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amanojaku
日時: 2009/12/07 21:16
名前: 悠樹 (ID: jfR2biar)

投稿初めてです・・
ちょっと緊張
よろしくお願いしま〜す(>▽<)





「お前、天邪鬼だよな。」
夏希は唐突にそう言われ、飲んでいたジュースの紙コップを口から離した。
「はぁ!?俺のどこが天邪鬼なわけ?こんな良い奴、他にいないでしょ。」
言いながら湿った口元を拭う。
「だって、お前と話してっとさ、皆が好きなもの嫌いって言ったり、はたまた、皆の嫌いなもの好きって言ったり。」
腰を曲げているせいで頭の位置が低くなっている浩志
が、上目づかいで夏樹を眺める。
「例えば?」
「例えばって・・・・。先生とかさ、食べ物とか、と
にかく全部だよ。」
少し言葉に詰まったせいか、目をそらしながらついでに座る向きも少し夏樹の正面からずらした。それを見た夏樹は訝しげに眉をひそめる。
「てかさ、天邪鬼ってそういうもんなの?」
「俺もそんなに詳しく知ってるわけでもないけどな。」
夏の木漏れ日が時々瞳を差して眩しい。風が木の枝を押したり引いたりしながら遊んで、木がそれを抗議しているかのようにカサカサとささやき続けていた。湿気の少ない晴れの日。適度な風に日陰、近くに池の水。少しひんやりとするコンクリートのイス。夏希たちのいつもの居場所だった。
「やっほー!」
2人の微妙な空気を知ってか知らずか、元気に手を高々と上げて痩身の女子が駆け寄ってくる。
「藤倉!」
その姿に浩志の表情がパッと明るくなる。助け舟だ、と言わんばかりに。
「あれ、お前授業は?」
「そう、聞いて!?休講だって。ったく、補講面倒なんだからやめろって感じなんだけど。」
肩にかけていたバッグを地面に落とし素早く座り込むと、腰を伸ばすようにぐいと上半身を前に突き出す。その表情は苛立ちをおびていた。
「あの先生、連絡なしに休むからな。」
藤倉の勢いに気圧された健二は苦笑いをしてご機嫌取りを始める。
「そー、あたし嫌いなんだよね。何かムッツリっぽいし。」
少し後ろにのけぞって背伸びをする。無駄なものが付いていない白いお腹が見えた。あからさまに目をそらした健二は頬が少し赤らんでいた。
「そ、そうだな。」
「そ?俺はけっこういい先生だと思うけどな。」
座ったまま紙コップをゴミ箱に放り投げる。
「あ、天邪鬼!!」
「・・・・・・・なんだよ、藤倉まで。今、健二にも言われてたんだよ。」
「マジで!?だってさ、佐倉、そんな感じだもんね?」
女は表情がよく変わる。夏希は普段からどれが本当の顔なんだろうと考える事がある。
「あれあれ、嫌だった?」
黙り込んだ夏希を面白そうに藤倉がのぞきこんだ。
「うるっさい、もう良いよ。この話終わり。あー、のど渇いた。」
薄汚れた茶色い斜め掛けのカバン、素早く肩にかけるとのしのしと歩きだす。
「え?夏!どこ行くんだよ!?」
「おちゃ〜。」
「・・・・・・やりすぎ?怒ったかな。」
藤倉が目をぱちくりさせながら健二と夏希の背中を交互に見た。
「あ〜・・平気だろ、佐倉なら。」
そう言う健二の顔は少し気まずそうな表情をしている。
「佐倉って子供っぽいよね、大学生にもなってさ。」
「ご愛嬌。」
2人は顔を見合せて笑う。

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