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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 命の100t
- 日時: 2009/12/05 16:48
- 名前: 銀 (ID: lWK3zB9M)
「妹が病気です。治すためには百億tの石が必要です。助けてください。」
学校の掲示板にこのチラシを貼った少年は、虚ろな目をしていた。とても小学生には見えない。それもそのはず。「妹が病気。」その少年は他でもない。この、虚ろな目をした少年である。医者から、
「この病気を治すには、100億tの石が必要です。それがなければ治りません。」そういわれたとき、少年は意味が分からなかった。思ったのは、妹を助けたいということだけだった。
「小盥浮君。」担任に小盥浮と呼ばれたその少年は、一日中虚ろな目をしていた。彼が現れるまでは。
放課後。静かに帰りの用意をしている浮に、奴が声をかけてきた。蒼坂興志。このクラスの人気者で、何でもできるエリートだ。
「百億tの石、用意してやるよ。」驚き、驚き、驚き、驚き。目が飛び出そうになるくらいの驚き。
帰り道。奴が言うには、奴は人を石にする能力を持っていて、人を石にすると、その人の命の重さだけ重い石ができる。どんな奴でも10億tはある。お前なら100億tいくんじゃないか。と、言うことだった。
“お前なら”・・・つまり、いしになれということだ。迷う。石にはなりたくない。でも妹は助けたい。
浮は心を決めた。妹を、助ける。
早速浮は興志に電話をし、石にしてもらうことにした。誰もいない空き地。興志が指を鳴らした。
“パチンッ”・・・石になった。泣きたかった。でも、泣けなかった。
目の前に、黒のスーツを着た、浮と歳が変わらぬくらいの少年が降りてきて、一言言った。
「好い心です。」
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