ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Crimson World——紅 15,「撤退」up
日時: 2010/01/03 13:16
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

それは、一瞬のことだった。

            目の前で真っ赤な鮮血が飛び散り

   服に新たな模様をつくった

                まごうことなき————紅

今宵、世界は————



           紅く染まる________

+*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::*::;;::+

 クリックありがとうございますm(_ _)m
 初めまして、架凛(かりん)と申します。
 はい、消えてしまいました……。読んでくださった皆様ご迷惑をおかけしますm(_ _)m
 シリアス・ダークは初めてですが、がんばりたいと思います!!

☆.。.:*・°架凛から°・*:.。.☆

●架凛の更新速度は亀より遅いです……。それでも良いという方だけお読みください。
○荒らし、チェンメはNGです!!
●コメしていただいた方の小説は、見つけたら必ず読ませていただきます☆
○友達募集中です〜(o> <)ノ~

☆.。.:*+°C o n t e n t s°+*:.。.☆
 
 第Ⅰ話 幕開け >>1
 第Ⅱ話 水の国の姫君 >>2
 第Ⅲ話 幼なじみ >>3
 第Ⅳ話 謎の美少女 >>4
 第Ⅴ話 風の丘 >>5
 第Ⅵ話 沈黙の野原 >>6
 第Ⅶ話 衝突 >>7
 第Ⅷ話 魔法陣…発動 >>8
 第Ⅸ話 美しき魔女 >>9
 第Ⅹ話 二重人格 >>10
 第ⅩⅠ話 湖——シェイラ >>11
 第12話 “竜精の槍” >>15
 第13話 氷の剣 >>16
 第14話 風の宝玉“ウィンディ” >>23
 第15話 撤退 >>28

☆.。.:*・°お客様°・*:.。.☆
No,1 ΨソラΨ様      No,11 .*:;゜aoi゜;:*. 様☆ミ
No,2 藍羽様        No,12 トム君105様☆ミ
No,3 みちる君様      No,13 東真様☆ミ
No,4 *猫+様        No,14 更紗@某さん様
No,5 b'`*) ノ桜姫 °*様☆ミ No,15 くまごろう様☆ミ
No,6 ナガ様☆ミ No,16 六様
No,7 楔様
No,8 美織様
No,9 白魔女様☆ミ
No,10 瑠希様☆ミ

 只今【14】名です。
  *+。.。°Thank you°。.。+*

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第Ⅰ話 幕開け ( No.1 )
日時: 2009/12/05 20:49
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

 ここは、太陽系から遠く離れた星、ヴァロア。
 この星には、大きく分けて三つの大陸がある。
 一つは、炎の帝国ラファーロを中心とした大陸、トーチ。
 二つ目は、水の国リーアスを中心とした大陸、レイク。
 そしてもう一つは、緑の国フィリアムを中心とした大陸、ネイア。
 通称、ヴァロア三大大陸と呼ばれる。

 それぞれ三つの大陸は深い関係をもっていなかった。いや、持とうとはしなかった。

  しかし今、そんなヴァロアが変わろうとしている。

 事の発端は、水の国リーアスの画期的な発明からだった。
 リーアスは「奇跡の水」という物を発明したのだ。
 それは、命をなくした者の口に一滴たらせば息を吹き返すという物だ。
 死後3日以内にしか効かないが、相当量な代物である。
 それを耳にしたのは炎の帝国ラファーロ。
 そして、欲望に駆られた者達が立ち上がる。

 後に緑の国をも巻き込み、「ヴァロア世界大戦」と呼ばれるようになろうとは、
 まだ誰も知らない。


 さあ、地獄の戦いの————




                 幕開け————

第Ⅱ話 水の国の姫君 ( No.2 )
日時: 2009/12/06 19:14
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

 レイク大陸には四つの国がある。
 中心のリーアス、エルドラド、グレイシャ、ミストの四つである。

 ここは水の国リーアス。ヴァロアの中でも一番水の豊かな国だ。
 人々は水を敬い、いつも水と助け合って生きていた。
 そんな平和な生活も今、音をたてて崩れおちてゆく……。

 「おじいさま、お願いです。私も行かせてください!!」

 リーアス国の中心にたつ城の中。玉座を前に、必死に頼みこむ少女がいた。
 流れるように艶やかな漆黒の髪と、雲一つない空のように澄んだ蒼い瞳。
 彼女の名はマリン=リーアス。この国のれっきとした姫である。

 「ならぬ。お前は儂の後継ぎじゃ。死なせる訳にはいかぬ」

 重々しい声で答えたのは現王ガイア=リーアス。マリンの祖父にあたる人物だ。

 「そんな!!私は……この国の人達を守りたい……」
 「うむ……」

 ガイアは考え込んだ。それには複雑な理由がある。

 「本来ならば、儂の後はお前の父が継ぐはずだったのじゃが……」

 不意にマリンの蒼い瞳に涙が溢れ頬を伝った。

 ガイアが悩む理由とは、マリンの父のことである。
 マリンの父カイスは、天才的な科学者であり、膨大な魔力の持ち主であった。
 大らかでリーダーシップもあり、王としてはまたとない人材だった。

