ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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未確認生物
日時: 2009/12/11 18:45
名前: 秋桜 ◆AxS5kEGmew (ID: 4TjuuFmy)

この度、シリアス・ダークでも書かせて頂きます。
私は社会問題系でも書いていますので、興味のある方は参照をご覧下さい。

多少グロが入るかも知れませんが、その所はご了承お願い致します。
スレ主は初心者に近いですので、矛盾点などがございましたら遠慮なくご指摘下さい。

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Re: 未確認生物 ( No.1 )
日時: 2009/12/11 20:20
名前: 秋桜 ◆AxS5kEGmew (ID: 4TjuuFmy)

第一話

 僕の名前は、拓也というらしい。由来は、知らない。僕が聞く前に、両親は交通事故で死んでしまった。
 僕はその時ベビーカーに乗っていて、久しぶりに休みがとれた父と母が散歩をしていた。多分、他愛もないような話をしていたんだと思う。悲劇は、突然やってきた。巨大なトラックが、歩道に突っ込んできたのだ。更に悪い事に、そのトラックは丁度僕達が横断歩道を渡ろうとしていた所を目指して襲いかかってきた。父は即死だった。
 母は体全身に重症を負い、すぐに病院に運ばれたがまもなく死亡した。意識が唐牛であったとき、前述した情景などを身内に伝えていたと言う。死ぬ直前、母は目をカッと見開き、僕の名前をあらん限り叫んで永遠の眠りについた。そんな訳で、僕の名前の由来を知る人はいない。勿論僕自身もだ。
 僕の両親を轢き殺した奴は、そのままどこかへ逃走した。十二年ほどたった今でも、捕まっていない。奴は僕の両親の人生を潰しただけではなく、僕の顔と表情までを奪っていった。事故の瞬間、僕はトラックの下じきになり、頭が潰れた。鼻はひしゃげており、眉間に大きな窪みができた。右目は失明し、焦点が合っていない。頬の筋肉が上手く動かず、笑ったり泣いたりできない。生き残ったのは奇跡だという。そんな奇跡の子供だというのに、僕は奇跡はおろか、普通の人間として扱われた事がなかった。
 僕は大勢の身内の相談の末、施設に入れられることになった。ここで引き取ろうという人が一人も居なかったことから、前述した状態が明らかだ。僕はそこで五年と三ヶ月の歳月を過ごした。幸せだったかどうかも分からないような幼さだった。きっとそこでも、僕は孤独だったのだと思う。記憶の中に、誰かと笑ったりしていたというものが無かった。ただ一人で絵を描いたり、積み木を器用に組み立てていた。隣には誰もいなかった。
 僕はそこで初めて人を好きになるという事を知った。若い女の先生だ。名前を理沙といい、他の子供達にも慕われていた。髪は真っ黒なストレートで、瞳が大きい。他の事の記憶はおぼろげなのに、理沙先生の事だけは覚えていた。理沙先生に他の子供達がまとわりついているのを見ると、僕は腹が立った。組み立てていた三角の積み木を掴み、一人の子の背後に回り、尖った所で頭を殴った。その子は頭を抱えて地べたに倒れ、火がついたように泣き喚いた。他の子供達は突然の事に立ちすくんで動けないでいた。そして何が起こったのかを悟ると、僕や血まみれの子を指さし、泣いた。僕はそんな事には構わずに、理沙先生の膝に抱き付こうとした。僕は勝った。強い僕の方が、そこで赤ん坊みたいに泣き叫んでいる奴よりも可愛がってくれると思った。でも、理沙先生は僕を突き飛ばした。そして僕を怯えた瞳で見つめ、叫んだ。僕は泣かなかった。そのうちに他の先生が駆けつけ、理沙先生を慰め、僕が殴った子をどこかへ運んでいった。誰一人尻持ちをついている僕には、関心を向けなかった。何が何だか分からないうちに、僕はまた独りになった。

Re: 未確認生物 ( No.2 )
日時: 2009/12/12 20:33
名前: 秋桜 ◆AxS5kEGmew (ID: 4TjuuFmy)

