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人間選別
日時: 2009/11/06 19:46
名前: 愁 (ID: UrB7UrBs)

要らない物はゴミ箱へ捨てられる。
あっても仕方がないからだ。
捨てられた物は消される。
それが常識。

要らない者はゴミ箱へ捨てられる。
あっても仕方がないからだ。
捨てられた者は消される。
それが常識。

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Re: 人間選別 ( No.1 )
日時: 2009/11/07 18:33
名前: 愁 (ID: UrB7UrBs)

第一話 「五百万円」



太陽「賞金・・・
   五百万・・・。」

「どうだ。
 お前にはピッタリだろう。
 これで借金も返せる。」



海野 太陽(うみの たいよう)。
二十歳。
毎日、借金の返済に追われている。



『一着で山の頂上に登れば、
五百万円。
決戦の場は無人島。』



紙に書かれた五百万円の文字。
太陽は決心した。



太陽「出場する。」

「そうか。頑張れ。
 この話は内密に。
 限定千人だからな。」



見るからに怪しい男は、
太陽から判を捺してもらった。



太陽「(五百万・・・)」



数ヵ月後・・・。
太陽は集合場所の港へ向かった。



太陽「(勝つしかない。
勝てば楽になれる。
いや・・・お釣りまで出るんだ。)」



港へ着いた。

そこに待っていたのは
想像を絶する豪華クルーザー。

太陽は船に乗り込んだ。

体がゾクゾク震える。

船の出航音が時を告げた。

Re: 人間選別 ( No.2 )
日時: 2009/11/08 12:51
名前: 愁 (ID: UrB7UrBs)

第二話 「ようこそ」



太陽「(な、なんだこれは。)」



船内を漂ういい匂い。
ホコリ一つないフローリング。
綺麗なシャンデリア。

貧乏暮らしの太陽には考えられなかった。



ピーンポーンパーンポーン。



「おはようございます。
 開催副会長の矢木(やぎ)と申します。
 ・・・
 これから、
 皆さんの前にあるステージより、
 開催会長から連絡があります。
 お静かにしていただけるよう、
 ご協力お願いいたします。」



ピーンポーンパーンポーン。



船内は静かになった。

ステージにスーツ姿の男が出てくる。
四十歳くらいだろう。



神谷「おはようございます。
   開催会長の神谷(かみや)です。
   ・・・
   これより、
   GAMEのルールを
   お教えしたいと思います。」



GAME。
なんだか雑な言い方だ。



神谷「皆さんは
   これから到着する無人島の
   山の山頂を目指すことでしょう。
   その山の山頂に一着でゴールした人は、
   賞金五百万を手にすることが出来ます。
   ・・・
   質問はありませんか?」

太陽「(おい。ちょっと待ってよ。
    ルールってそれだけかよ。)」



簡単すぎる説明。
納得できるはずがない。



神谷「皆さん、
   不満そうな顔をしていますが・・・。 
   ・・・
   山頂を目指すだけでいいんです。
   ・・・
   例えそれが・・・
   闘いになったとしても。」

太陽「(闘い?)」

神谷「死者が出た場合は
   一切責任は負いませんので。」

「っ!!!」



船内がどよめく。



「しっ!
 死者ってどういうことだ!」

「ケガをしたらどうするんだ!」



神谷「あなた達は誤解している。
   これはGAMEです。
   ・・・
   もしかして・・・
   人を殺さずに山頂を目指す気ですか?」

「あっ!当たり前だ!」

「ふざけんな!」



船内はますますどよめく。



神谷「あ、言い忘れていましたね。
   ・・・ 
   勝者には無人島の脱出権を与えます。」

「・・・」

太陽「脱出権?・・・」

神谷「・・・
   どうかしましたか?」

「どういう意味だ・・・。」

神谷「・・・
   勝たなければ・・・
   帰れないのです。」

「・・・」

「ふざけんな。」

「そうだそうだ!」

「そんなルール聞いてないぞ!」

神谷「だから今、お教えしました。」

「馬鹿にしてるのか!」

「こんな大会お断りだ!」

「そうだそうだ!」

神谷「何を言っているのですか?
   あなた達に
   このGAMEをやめられる権利はない。」

「・・・」

神谷「要らない物はゴミ箱へ捨てられる。
   あっても仕方がないからだ。
   捨てられた物は消される。
   それが常識。
   ・・・
   要らない者はゴミ箱へ捨てられる。
   あっても仕方がないからだ。
   捨てられた者は消される。
   それが常識。」



船内はまるで墓場のように
静まり返った。


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