ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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キラーゲーム(完結済み)
日時: 2009/11/10 23:01
名前: トム君105 (ID: vehLH22f)

みなさんこんにちわ。
トム君105です。
このたびはキラーゲームを回覧いただきありがとうございます。
この小説は連載型ではなく執筆した物をそのままのせた完結型です最初から最後まで読んでいただき楽しんでいただければ幸いです。
もし呼んでくれたならコメントしてください。

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Re: キラーゲーム(完結済み) ( No.1 )
日時: 2009/11/10 23:03
名前: トム君105 (ID: vehLH22f)

0 目覚め

「う・・・・・・・」
ここはどこだ?
俺は眼を覚ました。
頬に触れる冷たい物。
金属?
俺は眼を開けた。
そして立ちあがる。
周りを見る。
暗い。
暗くて何も見えない。
何かが足に触れた。
それを手に取る。
それのスイッチのような物に触れた。
それを押す。
パアっと光が出て辺りを照らした。
それは懐中電灯だった。
周りを照らし状況を確認する。
俺は富山龍一(とやま、りゅういち)。
ごく普通の会社員。
年齢は23。
アパートで独り暮らしをしている。
どうやってここに来たのか分からない。
誘拐された!?
「これは・・・」
俺は一枚メモを拾い上げる。
そこにはこう書かれていた。
<ホールに向かえ>
ホール?ここはホテルかなんか?
俺は明かりを頼りに進み始めた。

killergame参加者一覧

富山龍一 23歳 男 会社員 (とやま りゅういち)
野上佳奈美 21歳 女 アルバイト (のがみ かなみ)
伊藤鎌 28歳 男 会社員 (いとう れん)
尾野寺啓太 25歳 男 極道 (おのでら けいた)
花川久美 26歳 女 保育士 (はなかわ くみ)
黒羽氏信彦 32歳 男 アルバイト (ハッカー) (くろはし のぶひろ)
川崎守 18歳 男 大学生 (かわさき まもる)
福田正志 18歳 男 大学生 (ふくだ まさし)
機織恵子 22歳 女 新聞記者 (はたおり けいこ)
田村早苗 30歳 女 主婦 (たむら さなえ)
清隆慶介 53歳 男 会社員 (きよたか けいすけ)

