ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 少年クリスマスキャロル
- 日時: 2009/12/06 21:42
- 名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)
シリアスだけど感動できるものを書きたいです!
えと、頑張るのでコメントよろしくお願いします!
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- Re: 少年クリスマスキャロル ( No.1 )
- 日時: 2009/12/09 21:09
- 名前: 朝喜 ◆rgd0U75T1. (ID: cRxReSbI)
第一章≪真っ暗のそこにあるもの≫
恐怖と絶望のどん底、引き篭もりやニートはいつもそんな思いを胸に秘めている。
理由もなく人間は足を踏み外さない——しかしそれを理解できる人間などいやしない。いたとしてもそれは詭弁か何かだ。他人が他人を解れるのはせいぜい二割程度が限界というものである。
つまり、虚無を埋めてくれてるのは他人じゃないんだ。自分の自己満足と思い込みでしかないんだ。
* *
人間は静かすぎるところでは落ち着かないらしい。
しかし、今は全然静かではなかった。
——少なくとも、僕にとっては。
「……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
念仏のように呟き続ける言葉はもはやある種の呪いだった。
十三歳の彼——来明(キアキ)は涙ぐんだ目を布団にこすり付けながら恐怖を打ち消すためにその言葉を唱え続ける。
「……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……ごめんなさいごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
来明の親は共働きで、二人いる兄弟も帰りが遅い。兄は名門高校に受かり立ての高校生で、弟はやんちゃな小学生である。兄は勉強もでき、面倒見のいい性格なだけにそれなりの人望やカリスマ性を具えている。弟は学業がイマイチだが異性にかなりモテるらしい。一方、来明は得意なことがない上にかなり縮こまりな性格をしている。学校ではいつも一人で本を読んでるのが当たり前の毎日だった。
——だけど今、僕は家にいる。“今日も”学校には足を運べそうにない。
リストカット、首吊り、飛び降り、睡眠薬、どれも怖くて出来なかった。
そんなことをしても誰も止めないと思う。僕はそういう人間だから。そういう行いをしてきた人間だから……。
自分の部屋に閉じこもり、暗い部屋逃げ込んで解ったこと、そして、そこにあったモノ……。
それは——どうしようもないくらい空っぽな虚しさがこみ上げてくる何かだった——
——日付が変われば考える。むかし疑問に思えたくだらないことを——
僕が引き篭もりになったのは誰のせいでもない。いや——誰のせいにもしたくない。そんなことをするくらいならわざわざ引き篭もりなんて馬鹿な手段は取らず学校の屋上から飛び降りてる。
母が最初に雇ったカウンセラーはこう言っていた。
『彼は、精神衛生上とてもよろしくありません。何か嫌がることでも強制されていますか?』
別に強制なんてされてなかった。もしも理由に節があるんだとしたら他人に理解を求められることではない。だから、言い出せなかった。もしかしたら母が解ってくれるんじゃないかと思いながら。しかしそれは中学生にもなって母親に甘えてる醜き自分をうつさせた。
そして、母が例に出してきたのは僕の想いと全く異なることだった。
『……そうだこの子、塾通ってるんです。そういえばかなり嫌がってました。あ! あと学校行きたくないとか言ってたのにわたし無理矢理行かせちゃって……それに——』
塾はともかく、学校はどうにもならないだろうと思いつつ、僕はその時と今の自分が酷く醜く思えた。
逃げた臆病者の自分、その状況から抜け出す術をしらない無知な自分、そして、考えたり思ったりするだけで何もしない自分——
変わりたいと思う人間は信じられないくらい簡単に変われるらしい。もちろん、簡単に思えるのは見た目だけだし、振り絞る勇気の量は計り知れないが、それでも変わりたいと思う気持ちが本物ならば、人間は変われる。
だから、この部屋に——自分の殻に閉じ篭って何もしない僕にはその勇気とやらが欠けているのかもしれない。
もしも、もしも僕がここにいる理由が誰かのせいだとして、僕がその誰かを恨んでるとしても、その誰かは悪くないと思う。
ここに閉じ篭るのは僕の意思——自分で決めたこと。
せめてもの希望は——いつか開き直って誰かを恨めるほどの勇気が持てる日が来ること。僕に目的が生じるその日まで————
——そして、また日付は変わり考える。くだらないことを……。
とある小説掲示板にて、こんなしょうもないことが書かれていた。
『女の子にモテなかったり、男運がなかったりすると「恋ってなんだろう?」って考えるらしい』
これを書き込んだヤツは相当な馬鹿に違いない。僕は十三年も生きて来たが、女の子にモテたためしなんてこれっぽっちもない。つまり、こんな書き込みをしたヤツはただの知ったかぶりだ。心理学を何一つとしてわかっちゃいない。……もちろん僕もわからないけど。
……それにしても、恋……かぁ。
「恋なんてしたことない!」なんて言えば嘘になるが、恋愛経験(片思い)なんてそう他人に語れるもんじゃない。付け加えて言うのなら、初恋は五歳の頃だった。もっというと、その時は自分の気持ちに素直になれなくて暴力紛いのことをしたこともある。
まあ、どんなに考えても答えは出ない。
そういうもんだ。
そういうもんなんだ。
無理なもんは無理。恋と書いて片思いと読むのが現実だ。でも、僕にはそんな乙女チックなこと考える暇は十分ある。
無駄なことを考えて時間をつぶそうじゃないか。
——いつかは来る、僕がこの部屋を出ること、そして異性に好意を抱く日と、ついでに、駄菓子屋で当たりクジ引く日が、僕には——僕みたいな人には必ずくる。
だからさ、そんな日が来るまで怠けようじゃないか。
生きてる限り、時間はたっぷりあるんだからさ——
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