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終の住処
日時: 2009/11/18 22:58
名前: poq (ID: 84ALaHox)

「二人、ですか?」

着物を着た好青年が年老いた女にたずねた。すると女は目を伏せて小さく頷いた。

「どちらかが、必ず不幸になる。こういう方法をとるのは、不本意だったの」

老婆が言葉を続けなくとも、青年にはわかっているようだった。不本意であろうと、こうするしかなかったということが。
青年は手元の写真を見た。中学生ほどの男子と小さな女の子が幸せそうに笑っている。老婆もその写真を見て、悲しそうに目を伏せた。

「和泉、血を継ぐ者を守りなさい」

はい、と青年、和泉は消え入りそうな声で返事をした。

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一、しののめ ( No.1 )
日時: 2009/11/18 23:12
名前: poq (ID: 84ALaHox)

「あれー、和泉さん、おばかふたりは?」

眠気眼の少年が和泉に聞くと、和泉は苦笑いを浮かべながらカレンダーを指した。

「あっ、そっか、今日はあの日かー!」

そういうと、少年もすっかり目が覚めたようで騒々しく洗面所へ駆けていった。しかし家政婦である伊瀬が台所から走るなと怒鳴ると、その足音もすっかりやんでしまった。再度和泉が苦笑いを浮かべる。

「伊瀬さん、今日は量が多いから大変だね」

朝食を持って現れた伊勢に声をかけると、伊勢はその小さな背をぐっと伸ばして、大きく息をはいた。


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