1 ゲームスタート
富山龍一
俺は道なりに進んでいた。
光が見えてくる。
俺はライトを消し目覚めた場所で拾ったナイフを構え進んだ。
徐々にホールが見えてくる。
息を殺す。
ホールに入った。
何人か人がいる。
全員なにか持っている。
バットや包丁・・・ショットガンを持ってる奴までいる。
「君は誰だい?」
声を掛けられ少しだけ驚く。
俺に声を掛けたのは若い男だった。
手にはリボルバーを持っている。
「あ、あんたこそ誰だよ?、これどういう事だよ?」
「落ち着きなさい、僕も君と同じように目覚めたらここにいたんだ」
「だからあんた誰なんだよ?」
「僕は伊藤鎌、会社員だ」
「知らない名前だ・・・」
「当たり前だここで初めて会ったんだから」
鎌と名乗る男が手を差し出す。
「とにかく協力して脱出しよう」
「ああ」
俺も手を差し出し握手する。
「俺は富山龍一、よろしく」
俺は名乗る。
「ああ、よろしく」
鎌はにっこりと笑いながら答える。
それから俺はここにいる全員に自己紹介した。
ごく普通の人の他に極道をやっている人もいた。
「あ、ああ!!どこなのここ?あなた達は誰?」
俺は声がした方を振り返る。
そこには斧を引きずった女性がいた。
女性の顔は涙で濡れていた。
「落ち着いて・・・」
鎌が俺の時の様にやさしく説得する。
女性は鎌の胸にうずくまって泣き出した。
元々泣いていたがそれがさらに激しくなったのだ。
その時ホールの戸全てからガチャリという鍵をロックする音が聞こえた。
「な、何だ?」
ショットガンを持った大学生川崎守が驚愕した顔で立ちあがった。
「どういう事?」
主婦の田村早苗もアイスピックを持って立ち上がる。
「やあみんな」
どこからか声が聞こえる。
それは天井から聞こえていた。
スピーカーか何かだろう。
「みんなは僕の事を覚えてるかい?」
「は!?」
極道の男尾野寺啓太がバットを肩に担ぎ挑発する様な声を出す。
「やっぱり覚えてないよね、うん当然だよ君たちにとって僕は大した存在じゃないんだから」
何を言ってるかさっぱりだ。
「僕は君達を恨んでいる、君たち一人一人に罪がある」
罪!?俺が何をしたんだ・・・。
「んなもん知るかよ!!」
啓太が大声で叫ぶ。
「出て来いよ!!ぶっ殺してやる!!」
啓太の声を無視して声は続ける。
「君たちはキラーゲームの参加者だ」
キラーゲーム?なんだそれ?
「君達がいる施設に八時間後に猛毒性のウイルスがばら撒かれる」
猛毒性のウイルスだって!!
「そのウイルスは感染してから五分でその者を死に至らせる」
なんて恐ろしいウイルスだ・・・。
「それまでに脱出しなければ死ぬのは分かるよね?」
声が挑発的な声を出した。
「お前は誰なんだ?」
黒羽氏信弘はハンドガンを天井に構えながら言う。
もちろん声は無視する。
「このホールの中に唯一開いている戸があるよね?」
俺は周囲を見る。
確かにあった。
一つだけ開いていない戸が。
「そこから先に進むんだ、ではキラーゲームスタート」
声のその言葉はとても冷たく感じられた。
2 第一のゲームと悪夢のルール
富山龍一
俺達は声の指示通りに先に進んだ。
そこはそれなりに広い長方形の部屋だった。
全員が部屋に入るとまたもや戸がロックされる。
その部屋には何本ものパイプがあった。
奥には戸がある。
「やあみんなこの部屋にブレスレットの様なものが落ちているよね?」
ああ、あるぜ。
部屋の中央に11個のブレスレットがあった。
それは人数分。
「それを手に着けてくれ」
俺達はブレスレットを手に取り驚愕する。
そこにベルトは付いておらずかわりに太い二本の針が付いていた。
「その針を腕に刺して着けるんだよ?分かるかい?」
また声が挑発的な声を出す。
「こ、こんな太い針を腕に?・・・!!」
先ほど泣いていた女性機織恵子が再び泣き出した。
「腕に着けたらブレスレットに付いているスイッチを押すんだ」
声が言う。
「こんな物を着けるのかよ!?」
啓太が叫ぶ。
「着けるしかないだろう」
鎌が言う。
「お前それ着けるのかよ?」
啓太が驚愕の表情を浮かべながら聞く。
「仕方ないだろうこれを着けなければ死ぬんだぞ?」
「確かにそうだけど・・・」
啓太は次の言葉が出てこない様だった。
「まずは僕が着ける」
鎌はブレスレットの針を自分の腕に突き刺した!!
「うぐぐ・・・」
鎌はうめき声を上げながらブレスレットを装着するとスイッチを押した。
すると鎌の腕を貫通していた針が鎌の腕丁度の長さになった。
「よし・・・これでOKだ」
鎌がため息をつく。
よく見ると鎌の出血は止まっていた。
おそらく針には止血剤かなんかが塗られているのだろう。
「ちくしょう!!やってやるよ!!」
啓太が威勢よくブレスレットを腕に突き刺す。
「ぐ・・・」
鎌同様唸りながらスイッチを押す。
これで啓太もブレスレットの装着が完了した。
俺は覚悟を決め針を腕に突き刺した。
腕に激痛が走るが俺はブレスレットを押しこんだ。
唸り声が自然と出てしまう。
スイッチを押すと針が縮み俺の腕にちょうどいい長さになった。
血はスイッチを押すと止まった。
とても回復力の早い止血剤だった。
とにかくこれで俺も装着が完了した。
その後他のメンバーもブレスレットを装着した。
ブレスレットを着けていないのは恵子だけだった。
「あんたも早く着けなさいよ」
花川久美が恵子に迫る。
「で、でも・・・」
「あんたが着けないとみんな死ぬんだよ」
「付けたくないよ・・・」
「とっとと着けろよ!!」
久美は恵子からブレスレットを奪うと恵子の腕を掴んだ。
「嫌だ!!嫌だ!!離して!!」
恵子が暴れる。
「誰か手伝って!!」
久美が叫ぶ。
「あ、ああ・・・」
守も恵子の押さえつけに加わった。
「離して!!!!!!!!!」
恵子の絶叫が響いた。
惨い光景だ。
久美が恵子の腕にブレスレットを突き刺した。
「ギャー!!」
恵子が絶叫する。
久美はそれを無視しボタンを押す。
これで全員がブレスレットを装着した。
久美と守が手を離すと恵子は崩れるように座り込んだ。
「悪く思わないでね」
久美が吐き捨てる様に言う。
「やあみんなブレスレットを着け終わった様だね」
またあの声が聞こえてきた。
男か女かも分からない。
なぜなら声はよくニュースかなんかで被害者の声を変えている様な声だったからだ。
それで声が余計不気味に聞こえる。
「でも安心するのは早いよ」
声のその一言で俺達の恐怖心はさらに高まった。
「二分後この部屋に水が流れて来る、きっとすぐに溺れちゃうと思うよ?」
「え!?」
恵子が絶望した声で言った。
「この部屋の戸はロックされているよ開ける為の鍵はもう君たちが持っている」
「おいそれどういう事だよ!!」
啓太が叫ぶ。
「君たちの着けているブレスレットには鍵が入っている」
俺はブレスレットを見る。
なるほど確かに入っていそうだ。
なんて言えばいいか分からないが俺は直感的に鍵が入っていると分かった。
「でもそれを開けるにはブレスレットの所有者が死なないとダメなんだよね」
「もーいや!!出してよ!!ここから出してよ!!」
恵子が叫ぶ。
「うるせーよ!!」
啓太が叫ぶ。
声は続ける。
「そのブレスレットは所有者が死亡したのを確認すると中央部分が開く仕組みになっている」
「出してよ!!」
恵子が叫ぶ。
「黙れっつってんだろ!!」
啓太がそれに怒鳴る。
それの繰り返し。
「その中に鍵が入っている、それで戸を開けて出るんだ」
まったく・・・狂ったルールだ。
「ではこのゲームのルールを説明しよう、ルールは簡単生き残る為には他の人間を皆殺しにしろ」
「私がなにしたっていうのよ!!」
恵子が叫ぶ。
「黙れ!!」
啓太が叫ぶ。
「第一ゲームスタート」
声が告げると壁に掛けられている電子時計が動き出した。
2:00から徐々に減っていく。
「出してよー!!」
恵子が叫ぶ。
「黙れって」
ドーン!!
啓太が言い終わらないうちに銃声が響いた。
その弾丸は恵子の頭に命中した。
どぼどぼと血を流しながら恵子の体が倒れる。
撃ったのは誰だ?
俺は周囲を見る。
いた。
発砲したのは川崎守だった。
彼の持つショットガンの銃口から煙が出ている。
「お前・・・」
啓太が守を睨む。
「なんで怒るんだようるさい奴を黙らせたんだから感謝してほしいな」
守が狂った笑みを浮かべる。
絶望的な状況で精神がおかしくなってしまったのかもしれない。
恵子のブレスレットの中央部分が開く。
守がそれに近づき中から銀色の小さな鍵を取り出す。
「さあ早く出よう」
守が戸に近づきながら言う。
「とりあえず第一のゲームはクリアってわけか・・・」
啓太が呟きながら戸に向かう。
「まったくふざけたゲームだ」
信弘も戸に向かう。
俺も戸に向かった。
守が鍵を鍵穴に差し入れる。
鍵を回す。
ガチャリ。
ロックが外れる音がする。
俺はタイマーを見た。
0:05。
あと五秒で水が流れてくる。
「みんな急げ」
鎌が残りのメンバーを急かす。
ザーっとパイプから水が流れる。
守が戸を抜けた。
俺もそれに続く。

