ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 快楽奇行
- 日時: 2009/11/07 23:52
- 名前: さりー (ID: tuG0e6yh)
ああ、果てしなく。
「お前は、幸せか?」
独白。
誰も答えない事は知っている。
誰も答えられない事は知っている。
それでも、答えを求めたまま。
黒い鴉は飛び立つ事なく、地を這う。
そこには、一面の血に塗れた世界が広がる。
ああ、今日も彼は。
名前を求めて、
答えを求めて、
そんな世界を這いまわるのだろう。
悲しみと、孤独で世界を覆う様にして。
孤独を知らない無垢な顏をしたまま。
孤独に塗れた酷く色の無い眸をしたまま。
永久に。
一瞬に。
彼は、生きる。
それだけを、ただ追い求めて。
「幸せなら、死んでくれ。
幸せじゃないなら、生きてくれ。
幸せになったお前を、殺しに行くから」
無垢に、果てしなく透明で。
孤独に塗れた死神は、今日も微笑む。
どことなく、悲しい色を残したまま。
あ、こんな冒頭ではじめます。
結構グロい感じが好きなので、好きじゃない方はリターンしてくださいwww
抽象的な表現が多いので、お願いします(*^_^*)
コメ・・・よければお願いしますww
主人公は殺し屋です。依頼を受けるというよりも、自分でふらふら殺しに行く感じですね・・・。
テーマは幸せ・・・。難しいですw
時々、ヘンなキャラ出てくるかもしれませんが、よろしくおねがいしますね^^
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- Re: 快楽奇行 ( No.1 )
- 日時: 2009/11/08 22:25
- 名前: さりー (ID: tuG0e6yh)
「お前、そんなんで楽しいのか?」
そんなの決まっているだろ。馬鹿野郎。
楽しくない。
退屈なだけさ、だから俺は今きっと。
酷い顔をしているのだろう。
だからこそ、こいつが俺の目の前に来たのだ。
「僕は・・・・お前を幸せにしにきた」
なんのために。
俺は幸せなんか感じるほど、出来た人間じゃない。
「お前を、殺す為に」
意味分からん。
「僕は、幸せな人間を殺す・・・。
お前は幸せじゃないんだろ・・・なら、殺せないから」
殺すために、幸せにするのか?
そう問うと、黒いそいつは頷く。
その動作がやけに子供っぽくて、身長が高いそいつには似合わなすぎて笑えてきた。
「お前は笑うんだな。
僕は笑えない。笑わない。意味がないから」
笑う事に、意味なんか必要ないだろ?
「必要ある・・・・僕は、意味がないと行動できないから。だから、幸せな人間を殺すっていう意味は僕にとって必要なもの・・・」
理由とか、意味とかがないと行動できないなんて。
「あんた・・・・可哀想だな」
そういうと、黒い死神は。
そういうと、黒い悪魔は。
無垢な、寂しげな、優しげな眸をして。
「知ってる」
そうとだけ答えて、口をつぐんだ。
俺は、その眸に酷く・・・心惹かれ気がした。
ああ、俺は幸せになれるだろうか。
そして、こいつに殺される価値を持つ人間になれるだろうか。
俺はこの瞬間、いやそのままずっと。
そんなくだらないことを考えていたのだった。
黒い闇は、ゆるりと牙を剥く。
- Re: 快楽奇行 ( No.2 )
- 日時: 2009/11/08 22:51
- 名前: さりー (ID: tuG0e6yh)
「・・・・あんた、名前は?」
「どうして僕の名前を聞くんだ」
「・・・・呼ぶ時に困るから」
なんだか間抜けな会話だと思ったが、俺はあえて何の反論もせずに答えた。
何を思ったのか全く分からないが、そいつはゆっくりと眸を俺に向けて、重そうな口を開いた。
「壱」
「・・・・・・・犬か?」
「僕の名前は、数字みたいに、“壱”と呼べ」
「数字のことか・・・」
それって、完全に偽名だろ・・・。
そう言って俺があきれた声を出すと、そいつ・・・いや、壱は悪びれもせずに頷く。
何か、馬鹿にされているみたいだった。
「あ、俺の名前知らないよな」
「それはそうだろう。僕たちは先程出会ったばかりだ」
「・・・まあ、そうだけど」
「教えろ。そのつもりなのだろう」
「・・・・政一。英田政一」
「普通だな」
「まあな・・・」
壱よりは、普通だろうな。
いや、それは偽名だけどな・・・。
そんな事を言えば、微かに壱がほほ笑んだ気がして俺はなんともいえない気持ちで俯いたのだった。
- Re: 快楽奇行 ( No.3 )
- 日時: 2009/11/09 18:22
- 名前: さりー (ID: tuG0e6yh)
「・・・・×××」
違う。俺はそんな名前じゃない。
「・・・・×××」
違う。違う、っていうのが聞こえないのか?
「聞こえない」
そう答えた声が、どことなく壱に似ていた気がした。
「・・・・」
覗きこむ、壱の顏が間近にあって俺は驚いた。
不貞寝をしていた俺は、どうやら夢を観ていたらしい。壱はどことなく怒った様な顏をしていた。
「政一」
「何だ・・・・?壱、怒ったか?」
「呼んだだけ」
「・・・そうか」
何だか、よく分からないが。
俺はどことなく、壱の事が怖くなくなっていた。
殺し屋。
死神。
悪魔。
・・・・人殺し。
そんな言葉が当てはまる様なイメージだったが、今は違う。無表情の中にも、ちょっとした変化から生まれた表情を見つける事が出来るようになってきた。
壱は人なんか殺さない。
そんな、儚い望みを持っていたのかもしれない。
甘い夢。
どこまでも浅く、薄い夢。
叶う筈など無さ過ぎて、笑止。
否・・・俺は、それを実感することとなるのだが。
黒い鴉は、獲物を狙う。
自分が捕らえたいと思うものを。
それを見つける事は難しい。
飽きを覚えない。
飽きなど、無いのだ。
そう思いたいだけ。
そう思う事で、黒い鴉は翼を手にする。
飛ぶ事のない、真黒な翼だ。
しかし・・・・あまりにも美しくて。
鴉は知っている。自分の醜さを。
鴉は知らない。自分の美しさを。
ああ、さようなら。
「さようなら」
次の世界で、会いましょう。
鴉は、とどめを刺した。
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