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駆け抜ける少女
日時: 2009/12/04 18:26
名前: ありさ (ID: zr5xYoWQ)
参照: http://akatukiarisa.web.fc2.com/sousin.html

こんにちは〜ありさと申します。
この小説は戦争をモチーフにした小説です。
明るい内容ではないと思ったので、ココに投稿させていただきます。






【プロローグ】
:::1994年 昭和19年:::


ここは栄恵村。


小さな村だけど 自然はとっても豊かな村。


この村に住んでいる真奈は 村にある緑の丘が大好きだった。


芝生がたくさん茂った丘の中央に 1本の大きな木があるのだ。


真奈はいつもこの丘で白いワンピースを着て、遊んでいる。


真奈は、今日も丘で遊んでいた。



「ららら〜ららら〜らら〜ら〜♪」




飛び跳ねて遊んでいると。

「まーな!何やってるんだ?」



この子は哲也という隣に住んでいる男の子。


「今、遊んでたんだよー」

「お前の母ちゃんが呼んでるぞ」

「えっじゃ、帰るね!報告どうも〜」

「じゃあな」


たったったったったっ


この村の風はとても気持ちがいい。


黒い髪が 風に靡いている


真奈の白くて細い足が 芝生の上を駆けていく。



ガラガラッ


「ただいまぁーっ!」



「おかえりー」

「真奈!あら、おかえりなさーい
          ご飯食べなさいねー」


お父さんとお母さん。


「もーちろん!お腹空いちゃったよ」



今は戦争中なので、ちょっとのおかずくらいしかないけど・・・

食べられるだけで いいよね。






真奈は昼食をもくもくと食べてしまった。


「ごちそーさまー」

食器を台所に置く。


「あのね真奈・・・広島のおばあちゃんが心配だから、1ヶ月くらい様子を見に行きたいんだけど・・・いいかしら?」



「全然ダイジョウブだよ」





「でも・・・実は・・・お父さんね・・・」


お父さん急に黙り込んでしまった。


「ん?」


「お父さんね・・・戦争に行かなくちゃいけないんだって」




戦争に行く——それは死に行くに近いこと。

お父さんは行ってしまうのだ。



「・・・・・・そうなんだ」



「真奈を一人にできないんだけど・・・おばあちゃんも一人でしょ?・・・」


「平気だよ。一人でも。
   それに・・・お父さん、頑張ってね!
     絶対負けないでね!」


「おう!」






それから数日後。




お父さんは




     行ってしまった。




頑張ってね・・・お父さん・・・

真奈の切ない気持ちが 風に乗っていったようだった。


真奈は まだ 戦争の恐ろしさを 十分にわかっていなかった。


【プロローグ】

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