第一ゲーム終了結果
死亡者 機織恵子。
実行者 川崎守。
恵子の罪 ガセネタを新聞に乗せた事。

3 信じられるのは誰?
富山龍一
俺達が部屋を抜けるとその先は通路だった。
「ねえ・・・第一ゲームがあるってことは第二ゲームもあるのかな・・・」
野上佳奈美が呟く。
「あるだろうね〜」
守が答える。
「そんときはあんたを撃とうかな〜」
守が狂った目つきで佳奈美を見る。
「冗談やめてよ・・・」
佳奈美があははと笑う。
しかしそれはあきらかに作り笑い。
「くく・・・どうかな」
守は不気味に笑うと通路を進み始めた。
「あいつ狂ってる・・・」
福田正志が呟いた。
確かにあいつは狂ってる。
「君あいつ知ってるの?」
彼と守はたしか同じ年齢だったと思う。
「ああ知ってますよ、あいつはクラスの嫌われ者」
正志が俺の質問に答える。
「とにかく先を急ぎましょう」
正志が歩きだす。
「ああそうだな、さあ行こう」
俺は佳奈美に声を掛ける。
彼女が持っているのは小型のマシンガン。
正志が持っているのは鉈だった。
「うん」
俺と佳奈美も歩き出す。
メンバーの中では俺と佳奈美が最後に歩いていたので遅れないようにスピードを調節して歩いた。
「道が分かれてる・・・」
早苗の声が聞こえた。
徐々に二つに分かれた道とその前で立ち止まったメンバーの姿が見えてきた。
「俺はこっちに行く」
守が右側の道に入っていく。
「あたしも」
久美も右側に入って行った。
よく見ると久美は腰に斧をつけていた。
恵子が持っていた物だ。
彼女が最初にもっていたのはカッターだった。
恐らくそのカッターはさっきの部屋に捨ててきたのだろう。
「僕はこっちに行く」
鎌は左側を選び進んでいった。
「俺も」
俺は左側を選んだ。
狂った守がいるよりもこちらの方がいいだろう。
「私も・・・」
佳奈美が俺を見る。
一緒に行こうという事なのだろう。
そして俺達は第二の部屋にたどり着いた。
俺の後に正志、早苗、慶介が入ってくる。
すると戸がまたもやロックされた。
この部屋は鉄板で覆いつくした様な感じだった。
「やあみんな全員が部屋に入った様だね」
声が冷たく響く。
花川久美
私は第二の部屋にたどり着いた。
この部屋は何も無い殺風景な部屋だった。
いやある。
部屋の四隅に大きく成長したクモが入った檻が置かれていた。
その大きさは異常だった。
遺伝子組換えでもしたのだろうか。
私に続いて啓太と信弘が入ってくる。
すると戸がロックされた。
第二ゲームの始まりの様だ。
富山龍一
「楽しい楽しい第二ゲームの始まりだよ」
声が冷たく言う。
「頼む!!許してくれ!!私が何かしたなら謝るから!!」
慶介が叫ぶ。
彼には5歳年下の妻と中学生の娘が二人小学生の息子が一人いるらしい。
「おもしろい事をおしえてあげるよ」
慶介の声を無視して声は続ける。
慶介も抗議は無駄だと気付き諦める。
「僕は君たちの中にいる」
声が冷たく告げる。
え!?俺達の中にこのデスゲームのゲームマスターがいるっていうのか?
俺はメンバーを見まわす。
慶介の抗議は嘘には見えなかった。
この部屋にいるメンバーで疑えるのは慶介以外の四人。
もちろん慶介の可能性も否定できない。
そんな事言われちゃ誰も信じられねーじゃねーかよー!!
「最高に楽しいよまじかで君たちが死んでいく様をみるのは!!」
声がけけけと笑う。
「まあとにかく第二ゲームスタートってこと!!」
くそ!!今度は誰が死んじまうんだ・・・俺かな・・・
「右側の部屋は三分以内に鍵を入手して抜けなければ檻から解放されたクモに刺されてしまうよ!!」
「左側の部屋は三分以内に鍵を入手して抜けなければ炎で黒こげになるよ!!」
けっ誰かが死ななければみんな焼き鳥になっちまうわけか・・・
「じゃあカウントダウン開始!!」
声が告げるとまた電子時計が動き出す。
形が全く同じ。
違うのは表示されている数字だけ。
「死んでくれるかい?」
「え?」
鎌が俺にリボルバーを向ける。
おいおい嘘だろ?冗談ならそう言ってくれよ。
「れ、鎌・・・やめてくれよ・・・」
鎌は冷たい目で俺を見る。
鎌が鉄板を倒した。
俺は目を閉じた。
ドーン!!
花川久美
第二ゲームが始まった。
相変わらずあいつは狂ってる。
「さあ今度は誰が死ぬ!!くけけけえははは!!」
守が狂った笑みを浮かべぐるぐると私たちにショットガンを向ける。
「あ、そうだあんた死ぬ?」
啓太に銃口を向ける。
「お、おいふざけるなよ」
啓太が言うがその声は弱弱しいかった。
「ふざけてないよ俺は真面目だよ!!」
私は足音を殺しながら守の後に回る。
ゆっくりと腰に手を伸ばし斧を取る。
「バーイバーイ!!」
守がそう言った瞬間私は斧を振り下ろした。
グサリ。
斧は守の後頭部に食い込んだ。
「ぐ・・・ゲア!!」
守がバタリと倒れた。
守の持っていたショットガンは彼の手を離れ床に落ちた。
私は黙ってショットガンに駆け寄りそれを手に取った。
それとほぼ同時に守のブレスレットの中央部分が開いた。
私はそれに近づき鍵を取る。
タイマーを見ると1:30と表示されていた。
つまりまだ時間には余裕がある。
「お、お前も平気で人を殺しちまうのかよ?」
啓太が私を見て言った。
その顔は恐怖に歪んでいる。
ヤクザのくせに情けない・・・。
「仕方ないでしょ?私がやらなければみんなここで死んでいたのよ?」
私は丁寧に説明してやる。
「そんなためらいが命取りになるわ」
「それはそうだが・・・それで正しいのだろうか・・・」
信弘が言う。
「さあね」
私はそう言うと戸に向かった。
富山龍一
俺は死んだのか?
でも撃たれた痛みは無かった。
俺はゆっくりと目を開けた。
そこはさっきと変らない部屋だった。
でも様子が違う。
俺の目の前に早苗が立っていた。
早苗の腹辺りから血がボタボタと垂れている。
「え?」
俺は声を漏らす。
やっと現在の状況が分かった。
おそらく早苗が俺を庇ったのだ。
でもなぜ?
俺と早苗はここで初めてあったはず。
赤の他人の俺を庇う?
いったいなぜ?
早苗は俺の方を向く。
早苗は撃たれた腹を押さえ苦しそうなしかしどこか安堵感のある表情を浮かべていた。
「お、おいどうして俺を・・・」
「勘違いしないでよ・・・」
早苗が強気な表情で言う。
「あたしの人生はまっくら、だから私の人生を終わらせる幕がほしかった」
早苗は悲しそうな顔で言う。
それはまるで何かを思い出したような表情だった。
かすかに涙が目に浮かべられていた。
「でも自殺する勇気はなかった、う・・・」
早苗の身体がバタリと倒れる。
「フン」
錬が言うのが聞こえる。
おいおい人を殺しておいてその態度かよ?
俺はしゃがみ早苗に近い距離になる。
「でもこれであたしの人生は終わり・・・」
早苗の目から光が消える。
早苗のブレスレットの中央部分が開く。
錬が早苗のブレスレットから鍵を取りだす。
そして早苗の持っていたアイスピックを手に取り観察する。
「使えないな」
錬はそう言うとアイスピックを放り投げる。
アイスピックが床に落ちカランカランという音をたてる。
「早く行こう」
錬が俺達に言う。
「黙れ!!この人殺しやろう!!」
俺は自分が殺されそうになった怒りと早苗が死んだ怒りを錬にぶつける。
「うるさいな今度こそ君の体に風穴あけようか?」
錬が俺にリボルバーを向ける。
「う・・・」
俺は自分の発した言葉に後悔する。
「やめて!!」
佳奈美がマシンガンを錬に向ける。
錬が佳奈美を見る。
「やさしいね」
錬は吐き捨てる様に言うと戸に向かって歩き出した。
「大丈夫?」
佳奈美が俺に駆け寄る。
「ああ、ありがとう」
「よかった早く行きましょう」
佳奈美が俺を立たせる。
俺はタイマーを見る。
1:08と表示されていた。
俺は正志を見た。
彼はかつての同級生の死体を憐れむ様な目で見ていた。
「早く行こう」
俺は正志に声をかける。
「そうですね」
正志はそう言うと戸に向かって歩き出した。
俺は戸に向かいながら考えた‘信じられるのは誰?‘

