビーのような赤色の、長いまつ毛で縁取られた瞳でこちらを見詰めた。彼女を一言で言うと、人形だ。
 それは外見の美しさだけでなく、全てが人形だ。もう、初めて会った時の彼女ではなくて人形なのだ。

※  ※  ※

 俺が確か小学生だった時の夏のある日だっただろうか。その時は、友人達と見つけた秘密の空き地を使って野球をしていた時だった。

 俺は当時ピッチャーをしていて、相手はクラスのガキ大将だった。三振させれば俺のチームが勝ち、もしホームランを打たれれば逆転負け、そんな状況だった。
 小学生にも意地ってもんはある。当時の俺も、渾身の力を込めたストレートを投げようと片足を上げた時だった。
 連日続いた雨の泥のせいで足が滑って体勢が崩れて白球は打者の真ん中へと吸い込まれた。

「よっしゃ! 貰ったぁぁあああ!!」

 掛け声と共に、真芯で捉えられた白球は止まる勢いを知らずに空き地を抜けて、隣の城のように大きな家へと消え去った。

(うわ……マンガみたいな展開だよ。俺、絶対拾って来る奴になりたくねーよ)

 そんな事をしたい奴は勿論チームの中を探したって一人も居なかった。そして、ある一人が皆に提案をした。

「なぁ、ここは負け投手のユキが行く所じゃね?」

 それに気付いたチーム員達に異論の声は無かった。

「さんせー」
「中性」
「アルカリ性」

「は!? お、俺かよ! 泥のせいなのにな」

 物のせいにしつつも結局は俺が取りに行く事になり、仕方なく正面の門のインターホンを恐る恐る押してみた。

「す、す、すいま、すいませーん。あの、その、ええと」

 しどろもどろしていると、庭に居た一人の少女が手にボールを持って現れた。

「これ、君の?」

 そう告げた少女は歩くのが少し億劫な様子で近づき、しばらく俺の顔をまじまじと見詰めた。

(こ、こいつ髪が白いし目は赤いけど、可愛いなぁ。クラスの女子なんてすぐ怒るし先生に言いつけるけど、なんかこいつはふいんき? が違うなぁ。と、友達とかなれないかな!?)

「あの……私と、と、友達に、なって」

 小さく呟いた声を俺は聞き逃さずに聞き取っていち早く反応した。

(うっそ!? これは夢か? 夢でも良い!! あ、ほっぺ痛い! 現実だよやった!!)

「そして、私を外へ、外へ連れ出して!!」

 意味は良く分からなかったが、小学生なりに何かを掴み取った俺は頷いて小指を差し出した。
 
「うん、分かった。約束する。嘘吐いたら針千本飲むから」

 これが彼女の、たった一つ、最期の願いだった。

Re: 俺と世界の夢戦争〜Mind war〜 ( No.4 )
日時: 2009/11/20 11:43
名前: 十六夜 葉月 ◆Gl6JohbFiw (ID: A8w5Zasw)

war:2 思い出は鮮烈に(後編)

 あれから俺は雨が降ろうが台風で隣の家のアンテナやら犬小屋やら色々飛んで来ようが毎日彼女の元へ通った。その甲斐あって色々知る事が出来た。
 彼女の名前は神月 杏樹、でも本当の名前は壱礼比 杏樹(イチロヒ アンジュ)。今は神月グループに買収されてしまった壱礼比製薬の社長令嬢だったが、先月買収された恨みから彼女の父親はグループのトップ、神月 誠一(カンヅキ セイイチ)の暗殺を企てたが、実行の前に彼女の父親はワイヤーかピアノ線の類でそれはもう綺麗に関節と呼べる物が無い「バラ肉」になったらしい。そう言えば、この前病気がちの兄貴が使っている薬が壱礼比製薬で作られていた物だったので社長が自殺した事にショックを受けていたとお袋が言ってた気がする。……待てよ? 死因が違う。ニュースでは自殺、って言ってたんだろ? どう言う事だよ?

