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血塗れのマリオネット
日時: 2009/11/19 18:50
名前: テイル (ID: acQ6X1OT)

血に嗤う少女の続きです。
知らない人は、ネタバレになるので、
そちらを読んでからにして下さい。
読んだ人はどうぞ↓


















『俺』はもちろん前回の『俺』です









それは、呪いのマリオネット。
    抱いたが最期———『死』ガ襲ウ。
       マリオネットに———殺サレル・・・

「おじさん・・・。」
駅構内を歩いていると、声を掛けられ、振り向いた。
色の白い、まるで病人のような少女が、こっちを見つめて立っていた。
腕に、古いマリオネットが抱かれていた。
記憶の奥深くが疼いた。
———オモイダシチャダメダ・・・。
「君は誰?」
「知ってるくせに・・・・・」
少女がケラケラ笑いながら、血を吹き、床に倒れ、消えた。
人間の倒れる音はせず、黒髪のマリオネットが忘れ去られたように落ちていた。
———周りの人間に取り残されたマリオネット。
少し可哀想になり、家に持って帰った。
それに、『あの事件』以来、妙な事が続いていたので、早く帰りたかった。



マリオネットは精巧にできていて、
血の気の無さそうな、真っ白な肌の色を除けば、生きているようだった。
恐る恐る糸をいじると、すんなり動いた。
———シッテルクセニ・・・。
マリオネットが喋ったような気がした。
俺は急に怖くなり、これをクローゼットに仕舞うと、さっさと寝た。


朝起きると、身体の上にマリオネットが乗っていた。
「うわあぁぁー!」
確か昨日、クローゼットに入れたはずだ。
何だか怖くなり、床に落とそうとした。
「ケケケッ!オチヤシナイヨ?」
マリオネットが自ら避け、笑いながら机まで跳んだ。
「私ハ呪イノマリオネット。抱イタガ最期、死ガ襲ウ。私ガ必ズアナタヲ・・・殺スノ。」
そして、また笑いだした。
机にいたマリオネットを引っ掴むと、ナイフで切り刻んだ。
脚、腕、腹、心臓、そして頭・・・。
「クケケ・・・ケケ・・・・・」
壊れた玩具のように、不気味に笑い続ける。
笑い声が止むと、ビニール袋に押し込み、ゴミ捨て場の奥に捻じ込んでから仕事に向かった。


「お疲れぇ。」
同僚の女の声を背に、俺は会社を後にした。
エントランスから出ると、屋上に人影が見えた。
少女が身を乗り出している。
このビルは、周りに比べてかなり低いので、星空がよく見える。
その時、何処かで見たような既視感に襲われた。
———オモイダシチャダメダ。
何を思い出しちゃいけないんだ?
「こんばんわ。」
振り返ると、駅で話し掛けてきた少女が、
捨てたはずのズタズタになったマリオネットを持って立っていた。
「私の事、覚えてないでしょ。」
「えっ?」
「あなたにとって、私は玩具の一つだったかも知れない。でも、
私にとってあなたは、不幸以外の何物でも無かった。さようなら、喜び。さようなら、幸せ。」
何かを朗読するように、淡々と言い放った。
俺はこの詩を知っていた。
これは、あいつの作っていた物だ。
高校の時に、皆でいろいろと苛め、卒業式の日に桜の下で死体として見つかった。
あいつの名前は・・・
「紫崎エリカ・・・」
「やっと分かったようね。」
その時、両脚に痛みが走った。
「ウッ・・・」
マリオネットの手には、血に濡れたナイフが握られていた。
「覚えてる?私の持ってたマリオネットに落書きしたの。」
そう言いながら、ナイフで顔に落書きを始めた。
「私ヲ殺シタ時ノヨウニ殺シテアゲル。」
マリオネットがナイフを振り上げた。
ザシュッ。
両腕をズタズタに切られた、次は・・・
グチャ。
腹をナイフで掻きまわされる。
「うあぁぁぁぁぁっ!!」
胃液が他の臓器を焼いていく。
「少しは謝ったらどうなの?」
彼女が怒りを含ませ、低く囁いた。
「わ、悪かった!だから・・・・!!」
「遅い・・・。」
更にナイフを腹に突き刺した。
血がダラダラと流れ落ちる。
「モウイイワ・・・サヨウナラ。」
心臓にナイフが振り下ろされた。











「終わった・・・」
俺は、かつらを取り、返り血を拭いながら呟いた。
母の仇討ちはこれで終わった。
なのに、心の穴が更に広がった気がしたのは何故だろう。
「お母さん・・・」
呟いた声は、降り始めた雨の音と共に、虚空に消えていった。






設定は、ここでの『少女』は、
前回の女(紫崎エリカ)の息子です。
つまり女装してたんです。
息子に関しては、また書きます。

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Re: 血塗れのマリオネット ( No.1 )
日時: 2009/11/30 20:03
名前: かのん (ID: mJdGQN/J)

こんにちは!!
みにきました(^▽^♪)
おもしろいし怖い….

Re: 血塗れのマリオネット ( No.2 )
日時: 2009/11/30 21:06
名前: テイル (ID: acQ6X1OT)

ありがとう!
何か・・・マリオネットが勝手に動く現象が説明できない。orz
まあ、最後女装だったけど、
許してやってよ(なら、俺を女にすれば良かっただろ!by死鴛
(だって面倒くさかったんだもn(駄目作者!(はいはい。


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