第二ゲーム終了結果
ルームa
死亡者 田村早苗
実行者 伊藤錬
罪 会社への攻撃
ルームb
死亡者 川崎守
実行者 花川久美
罪 暴行

4 加速する狂気
富山龍一
俺達が抜けた部屋から焦げ臭い臭いが出ていた。
俺は抜けてきた戸を振り返る。
早苗の死体がこの中で燃えている。
しかしいつまでもそんな事を気にしている場合ではない。
錬は危険だ。
あいつは人を殺すのに何の躊躇もない。
もしかしてあいつがこの狂ったゲームの犯人?
とにかく錬は信用できない。
おそらく佳奈美は信用しても大丈夫だろう。
じゃあ正志は?
あいつは物静かであまり喋っていない。
だから怪しいのかわからない。
とにかく様子見だ。
花川久美
私は通路を歩いている。
後ろを啓太と信弘が歩いてくる。
「なあ俺達死ぬのかな」
啓太が呟く。
「おいおいそんな絶望的な事言うなよ」
信弘が言った。
「でも生き残れるのは一人だろ?それ以外はみんな死んじまうんだ」
「死ぬって決まった訳じゃない、このゲームのゲームマスターを見つけて脱出方法を吐かせればいいじゃないか」
「でも嘘かもしんないぜ」
「嘘ってどういう事だよ?」
「つまりこのゲームを管理してるくそ野郎は俺達の中に犯人がいると思わせて逃げ惑う俺達を見て楽しんでるって事だよ」
「確かにいるという保証はない・・・」
「逃げられるかも保障されてないぜ」
「あ・・・」
信弘が絶望的な声を上げ足を止めたので私は振り返った。
「生き残るためには黙って進むしかないのよ、これはサバイバルゲームよ?そんなにモタモタしてるとアッという間に死ぬわよ?」
私はそう言ってやった。
生き残るためには他人を犠牲にするしかない。
これが自然界の掟だ。
富山龍一
通路を進むと戸が見えた。
錬がそれをくぐる。
正志がそれに続く。
この戸が意味する事。
それは第3ゲーム。
俺はごくりと唾を呑んだ。
「富山さん、これ使って」
佳奈美が俺にマシンガンを差し出す。
「もらっていいの?」
「私よりあなたの方が使いこなせると思うし、それに・・・」
佳奈美が言葉を止めた。
「それに?」
俺は聞く。
「またあの人に殺されそうになるかもしれないし・・・」
佳奈美が少し頬を赤らめながら言う。
佳奈美は俺を心配してくれているのだ。
「ありがとう」
俺はマシンガンを受け取る。
俺は腰からナイフを抜き佳奈美に差し出す。
「この銃に比べたら弱っちいけど何かあった時は頼りになると思うよ」
「ありがとう」
佳奈美がナイフを受け取る。
俺は恥ずかしいセリフを口にする。
「まあ何かある前に俺が守るけどね」
俺はマシンガンを肩にあてかっこつけながら言う。
「ありがとう、頼りにしてます」
佳奈美が言うので俺はちょっと照れた。
「早く来てくれないかな?」
錬の皮肉を込めた声が戸の奥から聞こえてきた。
俺達は再び現実に引き戻される。
「今いくから待ってろ!!」
俺は言った。
「慶介さんも行きましょう」
俺は立ち止まって固まっている慶介に声をかけた。
「あ、ああ・・・」
慶介は俺の言葉にうなずき戸に歩き出した。
その顔は絶望的だった。
「行こう」
俺は佳奈美の手を引いた。
花川久美
私は見えてきた戸をくぐった。
その部屋の床はガラス張りだった。
その下には大量の酸がうごめいていた。
おそらくタイムオーバーになると床が開いて落下する仕掛けだろう。
「おいおいこんどは酸のプールかよ」
「こんなとこに落ちたら・・・」
私の後に入ってきた啓太と信弘が恐怖の声をあげた。
富山龍一
俺と佳奈美は部屋に入った。
その中はガラスの部屋だった。
壁全てがガラスだった。
床も全てガラスだ。
「やあ第3ゲームを始めよう」
声がしゃべりだした。
花川久美
「やあ第3ゲームを始めよう」
あの不気味な声がしゃべりだした。
さあこんどのルールは何かしら?
「ルールを説明するよ」
私はごくりと唾を呑んだ。
「酸の床の部屋の諸君、床を見てみて」
私は床を見た。
電子タイマーがある。
そこに記された数字は5:00。
五分で誰か殺せってことね。
「タイマーがあるよね?それが0になったら床が開いてその下にボシャンだから気をつけてね」
私の予想した通りだ。
富山龍一
声が別の部屋のルールを説明した。
「ガラスの部屋の諸君」
声が言う。
今度は俺達のルールの様だ。
「その部屋にはタイマーは無いよ」
は?じゃあどうやって残り時間を確かめるんだよ?
「制限時間は五分」
五分か・・・。
「実はこの部屋にはちょっとした爆弾が仕掛けてある」
爆弾!?
「それが爆発したらガラスが吹っ飛んでそれでズタズタになるよ」
「じゃあゲームスタート」
声が冷たく告げた。
花川久美
「じゃあゲームスタート」
その声と同時にに電子時計がカウントダウンを開始した。
「さあてこんどはどうする?」
「どうするもなにも・・・なんか出口とか・・・」
啓太が言う。
出口などあるわけがない。
こいつ馬鹿?
「なんど言えば分かるの?誰か死ななきゃだめなの」
私はショットガンを啓太に向けた。
「お、おいおい、冗談よせやい」
啓太があわてて手を顔の前で交差させる。
キモ、こいつ死ね。
「まずは落ち着こうよ、ね?」
信弘が私をなだめる。
むかつくわね、じゃああんたが死ぬ?
「じゃああんたが死ぬ?」
私は標的を変える。
「ま、待て」
信弘も啓太と同じ動作をする。
「うおおおおおおおお!!」
啓太が私の腹に蹴りを入れた。
富山龍一
第3ゲームが始まった。
時間切れになればガラスでズタズタだ。
「ど、どうすれば」
慶介が呟いた。
次の瞬間錬が動いた。
リボルバーを慶介に向けためらうことなく引き金を引く。
ドーン!!
弾丸は慶介の腹に当たった。
錬の冷酷な行為には10秒も必要なかった。
「う、ああああ・・・」
慶介が茫然としたまま倒れる。
錬、あいつは慶介を殺すのに何もためらわなかった。
1秒も迷った様子はない。
錬が倒れた慶介に歩み寄った。
その脳天を狙う。
ドーン!!
弾丸は脳天を貫いた。
慶介のブレスレットの中央部分が開く。
錬が黙って中から鍵を取りだす。
「早く行こう」
錬はそう言うと戸に向かった。
花川久美
「う・・・」
私は蹴りの衝撃で倒れる。
ショットガンを手放してしまった。
ああくそ!!
啓太がショットガンを拾った。
「これで誰も殺せない!!」
じゃあどうやって出るんだよ・・・。
私は心の中でツッコミを入れながら立ち上がる。
「分かったわ出口を探しましょう」
私は両手を挙げながら啓太に近づいた。
啓太は少し警戒したようだが私が‘手に‘何も持っていないのを確認すると戸に向かって歩き出した。
私は速度を速める。
ある程度啓太に近づくと私は腰から斧を抜いた。