「優希君、お勉強苦手なの? つまりパパはね、ケサレタんだよ。強い人に飲み込まれたの」

 その時俺は世間の恐ろしさを小学生なりに知った。そして日に日に少しずつだが杏樹が別人みたいに変わってしまってる気がした。
 それでも俺は彼女の元へ行った。傍に居ないと遠くに行ってしまう気がしたから。何だかんだで大好きだったんだ。
 それからは家族の話をしなかったがある日杏樹が父親以外の家族の話を全てした。

※  ※  ※

 その日、私は少し具合が悪くて部屋で寝ていたのが退屈で、最近パパは夏休みじゃないのにいつも家に居たから面白い話でも聞こうとパパの部屋へ向かおうと長い廊下を歩いていた。

(今日はどんなお話が聞けるのかな!? 美味しい食べ物のお話かな? それとも綺麗なお花の話かな!?)

 風邪気味なのも忘れて小走りで廊下を歩いている時にある案が閃いた。どうせ部屋に行くなら勢い良くドアを開けよう。そうしたらパパ、驚くよね?

「ねぇ、パ……パ」

 部屋の中は銀色の糸が張り巡らされていて、お気に入りの椅子にパパは居なくて、代わりに動物園で見た事があるライオンの餌のような小さくて真っ赤な物が椅子の周りに落ちていた。

「な、にこれ」

 周りを見回せば、いつもパパが掛けていた、弦の部分に細工が施された眼鏡を見つけた。確かあれってオーダーメイドだから世界中でパパ以外に持ってる人は居ないって言ってなかったっけ……? じゃあ、あれはパパ、なの? 嘘だよね? 嘘だ。そうだ、ママの所に行ってるのよ! パパは私を驚かしているだけ。そうよ! 絶対にそう!!

 一縷の願いを込めてそっとドアを開けてみた。
 そこも結局地獄だった。
 ママはスーツの男の人達に囲まれて、手足を縛られて口には布が食い込んでいた。私を見た男達は無線を使って何かを話し始めた。

「こちら七班。まだ壱礼比の娘と思われる子供が居ました。どうしますか」
「……はい、ではその方法で。了解」

(何? あの人達は何を話しているの? 何でママがあんな姿なの? 何で? 何で!?)
 
 訳が分からない内に私もママと同じく自由を奪われ、頬に幾筋もの雫が伝い、やがて意識が途切れた。

※  ※  ※

 そして残忍な神月社長は杏樹の母親を出来るだけ苦しみ悶えさせる為に、まずは母親と父親と彼女の縁を引き裂いた。つまり、杏樹から「壱礼比」の名前を奪って「神月」の物にした。そして彼の物となった杏樹の使用方法は人体実験だった。
 神月グループの名は表と裏があり、表向きには医薬品の製造に力を入れた会社だが、裏ではその科学技術やバイオテクノロジーを利用した生物兵器を開発している。それに対する機関も多数存在して、俺達一般人の知らない所で生物兵器に関しての科学技術においては百年以上も進んでいたらしい。
 その技術を使用して、杏樹は毎日様々な薬を投与され、その副作用で髪の色や瞳の色が変だったのだ。

 そして今日、変わり果てた娘に絶望して牢の中に閉じ込められていた母親が自殺した。
 そこまで聞いた小学生の俺は何を言っているのか全く分からないが、一つだけはっきりと分かった。

(……杏樹が、怖い。俺は関わってはいけない奴と関わってたんだ)

 杏樹は俺の心を読んだのか、少し悲しそうな顔をした。

「明日、もしかしたら私ね、もう人間とは呼べなくなるかも知れないの。それでも……優希君は私と友達、よね?」

 そう告げた杏樹の瞳に光は宿っていなく、俺を見て微笑んでいた。
 
 彼女は俺が関わったせいで人間らしさを思い出して、悲しみと孤独に耐えられずに壊れてしまったのだ。 
 そんな彼女を独り残して俺は全力で逃げた。振り返る事は、しなかった。

「約束したよね」


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