ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 殺人鬼 ——魔女——
- 日時: 2009/11/06 23:58
- 名前: 魔女 (ID: rRtxGeJP)
どぅも。魔女です。
これでようやく三作目になります。前の物語はまだ書き途中ですが、思いついたので書こうと思いました。
『世間を騒がせる殺人鬼——。
不思議な方法で殺人を行うソイツは、魔女を名乗っていた——。
——人間は魔女に勝てるのか——?』
って感じの物語です。元は、ジャック・ザ・リッパーを書こうと思っていたので、似てますが……(笑
まぁ、頑張りますんで読んでくださいっ。
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- Re: 殺人鬼 ——魔女—— ( No.1 )
- 日時: 2009/11/07 00:03
- 名前: 魔女 (ID: rRtxGeJP)
——序章——
西沢玲子は、いつも通り仕事を終え、帰宅途中だった。
大学を卒業し、普通の会社にOLとして働いて、やっと半年くらいすぎ、ようやく慣れてきたところだった。駅から徒歩十分の家に帰る夜道も、もう見慣れていた。
ビルの間からふと空を見上げると、満月だった。満月かぁ。そう思ったときだ。
いきなり目の前でドサッと誰かが落ちる音がした。
「なにッ!?」
街灯の明かりに照らされながら、ソイツはムクッと起き上がった。黒いローブを着て、フードを鼻先まで隠している。そんな異様な格好をしていたが、体系は小柄だ。
ソイツはゆっくりと、玲子の方へ近づいた。
「な、なんですか」
ただならぬ気配を感じ怯える玲子を、ソイツは見上げる。そしてこう言った。
「ねぇ……魔女って信じる?」
その時、フードがパサリと取れ、見えた顔に玲子は息を呑んだ。
「あなた——」
最後まで言い終わらないうちに、玲子はいきなり胸がとても熱く感じるのを覚えた。それが最後だった。
- Re: 殺人鬼 ——魔女—— ( No.2 )
- 日時: 2009/11/07 00:09
- 名前: 魔女 (ID: rRtxGeJP)
——1章——
「——警部。彼女の死因は、心臓発作のようです。」
警部と呼ばれた大柄な男は、くわえていたタバコを取り、
「やはりか……。」
と言った。
「物取りではなく目立った外傷もないので、たぶん、ストレスで心臓発作を起こしたものと思われます。」
刑事になったばかりの村岡零次はそう、警部の安藤総一に言った。
「そうか——それで、通りすがった者にこのような格好にされたと。」
安藤はそう言って、路上に倒れている、いや、寝かされているような玲子の死体に目をやった。
玲子の死体は、胸の上で手を組まれていて、まるで棺に入れられているかのようだった。顔も穏やかで、それは本当に眠っているようだ。
「——っ。」
「彼女は、今仕事に行った時も元気で、健康だったそうだ。そんな人間を意図的に心臓発作にし、こんな形にさせたと思うかね?」
「……。」
「そして——この、彼女の下に書かれている絵柄は?」
安藤が指したのは、死体の下からのぞいている白い
線で描かれた絵だ。
「小さい頃に見たんですが、たぶん“魔法陣”じゃないかと……。」
白い線で描かれているのは、丸に囲まれた5角形。星だった。
「それが、なんだと聞いているんだ。」
普段穏やかな安藤は、この不可解な事件に苛立っていた。
「た、たぶん、なにかカルト集団が、悪魔崇拝とかそんな感じで——。」
あやふやな態度の村岡に、安藤はため息をついたが、自分でもこれと言った理由が浮かばなかった。
「まぁ、考えても仕方あるまい。彼女の周りの人間や、人間関係を探って、考えよう」
「はいっ」
新人の村岡はこんな不可解な事件は初めてだったが、三十年のベテランである安藤も、こんな事件、初めてだった。
ちょっと頭のイかれたヤツの仕業だ。すぐ解決する——安藤は、そう思っていた。
しかし、そんな考えはすぐに脆くも崩れ去るのであった。
- Re: 殺人鬼 ——魔女—— ( No.3 )
- 日時: 2009/11/07 20:19
- 名前: 魔女 (ID: rRtxGeJP)
——2章——
「同様の事件が今月だけで三件!前件とあわせて五件です!」
村岡の声が会議室にこだまする。
「五件か……これはもう尋常じゃないな。」
安藤もまた、ため息めいた声で言った。
「五人とも、一般人で、夜に路上で殺されています。同じように、手を組まれ、下に絵がかかれていま
す。」
村岡がその死体の写真をボードに貼った。五人とも、寝かされているようだ。
「五人とも、全く関係のない人間だ。それに殺しに全く規則性がない。一体どうなってるんだ……。」
うなる安藤に、村岡が心配そうに言った。
「大丈夫ですか、安藤さん。この頃ずっと働きっぱなしで、疲れが取れてないんじゃないですか。」
「いや、私のことは心配するな。私はこの事件の担当だ。それに、この事件は早く解決せねばならない気がする。」
「そんな、無理なさらないでください。」
心配する村岡に、安藤はフッと笑いかけた。
「心配するな。私は大丈夫だ。」
そして、安藤は仕事を終え、家に帰った。
安藤の家はごく普通の一般家庭で、一軒家だ。たいして大きいわけでもないが、親を昔になくした安藤には、家と言える家は、ここしかない。
「ただいま」
そう言って靴を脱ぐ。
「今日もまた、遅いわね。」
奥から、妻の和代が出た。やさしそうな面影は、また村岡と同じように安藤を心配していた。
「最近、帰り遅いわね。大丈夫なの、体は?もう、年なんだから、それを考えなさいよ。」
「美華はどうした、靴がないぞ」
安藤はそう言って、和代の質問をスルーした。自分のことを心配されるのに、慣れていないのだ。
「えぇ、まだ帰っていませんよ。部活もあるし、いつもの事ですよ。」
「俺より美華の方が危ないんじゃないか……?」
ぶつぶつと言う安藤に、和代はぴしゃりとはねつけた。
「いいから、早く手を洗ってらっしゃい。」
若い頃は、もっと可愛らしかったのにな、と安藤が思っているとは、和代も思っていなかった。
- Re: 殺人鬼 ——魔女—— ( No.4 )
- 日時: 2009/11/07 20:33
- 名前: 魔女 (ID: rRtxGeJP)
——3章——
夕食を食べ終え、風呂に入った安藤は、特にやることもなく、気がついたら眠ってしまっていた。やはり、疲れがあったのだろう。しかし、熟睡する安藤を起こしたのは、和代だった。
「どうしたんだ。」
イライラと言う安藤に、和代は泣きそうな声で言った。
「あ、あなた、美華が帰らないの——」
えっ、と思う安藤の後ろで、いきなり電話がけたたましく鳴った。
「はい、安藤ですが。」
「安藤さんですか。村岡です。」
「なんだ。こんな夜遅くに。」
美華の事で頭がいっぱいの安藤は、嫌な予感がした。
「えっと、美華さんですよね、娘さん。」
「それがなんだと言うんだ!」
嫌な予感が、ゾクゾクと体を包む。
「その彼女が、ついさっき見つかったんです。」
まさか、まさか。安藤は手が震えた。
「美華さんがご遺体で、発見されました。」
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