そして走る。
啓太が振り返る。
間に合え!!
私は啓太の足に斧を振り下ろした。
「ぐあああああああ!!!!!」
啓太が絶叫する。
私は啓太を蹴った。
啓太がバランスを崩してあおむけに倒れる。
私は啓太の顔に斧を振り下ろした。
「ぎゃあああああ!!」
私は何度も何度も斧を振り下ろす。
信弘はそれを茫然と見ている。
啓太の身体が動かなくなった。
私は手を止めた。
啓太の顔はぐちゃぐちゃになっていた。
目も当てられない状態とはこの事だ。
啓太のブレスレットが開く。
私は返り血をぬぐいながら鍵を拾った。
「行きましょう」
私は茫然としている信弘に声をかけた。
「あ、ああ・・・」
信弘は魂が抜けているという状態だった。
さっきのシーンがよほどショッキングだったのだろうか?
まあそんなのはどうでもいい。
私は落ちたショットガンを拾うと戸に向かって歩き出した。
信弘もあわてて後に続く。
富山龍一
「行こうか」
俺は佳奈美の手を引きながら言う。
「う、うん・・・」
佳奈美は俺の手を一層強く握った。
お前の事は俺が守ってやる。
もう誰も殺させない。
正志も。
錬は俺が止める。
俺は心の中でそう誓うと戸に向かって歩き出した。
「富山さん」
正志が俺を呼びとめる。
「なんだ?」
俺は立ち止まる。
当然だが佳奈美も立ち止まる。
「こんど錬さんが僕たちに殺意を向けてきたら協力しましょう」
正志が俺に言う。
「錬を殺すのか?」
「仕方ないでしょう、あの人は殺人になんの躊躇もないんですよ?」
こんなにしゃべった正志は初めてだ。
おそらく錬が慶介を殺害するのをみて危機感を感じたんだろう。
「仕方ないか・・・」
俺は佳奈美の顔を見る。
佳奈美は黙ってうなずいた。
「でもそのあとはどうするんだ?」
錬を殺してもその次のゲームがあるに決まってる。
「あるじゃないですか誰も殺さない方法が」
正志が悲しそうな表情で言う。
「何だ?」
俺は聞く。
何か脱出の方法を見つけたのか?
「自殺するんです」
「え?」
俺は驚いた。
佳奈美も同じだろう。
「ゲームに負けていたい思いをするより富山さんのマシンガンでひと思いに死んだ方が楽だと思いません?」
確かにそうだが・・・。
まあ彼の言うことももっともだ。
「まあそれはあとで考えようや」
俺は言う。
いまここでそんな事を言っていても仕方がない。
タイムリミットは迫っている。
「は!!」
正志も気付いた様だ。
「急ごう」
俺と佳奈美と正志は同時に駆け出した。
5 信じられる仲間、新たなるデスゲーム
富山龍一
俺達は通路を歩いている。
奥の方からカランカランという薬莢を落とすような音が聞こえた。
おそらく錬がリボルバーをリロードしたのだろう。
でもなんで日本に銃が?
犯人は外国とつながりがある?
「富山さん野上さん」
正志が止まる。
俺と佳奈美も止まる。
「僕たちは協力しあうことを誓いましょう」
正志が手を差し出す。
「福田正志は協力しあうことを誓います」
正志が言った。
「野上佳奈美は協力しあうことを誓います」
佳奈美が正志の手に手を重ねた。
俺もやることにする。
「富山龍一は協力しあうことを誓います」
俺も手を重ねる。
「僕たちはどんな時でも協力しなければなりません」
正志の言葉に俺と佳奈美がうなずく。
「では行きましょう」
正志の言葉を合図に俺達は歩き出した。
花川久美
私は通路を歩いている。
そして私の後ろをびくびくしながら信弘がついてくる。
このゲームはいつまで続くんだろう。
あともう一ゲームあると仮定すると私はそこで信弘を殺すことになる。
そのあとは?
その次のゲームがあったら私はどうすればいいのだろう。
私はあたまの中で疑問を呟きながら通路を進んでいく。
なにかが見えてきた。
通路よりは明るい光が見える。
「出口か!!」
信弘が私を抜き光に向かって走っていった。
私はそれを見ながらポケットからショットガンのシェルを取りだした。
第二ゲーム終了時に念のため守のポケットから抜いて持ってきたのだ。
カバーをスライドさせてその中にシェルをスライドさせる。
私は8つのシェルを入れるとカバーを閉じポンプアクションで次弾装填を済ませた。
それをやりながら歩くうちに私は部屋の中にたどり着いていた。
その部屋には信弘以外に富山 野上 伊藤 福田がいた。
私は富山達のフルネームを思い出そうとする。
信弘や啓太などは同じ部屋に来たから反射的に覚えた。
しかし富山達はある意味脇役だったから覚えていない。
なんて言ったっけ、あー考えるのめんど、やーめた。
あいつらの名前なんてどうでもいい。
この部屋の構造は広い部屋に6個の戸があるという物だった。
「やあみんな」
あの声が喋りだした。
富山龍一
「やあみんな」
不気味な声が喋りだした。
「生き残っているのは6人、がんばったねほめてあげよう、と思ったら大間違い」
声はくかかかかと笑った。
「これからが本番だよ」
「え?」
信弘が魂の抜けたような声を出した。
「出口は進んでいけば見つかるよ、でも開けるには僕を殺して鍵を奪ってそれで開けるか残り人数が1になるまで戦わなければならない」
おいおいこんどはバトルロワイアルかよ。
俺はメンバーを見回す。
俺の予想する要注意人物は二人、久美と錬だ。
錬の理由は説明しなくても分かるが久美は服に帰り血の様な物がついているのが理由だ。
信弘はとくに脅威ではないだろう。
「この部屋には君たちが入ってきた戸以外に6つの戸があるよね?」
俺は先程見つけた6つの戸を再び見る。
「どの戸に入ってもいいけど一つの戸に二人以上が入ると死ぬよ」
「え!?」
信弘が再び魂の抜けた声を上げる誰かとともに行動しようと思っていたのだろうか?
「ではファイナルゲームスタート、いっつkill♪」
声が告げると同時に部屋中に不気味な声でkillkillkillと殺害を意味する言葉が繰り返された。
「う、うああああああああ!!」
信弘が絶叫しながら尻もちをついた。
「馬鹿みたい」
久美が呟く。
「ふん」
二人の要注意人物が信弘に吐き捨てる様に言う。
「富山さん・・・」
佳奈美が俺の腕を強くつかんだ。
「あたし・・・」
「大丈夫」
俺は佳奈美の両耳をふさいだ。
「富山さん・・・」
正志も不安げな目で俺を見る。
もしかして俺頼られてる?
花川久美
「ううううううう、げひゃひゃひゃ!!」
正志が嗚咽を終えると狂った笑い声を上げ立ち上がった。
こいつ狂ってる!!
私は駆け出した。
向かうは中央の戸。
私が駆け出すのとほぼ同時に伊藤が駆け出した。
私は中央の戸のノブを回し中に入るとドアを閉めた。
富山龍一
久美と錬が駆け出して戸の向こうに消えた。
