ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- アンティーク少年
- 日時: 2009/12/08 19:58
- 名前: リーノ (ID: mv0eV7LZ)
彼は、その瞳に何を映していたのだろう———。
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- Re: アンティーク少年1 ( No.1 )
- 日時: 2009/12/08 20:06
- 名前: リーノ (ID: mv0eV7LZ)
心地よいまどろみの中。
「……きて…」
自分を起こそうと声をかける人物には悪いが、どう頑張っても起きれそうに無い。
「…ぉ…て……」
何故なら、その囁くような声までもが今の自分には子守唄に等し——
「起きなさいって言ってるでしょーー!!」
子守唄は長くないようだ。
- Re: アンティーク少年 ( No.2 )
- 日時: 2009/12/08 20:29
- 名前: リーノ (ID: mv0eV7LZ)
「全くもう!なんで幸弘さんはこんなに朝が弱いのかしらねぇ!
起こす方の身にもなって欲しいわっ!」
ぷりぷりと効果音が付きそうな怒り方をする彼女は、俺の奥さん…予定の婚約者の『春乃』。
俺にはもったいないくらい、可愛くて良い奥さんだ。
「悪かったって。でも低血圧なんだから多めに見てくれよ」
「低血圧ぅ?ならせめて早めに寝るように努力する事ね!私知ってるんだからっ……幸弘さん、夜中にパソコンいじってるでしょ!?」
思わず図星を突かれて、うっと言葉に詰まる。
一応言っておくが、別にいかがわしいサイトを見ているわけじゃない。会社での仕事が残っているときに、運悪く高熱を出して寝込んだのだ。
仕方なく家に仕事を持ち帰り、地道に作業を進めていたら……朝だった。
そういうことが過去に一回や二回じゃないため、低血圧と言っても彼女は信じてくれない。
いや、実際嘘なのだが。
- Re: アンティーク少年 ( No.3 )
- 日時: 2009/12/09 21:35
- 名前: リーノ (ID: JABApI6n)
その後は、春乃と軽く言葉を交わしてすぐに家を出る。
さて、俺の紹介が遅れた。
俺は篠田幸弘。
美人な婚約者と、優しい上司と、かわいい後輩が身近にいるという幸せ者。でも決して派手な暮らしをしているという訳では無く、むしろ質素な方だ。
そんなこんなで今は横断歩道の前。俺は会社に向かっていた。
「(あー…早く変われ…!)」
何故かなかなか変わらない信号にイライラする。
これじゃあ遅刻だ。優しい上司が鬼に変わってしまう。仏の顔も三度までってヤツか?
あーあ。こんな時に通りすがりのお婆さんを助けたりとかしたら遅刻は免除になるかなー等、思っても意味の無い事を考えていると———。
「—危ないっ!」
信号が赤のままにもかかわらず、お婆さんが横断歩道を渡ろうとしていた。焦った俺はお婆さんの腕を掴み、引き寄せた。
ププーーッ!!
恐らく工事用の、トラックがクラクションを鳴らしながら真横を擦れ擦れで通るのを見て、思わず顔が青ざめる。
確かにお婆さんを助ければ…とか思ったけど、これは無いだろ…!
そう思い、すっかり顔色の悪くなった俺を気遣うようにお婆さんが話しかけてきた。
「あのぉ…ありがとうございますねぇ…私ったら目が見えないものでねぇ…」
「あ、お気になさらず」
少し特徴の有る話し方をする人だな、と思い、返事を返す。
この人は目が見えないのか。でも、見ただけじゃそんな事気付かないな…。
お婆さんは、よく目の見えない人が持っている長い棒も持っていなかったし、盲導犬とやらもつれていなかった。
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