 しかし、既にこの世にはいない。

 カイスは「奇跡の水」の研究を始めた第一人者だった。
 そして、それがラファーロの耳に入り、暗殺された。

 もし、カイス一人だったならば助かったかもしれない。
 だがラファーロは娘のマリンにまで目をつけた。
 相当の魔力をもったカイスの娘。その魔力を受け継ぐ者だと恐れ、殺そうとした。
 そしてカイスは、愛する娘を守るために死んでいった。

 マリンの目に焼き付いて離れない、自分をかばうように立ちはだかった背中。
 そして、飛び散った血。

 そんな父にマリンは一体何を思っただろうか。
 カイスは盾となって娘を守ったが、その心には深い、深い傷跡を残した。
 
 「マリン。お前はラファーロに復讐しようと考えているのではないか?」
 「そ、それは……」

 マリンは口ごもりながら答えた。
 憎しみがないと言えば嘘になる。自分の父を殺されたのだから。

 「復讐したいと思うのは、当たり前です!!
  しかし今は、国の民を守るために……行きたいです」
 「うむ……。お前がもし……汝の自我を保つことができると言うならば、
  好きにするがよい」

 ガイアが恐れているのは、カイスの娘であるマリンが秘めた強大な魔力を、
 我を失い解放してしまうことだったのだ。

 「……わかりました。ありがとうございます。おじいさま」

 マリンはそう言って玉座を背にし、高らかに宣言した。

 「リーアス第一戦闘部隊、出動!!」

 ガイアは遠くなるマリンの背中にカイスの面影を感じた。

 「決して……死ぬでないぞ。」

 力強く言うガイアの姿は紛れもない王の風格をかもしだしていた。

第Ⅲ話 幼馴染 ( No.3 )
日時: 2009/12/05 17:26
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

リーアス国の城下町にも、既にラファーロ軍は近づいていた。マリンは国の人々に避難を促した。
 城の前の広場には結界がはられているのだ。
 そして、マリン達第一部隊は町で戦うことがないよう、
 国の北側にある[沈黙の野原]へと騎馬を進める。

 「おい、マリン。大丈夫か?」

 一人の青年が話しかけた。彼の名前はハーディ=フロスト。
 白藍の髪と暖かみのある紺色の瞳を持つ。
 ハーディはマリンの幼なじみで、その父はカイスと共に[奇跡の水]の研究を行っていた人物である。
 ハーディは、ガイア以外で唯一マリンを名前で呼ぶ男だ。

 「……どうして?」
 「いや、何か不安そうな顔してるって言うか……」

 マリンははっとした。自分では表情をかくしていたつもりだったからである。

 「お前の親父、ラファーロに殺されただろ?
  それと何か関係があるんじゃないかって思ってさ……」

 ハーディの言葉は的を射ていた。

 マリンは祖父の言葉を聞き、恐れていたのだ。
 自分の中に眠っている力————
 それがどれくらいの物かは分からないが、おさえられる自信がなかった。
 それ程に、ラファーロを憎んでいたのだ。
 
 しかしマリンはそれを誰かに言ったりはしない。
 それは弱みを見せる事になる。姫としての威厳を失うことにも通じる。

 二人は共に口を閉ざした。荒々しく地を蹴る蹄の音が、やけに大きく聞こえる。

 ハーディはいつも、マリンの心を読んでいるかの様だった。
 どんなに明るく振る舞ったり笑ったりしても、マリンの気持ちをしっかりと見抜いていた。
 マリンはそんなハーディに悔しくも思ったが、嬉しいような気もしていた。

 「大丈夫です!!私は」

 沈黙を破ったのはマリンの方だった。
 胸にはまだ大きな不安を抱えていたが、くよくよしていても仕方がないと吹っ切れた。

 「何かあったら言えよ」
 「………はい」

 そういってマリンは少しぎこちなく笑った。
 久しぶりに見たマリンの笑顔にハーディの頬も少し緩んだ。

 「急ぎましょう!!」

 マリンはそう言うと、更にスピードをあげた。




    沈黙の野原、戦場へ向かって————

第Ⅳ話 謎の美少女 ( No.4 )
日時: 2009/12/05 17:27
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

 「エルドラド」レイク大陸の中で最も小さな国。
 絵本から抜け出してきたような風景と、様々な工芸品で有名だ。
 その美しい街も今、戦火にさらされていた。かつては民の憩いの場所であったこの広場も。