佳奈美が不安気な顔で俺を見る。
正志は駆け出す準備をしていた。
この状況では戸まで駆け出すのが一番の得策だろう。
信弘がこちらを見てにやりと笑った。
くそ!!あいつまじで狂っちまった!!
俺はマシンガンを信弘の足元に向けると引き金を引いた。
ダダダダダダダダ!!!!!!!
射撃音が部屋中に響き渡る。
「うへ〜!!」
信弘が情けない声を出して尻もちをつく。
「今だ!!走れ!!」
俺の言葉を合図に佳奈美と正志が駆け出す。
俺もマシンガンを信弘に向けつつ駆け出す。
後ろ向きに走りながら佳奈美が一番左の戸に正志が一番右の戸に入るのを見た。
「うけけけけけ!!」
信弘が立ち上がる。
その顔はもう人間のそれでは無かった。
俺は中央の戸の左の戸に入った。
そこ中は細い通路になっていた。
俺はマシンガンを構え警戒しながら進んでいく。
花川久美
私は通路を進んでいる。
通路が左に曲がっているので私は左に曲がった。
その通路を進んでいくと左側にらせん階段が見えた。
私はそれにショットガンを向ける。
そして念のため一発撃ち込む。
何も作動しないことを確かめると私はそれを上がり始めた。
福田正志
僕は薄暗い通路を進んでいる。
しばらく進むと通路が交差している場所を見つけた。
それに近づく。
そこで通路が十字に交差していた。
僕は左に進んだ。
どう進めばいいかなんて分からない。
勘で進むしかないのだ。
どこからか「くけけけけけけ」という不気味な笑い声が聞こえた。
僕は後ろに後ずさる。
信弘の声だ。
僕は十字通路まで戻ることにした。
なるべく音をたてないように早歩きで戻る。
十字通路が見えてきた。
僕はつい走り出してしまった。
十字通路に入ると僕は左に進んだ。
しかしそれが誤りだった。
通路の奥から「くけけけけけ」という笑い声が響いてきた。
僕は恐怖心からか動けなかった。
奥から信弘が現れた。
「うひひひひひひ!!」
信弘は僕にハンドガンを向ける。
「ま、待ってくれ!!落ち着いてくれ!!」
僕は叫んだ。
しかしそんな声が信弘に届くわけなかった。
その直後バーン!!という一発の銃声。
黒羽氏信弘
くけけけけ!!ああ殺っちゃった!!
目の前の男が倒れる!!
あひゃひゃひゃ!!
きききき!!わたしは適当に通路を進んでいく。
あああああ出口がないよ〜!!なんちゃって!!くきききききききき!!
”僕”
僕は通路を走る。
いた。
僕はターゲット黒羽氏信弘に狙いを定める。
僕の”武器”を握りしめると一気に信弘目がけて駆け出す!!
信弘が僕の方を向く。
その首目がけて僕は”武器を”を振った。
その刃は信弘の喉を切り裂いた。
信弘が「ぐぎぎぎぎぎ」と唸り声を上げる。
その首から血が大量に噴き出す。
信弘が床に倒れる。
僕は死体になった信弘から銃と弾薬を奪うと次のターゲットを求めて駆け出した。
富山龍一
俺は戸を見つけた。
それを開ける。
そこは壁に不気味な絵が描かれた部屋。
俺は部屋に入った。
しかしどこからかドーン!!という音が響き俺の足元が爆ぜた。
花川久美
私は足場から富山を狙撃する。
一発目は奴の足元に当たった。
私はポンプアクションで次弾装填をする。
富山が私の居場所に気付きマシンガンを向ける。
撃たせるか!!
私は引き金を引く。
ショットガンから弾薬が発射される。
その弾は富山の近くの壁に当たった。
あわてて狙ったから頭が外れたのだ。
富山龍一
久美が再び発砲した。
俺の予想通り久美も危険だ。
二発目の弾丸は俺の左斜め後方の壁に当たった。
俺はマシンガンの引き金を引いた。
ダダダダダダダダ!!
もちろん久美に当てるつもりはない。
その弾丸は久美の近くの壁に当たる。
花川久美
富山の放った弾丸は私の横の壁に当たった。
私はそれにひるみ隙を見せてしまった。
その隙に富山は戸目がけて走り出した。
ああくそ!!逃がすか!!
私はショットガンを三回連続で発砲した。
富山龍一
俺は戸に体当たりするようにして中に駆け込んだ。
その中はまた通路だった。
俺はその通路を進み始めた。
しばらく進むと曲がり角があった。
それを曲がると俺は誰かにぶつかり床に尻もちをついた。
「誰だ!!」
俺はその人影にマシンガンを向ける。
「待って!!私よ」
その声は佳奈美の声。
「佳奈美・・・」
俺は立ち上がる。
「無事でよかった」
俺が言うと佳奈美が抱きついてきた。
花川久美
結局私の撃った弾は全て外れた。
私はショットガンに弾を装填するとらせん階段を下りた。
来た方向とは逆の方向に通路を進む。
しばらく進むと戸が見えた。
それは両開きタイプの戸。
よく食品工場かなんかにあるやつだ。
それを開けようとすると中から足音が聞こえてきた。
誰?誰であろうと生かしておくわけにはいかない。
足音が近づいてくる。
私は戸の横に隠れた。
ショットガンの銃口付近を持つ。
姿を現したらこれで殴ってやる。
戸が開いた。
中から出てきたのは・・・。
伊藤。
私は「うおおおお!!」と声を上げながらショットガンを振った。
「ぐ!!」
伊藤は私の一撃をうけ戸にぶつかる。
そして床に転がる。
私も部屋に入ろうとした。
しかしそれは出来なかった。
伊藤が私に向けてリボルバーを発砲したのだ。
私は間一髪で戸の横に逃げ込む。
その弾丸は閉まりきっていない戸を通過し壁に当たった。
やってくれるじゃないの、これから銃撃戦になりそうね。
私は戸を少しだけ開けた。
伊藤が発砲する。
その弾丸は戸に当たった。
私は戸を蹴りあけるとショットガンを発砲した。
錬が中にあるコンテナの陰に隠れる。
弾丸はコンテナに弾かれた。
私はポンプアクションをするとすぐさま二発目を発砲した。
その弾丸もコンテナに弾かれる。
私は再びポンプアクションをする。
しかし三発目を撃つことは出来なかった。
伊藤がコンテナの陰から発砲してきたのだ。
私は戸の陰に隠れる。
弾丸が壁に当たるのを確認すると再び戸を蹴りあけ発砲する。
その弾丸もコンテナに弾かれる。
ポンプアクション。
しかし私が発砲するより早く伊藤が発砲してきた。
戸の陰に隠れる。
その弾丸がまたもや壁に当たる。
これじゃキリが無い。
私は伊藤の銃について考える事にした。
あの銃の装弾数は確か6・・・あいつが発砲したのは4発あと2発で弾切れのはず・・・。
私はチャンスを待つことにした。
手で乱暴に戸を叩く。
すると戸が大きく開いた。
するとすぐさま伊藤が発砲してきた。
よしあと一発。
私は挑発するように一発撃ち込んだ。
それもコンテナに弾かれる。
私は急いで隠れた。
そしてその直後銃声。
よし!!今がチャンスだ!!