第二話

 理沙先生は僕が何をやっても、僕に微笑んでくれることはなかった。理沙先生の視線はいつも僕を器用に避けていて、もし目が合ったなら、引きつった頬と怯えで満ちた瞳をうつむけた。あの事件が起こる前もそうで、事件が起こった後は余計にそうなった。理沙先生は僕の目をまともに見たことがなかった。皆大抵、僕の眉間にある大きな窪みに注目していた。
 僕は何とか理沙先生に笑顔を向けて欲しくて、理沙先生に喜んでもらえるような事を自分なりに一生懸命考えた。でも、その中で何一つ受け入れられた物はなくて、僕に与えられる物は理沙先生の恐怖に支配されている顔か、絶叫しかなかった。僕は大概、プレゼントを用意した。
 理沙先生が動物が好きだという事を知って、溝の近くを走り回っていた手のひらぐらいのネズミを捕まえた。ネズミの動き回る感触が、僕の中の理沙先生の喜ぶ様子とつながり、笑えなくなった顔の筋肉が少しだけ上に上がった。でも、その想像はあっけなく現実に壊されてしまった。
 忙しく動き回っていた理沙先生を呼びとめ、背伸びをして手の中のプレゼントを理沙先生の顔の前に近づけた。理沙先生は持っていた紙束をばさばさと落とし、いつかの僕みたいに尻持ちをついた。僕は不思議に思ってネズミを覗きこんだ。
 ネズミは死んでいた。早く理沙先生に渡したくて、渡すときの興奮で手のひらを硬く握り締めていた。心が必要以上に高ぶっていた僕は、手の中でネズミが握りつぶされていることに全く気づかなかったのだ。僕は理沙先生に喜んでもらえなかったものは必要がないと感じ、傍にあったゴミ箱にネズミを投げすてた。それを見た理沙先生は廊下に吐いてしまった。

保留

Re: 未確認生物 ( No.3 )
日時: 2009/12/13 11:08
名前: 秋桜 ◆AxS5kEGmew (ID: 4TjuuFmy)

第二話

 理沙先生は僕が何をやっても、僕に微笑んでくれることはなかった。理沙先生の視線はいつも僕を器用に避けていて、もし目が合ったなら、引きつった頬と怯えで満ちた瞳をうつむけた。あの事件が起こる前もそうで、事件が起こった後は余計にそうなった。理沙先生は僕の目をまともに見たことがなかった。皆大抵、僕の眉間にある大きな窪みに注目していた。
 僕は何とか理沙先生に笑顔を向けて欲しくて、理沙先生に喜んでもらえるような事を自分なりに一生懸命考えた。でも、その中で何一つ受け入れられた物はなくて、僕に与えられる物は理沙先生の恐怖に支配されている顔か、絶叫しかなかった。僕は大概、プレゼントを用意した。
 理沙先生が動物が好きだという事を知って、溝の近くを走り回っていた手のひらぐらいのネズミを捕まえた。ネズミの動き回る感触が、僕の中の理沙先生の喜ぶ様子とつながり、笑えなくなった顔の筋肉が少しだけ上に上がった。でも、その想像はあっけなく現実に壊されてしまった。
 忙しく動き回っていた理沙先生を呼びとめ、背伸びをして手の中のプレゼントを理沙先生の顔の前に近づけた。理沙先生は持っていた紙束をばさばさと落とし、いつかの僕みたいに尻持ちをついた。僕は不思議に思ってネズミを覗きこんだ。
 ネズミは死んでいた。早く理沙先生に渡したくて、渡すときの興奮で手のひらを硬く握り締めていた。心が必要以上に高ぶっていた僕は、手の中でネズミが握りつぶされていることに全く気づかなかったのだ。僕は理沙先生に喜んでもらえなかったものは必要がないと感じ、傍にあったゴミ箱にネズミを投げすてた。それを見た理沙先生は廊下に吐いてしまった。
 僕は理沙先生が心配で、理沙先生に近づいた。「大丈夫?」と尋ねたかったのに、僕の喉からは乾いた風の様な音しか出ない。
「あああ! 来ないでぇ」
 理沙先生は尻持ちをついたまま、後ずさった。理沙先生の視線は、僕の眉間にある窪みから離れられないでいて、来ないで、来ないでとつぶやきながら、泣き出してしまった。僕はどうする事も出来ずに、ただそこに立っているだけだ。そのうちに、教室の中から沢山の子供達が出てきて、この状態を不思議そうに見ていた。
「理、沙先……生」
 僕は出しにくかった声をやっと出して、理沙先生に呼びかけた。理沙先生は僕の乾いた声を聞いて、泣き声を大きくした。
「ごめんなさい……お願いだから来ないでぇ!」
 僕は理沙先生に謝ってもらいたかったわけじゃなくて、ただ僕のプレゼントを微笑みながら受け取って欲しかっただけだ。どうして謝るのかが分からなかった。外から入ってきた鳥の甲高い鳴き声が、僕の頭にぼんやりと響く。
 騒ぎに気づいた他の先生達が大きく足音を立てながら走ってきた。理沙先生の嘔吐を手早く片付け、理沙先生は別の先生に肩を支えてもらいながらふらふらと暗い廊下を歩いていった。僕は叱られなかった。それどころか、まるで先生達は僕なんて元々いないように、むしろわざと僕の存在を認めないようにしているみたいだった。