 「ふふふ………
     は、ははははは!!良い眺めだ!!」

 燃え盛る炎を見つめて笑う一人の男がいた。
 ラファーロ軍第三部隊の隊長、ブルート=ファイアリーである。短くきった燃えるような赤毛。
 明るい朱色の瞳には、色の印象とは異なる冷たい光がやどされていた。
 ラファーロ軍の大半は魔術属性関係なしに炎の魔術を使うことができる。
 もちろん、ブルートもそうだった。
 
 「奇跡の水を大人しく渡さないからさ!!ははははは!!」

 笑うブルートの前に、突然白銀の何かがさっと通り過ぎた。

 「…………!?」
 「はずしたわね、残念。もうちょっとだったんだけど……。ねぇコルア」

 声のした方に目をやると、そこには一人の少女がいた。
 腰あたりまでのびた銀色の髪と、薔薇色の瞳が目立つ。
 そして胸に抱いているのは……
 白銀に光る—————狐?

 「………お前、誰だ」

 ブルートは突然現れた少女を睨み、先程とは全く違う静かな声でいった。

 「あら、怖い顔。人のことを聞くのなら、
   まず自分から名乗るのがどうりではなくて?」

 少女は狐を撫で、怪しい笑みを見せながら言った。そしてブルートは名乗った。

 「我が名はブルート=ファイアリー。ラファーロ第三部隊の隊長だ」
 「第三部隊?フフ。弱いのねぇ」
 「なんだとっ!?」

 怒りに顔を歪めるブルートといたって涼しい顔の少女。

 「俺が名乗ったんだからお前も名乗れ!!」
 「私?私はフィリア。フィリア=ライトネス」
 「………何者だ。」
 「ただの通りすがり。と考えてくださればそれでいいわ。」
 
 相変わらずの笑みに、ブルートはふつふつと湧いてくる怒りをおさえるのに苦難していた。

 「で、抱いてるそれは何だ?」

 ブルートがそう言った瞬間、フィリアの顔から表情が消えた。

 「ねぇ………今、 [それ] って言った?」

 一瞬で空気が凍り付いたような気がした。凄まじい冷気がフィリアの体から発されている。

 「それ、ってコルアのこと?」

 無表情な顔を見て、ブルートの心までもが恐怖で凍りついた。遂にそれを顔にだしてしまった。

 「あ……。ち、違います……」

 一軍の隊長とは思えないような弱々しい声。これでは面目まるつぶれだ。

 「そ、ならいいの。この子はコルア」

  フイリアは再び笑みを浮かべた。

 「さあ、始めましょうか。報いを受けていただかなければなりませんから」

 少女は戦いの始まりを告げた。

 小さきエルドラドの………

             大きな戦い—————

第Ⅴ話 風の丘 ( No.5 )
日時: 2009/12/05 17:28
名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)

ここはリーアス国の真南に位置する街、グレイシャ。
 川と湖が多く、リーアス国の中では一番自然が豊かな国といえるだろう。

 その国の中心には不思議な丘がある。
 雨の日も雪の日も、その上だけは心地よい暖かな風がふくのだ。
 そんな丘のてっぺんに、一人たたずむ者がいた。

 後ろで三つ編みにした白銀の髪に、透き通るような空色の瞳。何よりも目をひくのは、左目を覆い隠す眼帯。

 少年とも少女ともとれるその風貌だが、今は少年といっておこう。

 「良い天気……だね」

 瞳を閉じ、気持ち良さそうに言う。
 しかしその頬には少し寂しそうな微笑が浮かんでいた。
 少年の側には誰もいない。それなのに誰かに語りかけるような話し方をする。

 「戦いが……始まるよ」

 少年がそう呟いた時、一人の兵士がどこからともなく現れた。
 
 「将軍……じゃなくてアイス=フローライト様。
  西の方角から敵が攻めてまいります!!」

 兵士は早口でそう告げた。

 「うん……ありがとう。僕も行くよ」

 焦りの表情を浮かべる兵士とは裏腹に、いたって静かな声でいった。

 「あの……【将軍】は……?」
 「ライツ、寝起きだから機嫌悪いみたい。
  起こさない方が良いと思うんだけど……起こす?」
  「い、いえいえ!!けっ結構です、はい。では、参りましょう。」

 アイスは兵士に続き、二人で丘を降りる。
 ……いや、三人というべきか。
 と、まぁこの言葉の意味はすぐに分かることだろう。

 「アイス様ラファーロ軍がもうすぐそこまできております!!」

 丘の下で待機していた別の兵士が言った。

 「……あと、ここまでどのくらいかかるかな」
 「それほどはかからないかと」
 「そっか……」

 アイスは考えるような表情をしてうつむいた。そして顔をあげると静かに言った。

 「ライツ起こすね。僕、戦うの苦手だから。」
 「は、はい……。」

 兵士は少し怯えたような表情をしたが覚悟を決めたように答えた。


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