私は弾が装填されていない事を祈りながら伊藤の隠れるコンテナに向かって駆け出した。
パラパラという音がする。
伊藤が空の薬きょうを捨てたのだろう。
私はコンテナの後ろに回り込んだ。
そこにはリロードをしている伊藤。
伊藤が「く・・・」と唸る。
私は再びショットガンを振った。
それは伊藤の顔に当たりあいつの掛けていたメガネが吹っ飛ぶ。
伊藤は「うぐ・・・」と唸りながら床に尻もちをついた。
私は伊藤に銃口を向けポンプアクションをした。
さあゲームオーバーだ。
あれ?こんな場面あったような・・・。
私は思い出した。
学校でいじめを受け父の保育園で手伝いをしていた日の事を。
それなりに楽しかった。
しかし園児たちは生意気だ。
私のストレスは日々増していった。
そしてある日私はついに園児に手を出してしまった。
しかし父はそれを塗りつぶしこれからも黙っていてくれると約束してくれた。
それから私は園児を虐待するようになった。
いくらやってもそれは園長である父が塗りつぶしてくれる。
しかしそんなある日私は父の話を聞いてしまった。
父は電話中の様だった。
そして父は言っていた。
「娘はそうとうイッチってる園児を虐待しているんだもう困ったもんだあの化け物には」
逆上した私はキッチンから包丁を取ってくるとそれで父を惨殺した。
その時の私のセリフが「さあゲームオーバーよ」だった。
カチリ。
その音で私は現実に引き戻された。
その音はリボルバーのリロードが完了した事を意味していた。
そして銃声。
私の腹のあたりに痛みが走る。
「うぐ・・・」と言って私はあおむけに倒れた。
手から力が抜けショットガンが床に落ちる。
伊藤はそれを拾うと私に向けた。
ああくそ・・・私もこれまでか・・・。
そして銃声。
6 悪夢の鬼ごっこ
富山龍一
俺と佳奈美は通路を進んでいる。
俺は通路を進むながら久美に襲われた事を話した。
「あの人も危険ね・・・じゃあ信じられるのは福田君だけなの?」
「ああそういうことになるな・・・」
いつの間にか俺と佳奈美は手をつないでいた。
「もし生きて帰れたら今度一緒に遊園地行かない?」
佳奈美が俺に聞いてくる。
「ああ、一緒に行ってジェットコースターとか乗って盛り上がろう」
俺と佳奈美は笑顔を見合わせた。
しばらく進むと戸が見えた。
それを開ける。
そこは俺が久美に狙撃をうけた場所と全く同じ部屋だった。
また狙撃してくるんじゃないのかという不安を抱きながらも俺は足を踏み入れた。
佳奈美を後ろに庇いながら。
幸い狙撃はうけなかった。
奥の戸に向かう。
そして開ける。
そこはまた通路。
まるで迷路だな・・・。
しばらく進むと曲がり角があった。
それを曲がった瞬間銃声と同時に横の壁が爆ぜた。
その銃声はショットガンのものだった。
俺は急いで走った。
もちろん佳奈美の腕をつかみながら。
俺は佳奈美を後ろに庇いながら狙撃者が来るだろう方向を見ながら後ろ向きに進んだ。
そして人影が見えた。
それは・・・。
「錬!!」
俺は言うと同時に発砲した。
油断すれば100%殺される。
錬は曲がり角に後ずさるように隠れた。
「走れ!!」
俺は佳奈美にそう言うと後方に乱射しながら走った。
がむしゃらに通路を駆け抜ける。
弾が切れると空のマガジンを捨てズボンにはさんである新しいものを入れる。
しかし隙を見せた瞬間錬がショットガンを発砲してきた。
近くの壁が爆ぜる。
俺はあわてて撃ち返した。
錬が何かに隠れるのが見えた。
次の瞬間佳奈美の「うっ!!」という苦痛の声が聞こえた。
俺はあわてて振り返る。
そこには両開きの大きな豪華な戸がありそれが開き中に佳奈美が足から血を流して倒れていた。
その中はゲームスタートを告げられたホールにそっくりだった。
違うのはホールよりもかなり飾り付けが豪華なのと奥に出口と大きく書かれたがあることぐらいだった。
俺は部屋に駆け込むと急いで戸を閉め佳奈美に駆け寄った。
佳奈美の足にはボウガンの矢の様なものが刺さっていた。
そしてよく見るとホールに入ったすぐところに赤外線が見えた。
そしてそれをたどると仕掛けられているボウガンが見えた。
おそらく赤外線に触れると矢が発射される仕組みだろう。
そして佳奈美はそのトラップに引っかかった。
「大丈夫か!!」
俺は佳奈美の足から矢を抜いた。
そしてポケットからハンカチを取り出すとそれを佳奈美の足に巻いた。
ハンカチが血で滲んだ。
「う、うん・・・ありがとう」
佳奈美が痛みに顔をひきつらせながら言う。
「ああ」
俺は佳奈美を抱き起こすとその手を肩に回し奥の方に連れていく。
次の瞬間戸が開く音がした。
俺は恐る恐る振り返った。
そこには錬の姿が。
「悪いが死んでもらうよ」
錬が俺にショットガンを向ける。
「く・・・」
俺はあわててマシンガンを向けた。
バーン!!
銃声が響き錬の頭から赤い物が出た。
そして錬が倒れる。
しかし俺は撃っていない。
錬の後ろから出てきたのは・・・。
「正志!!」
終 事件の真相
富山龍一
錬の後ろから正志が出てきた。
「無事だったのか!!」
俺はマシンガンを捨て正志に駆け寄った。
しかし・・・。
バーン!!
銃声が響き俺の腹に痛みが走った。
「え?」
俺は状況が分からないまま倒れる。
「富山さん!!」
佳奈美の声が聞こえた。
俺は現実が信じられなかった。
正志は俺にハンドガンを向けていた。
まさかお前だったのかよ・・・協力しようって約束したじゃないかよ・・・。
福田正志
富山が無様に俺を見上げている。
ふんクズがそこで一生そうしてろ。
「まさかあなただったの?福田君・・・」
野上とかいうやつが恐怖に満ちた目で僕を見ている。
「うんそうだよ僕がゲームマスターさ」
「福田君・・・」
「正志・・・」
富山と野上が同時に言う。
「二人とも勘違いしているよ僕の名前は福田正志じゃない」
「え?お前そう名乗ったじゃないかよ?」
そう確かに僕はそう名乗った。
そしてこいつらは見事にだまされた。
「そうだよ、でも僕はそれが本名だとは言っていない」
「福田!!」
富山が叫んだ。
怒りに満ちた目で僕を睨んでいる。
こいつ逆ギレしちゃってるよ・・・お前のしたことを思い出せ!!
「だまれ!!自分の罪を棚に上げて何逆ギレしちゃってんの?」
「俺が何をした?」
やっぱり何も覚えていない・・・ならヒントをやろう。
「あんたの罪を思い出すヒントをやるよ、富山幸これがヒントだ」
「富山幸・・・まさかお前!?」
「そうだよ久しぶりだね兄さんそう僕の本名はあんたの弟の富山幸だよ!!」
「あ・・・」
富山は自分の罪が分かった様だ。
富山龍一
俺の罪が分かった。
俺と幸はそれなりに大企業の富山コーポレーションの社長の息子だった。
しかし不幸が続き会社は倒産寸前に追い詰められてしまった。
そんな時俺がわがままを言って親から大金を盗み独立してしまった。
それが原因で会社は倒産。
父はショックのあまり死んでしまったという。
おそらく俺の罪はそれだ。
富山幸
「気づいたようだね!!そうだよ!!お前が金を盗んだから父さんは死んでしまったんだ!!恥を知れ!!」
僕の言葉に兄はバツの悪そうな顔をする。
そして身体を起した。
半分倒れた体制でじっと僕を見る。
「あのときはすまなかった・・・」
「謝ってすむんなら警察はいらないねとにかく僕は絶対にお前を許さない!!」
僕は銃口を兄に向ける。
死ねそして地獄にいく途中で父さんに謝れ!!
「でもあなたそれでほかの人も巻き込んだの!!」
野上が僕に反発した。
「は!?ほかのやつにも罪はあるよお前にもな!!」
僕は野上に銃口を向ける。
「やめろ!!たのむやめてくれ!!」
兄が僕に頼む。
過酷なサバイバルの中こいつにとってあの女は大切なものになっていたらしい。
ならそれを奪ってやる。
「やーだよ〜」
僕は引き金に指を掛けた。
富山龍一
幸は佳奈美に銃口を向けた。
くそ!!このまんまじゃ佳奈美が死んじまう!!
俺は急いでマシンガンを拾うと発砲した。
弾丸は全て幸に当たった。
そして俺をにらみながら倒れる。
とりあえずこれで佳奈美は無事だ。
俺は立ち上がると佳奈美のもとに歩いた。
しかし佳奈美が驚愕の表情を見せた。
俺は振り返る。
幸が立ち上がっていた。
死んだはずなのに!!
そして俺に向かってハンドガンを発砲した。
その弾は腹に当たった。
俺は「うぐ!!」とうめいて倒れた。
富山幸
くくくくく無様な姿で兄は再び倒れた。
僕は防弾チョッキを着ていたため助かったのだ。
黒羽氏に襲われた時もそうだ。
僕は無様に倒れている兄に駆け寄った。
「死ね!!クズの中のクズめ!!」
僕はそう言って銃口を兄に向けた。
「ゲームオーバー」
そう言い引き金に指を掛ける。
野上佳奈美
私は痛む足を引きずりながら幸の後ろに回り込んだ。
彼は私には気づいていない様だった。
腰からナイフを取り出す。
そしてゆっくりと幸に駆け寄る。
「く!!」
幸が私に気付いて振り返った。
その首にナイフを突き刺す!!
幸は「ぐお!!」と唸った。
首から血が噴き出す。
私はさらに力を込めた。
幸の手から銃が落ちる。
私は彼を押し倒した。
その上に馬乗りになる。
そして首からナイフを引き抜き彼の身体に刺す!!
私は何度も同じ動作を繰り返した。
ひたすら刺す!!刺す!!刺す!!
返り血が私の顔や服に飛び散る。
そして彼は動かなくなった。
富山龍一
佳奈美は幸を殺した。
俺のために殺人を犯した。
佳奈美は動かなくなった幸の身体から離れると足を引きづりながら俺の近くに来た。
そして俺の前に座る。
「ふーなんとか助かった〜」
佳奈美が明るい声で言った。
しかし俺にはわざと明るくしているように見えた。
実際そうだろう。
「佳奈美ありがとう」
俺は初めてそう呼んだ気がした。
すると佳奈美はにっこり笑って「うん」とうなずいた。
「う・・・」
俺はめまいがしたのを感じた。
そしてドサリと床に倒れる。
血が足りないのだ。
「龍一!!」
佳奈美が俺を初めて名前で呼んだ、しかも呼び捨てで。
こんなときだが彼女との距離が縮まった気がした。
こんな状況じゃなければ・・・。
おそらく俺はもう死ぬだろう。
「俺、もうダメみたい・・・」
俺は笑顔でそう言う。
「え?何言ってんの?ねえ一緒に遊園地行くって言ったよね!!行こうよ!!生きて帰って一緒に行こうよ!!」
佳奈美が涙を流しながら叫ぶ。
彼女は俺のことをこんなにも思ってくれているのだ。
俺は目の奥から何かが押し寄せてくるのが分かった。
「ごめん・・・でも俺が死んでも一緒に行くことは出来るよ」
「え?」
「たとえ俺の肉体は死んでも魂は死なない俺はずっと君を見守っててあげるよそれで一緒に遊園地に行こうよ」
俺の言葉に佳奈美はさらに泣き出した。
「うん」
佳奈美が涙を手の甲で拭いながら言う。
しかし彼女の涙は何度拭っても消えない。
「だから早く行きなよ」
俺は出口を指差した。
「でも鍵かかってるよ」
佳奈美が笑いながら言う。
「大丈夫だよ鍵ならある」
「え?どこに?」
俺は幸の死体を指差した。
「ポケットの中とか見てみなよ」
野上佳奈美
私は幸のポケットを探った。
鍵らしきものに触れた。
それを掴み出す。
それはカギだった。
プレートに出口と書かれている。
「さあ早く言って」
龍一が言った。
私は黙って彼に近づいた。
そして彼の唇にキスをした。
私にとってそれはとても幸せな時間だった。
私はいつの間にか龍一に恋をしていたのだ。
長いキスを終えると私は彼の唇から自分の唇を離した。
彼の目から光が消えていた。
彼は死んでしまった。
私は黙った立ち上がった。
念のためマシンガンを拾う。
「じゃあね龍一また遊園地で会おうねそしてありがとう」
私は出来る限りの笑顔でそう言うと出口に向かった。
キラーゲーム終了
悪夢のプログラムは終了した。
生還者は野上佳奈美1名のみ。
その後彼女は警察に保護され1年を精神病院で過ごす。
そして彼女は一年後退院した。
退院する前日彼女は病院の屋上で晴れわたる青空に向かって言った。
「龍一ありがとうそして死んでいったみんな安らかに眠ってください」

Re: キラーゲーム(完結済み) ( No.2 )
日時: 2009/11/11 15:41
名前: 読者 (ID: QdQNOOXC)

面白いですね

Re: キラーゲーム(完結済み) ( No.3 )
日時: 2009/11/11 16:28
名前: トム君105 (ID: H6c/o5GF)

読者さんありがとうございます。

Re: キラーゲーム(完結済み) ( No.4 )
日時: 2009/11/11 17:38
名前: 読者 (ID: QdQNOOXC)

自己紹介忘れました!              ペンネームは読者で、職業は学生です。      初めて、カキコに来ました            よろしくお願いします!     

Re: キラーゲーム(完結済み) ( No.5 )
日時: 2009/11/11 18:48
名前: 瑠希 (ID: ont4q9aA)

おもしろいww

長いけど、よんでみたらおもしろかったww

怖いけど、おもいしろかったwww

すごいなあ・・


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