Re: 未確認生物 ( No.4 )
日時: 2009/12/13 11:11
名前: 秋桜 ◆AxS5kEGmew (ID: 4TjuuFmy)

修正 第二話

第二話

 理沙先生は僕が何をやっても、僕に微笑んでくれることはなかった。理沙先生の視線はいつも僕を器用に避けていて、もし目が合ったなら、引きつった頬と怯えで満ちた瞳をうつむけた。あの事件が起こる前もそうで、事件が起こった後は余計にそうなった。理沙先生は僕の目をまともに見たことがなかった。皆大抵、僕の眉間にある大きな窪みに注目していた。
 僕は何とか理沙先生に笑顔を向けて欲しくて、理沙先生に喜んでもらえるような事を自分なりに一生懸命考えた。でも、その中で何一つ受け入れられた物はなくて、僕に与えられる物は理沙先生の恐怖に支配されている顔か、絶叫しかなかった。僕は大概、プレゼントを用意した。
 理沙先生が動物が好きだという事を知って、溝の近くを走り回っていた手のひらぐらいのネズミを捕まえた。ネズミの動き回る感触が、僕の中の理沙先生の喜ぶ様子とつながり、笑えなくなった顔の筋肉が少しだけ上に上がった。でも、その想像はあっけなく現実に壊されてしまった。
 忙しく動き回っていた理沙先生を呼びとめ、背伸びをして手の中のプレゼントを理沙先生の顔の前に近づけた。理沙先生は持っていた紙束をばさばさと落とし、いつかの僕みたいに尻持ちをついた。僕は不思議に思ってネズミを覗きこんだ。
 ネズミは死んでいた。早く理沙先生に渡したくて、渡すときの興奮を想像し、手のひらを硬く握り締めていた。心が必要以上に高ぶっていた僕は、手の中でネズミが握りつぶされていることに全く気づかなかったのだ。僕は理沙先生に喜んでもらえなかったものは必要がないと感じ、傍にあったゴミ箱にネズミを投げすてた。それを見た理沙先生は廊下に吐いてしまった。
 僕は理沙先生が心配で、理沙先生に近づいた。「大丈夫?」と尋ねたかったのに、僕の喉からは乾いた風の様な音しか出ない。
「あああ! 来ないでぇ」
 理沙先生は尻持ちをついたまま、後ずさった。理沙先生の視線は、僕の眉間にある窪みから離れられないでいて、来ないで、来ないでとつぶやきながら、泣き出してしまった。僕はどうする事も出来ずに、ただそこに立っているだけだ。そのうちに、教室の中から沢山の子供達が出てきて、この状態を不思議そうに見ていた。
「理、沙先……生」
 僕は出しにくかった声をやっと出して、理沙先生に呼びかけた。理沙先生は僕の乾いた声を聞いて、泣き声を大きくした。
「ごめんなさい……お願いだから来ないでぇ!」
 僕は理沙先生に謝ってもらいたかったわけじゃなくて、ただ僕のプレゼントを微笑みながら受け取って欲しかっただけだ。どうして謝るのかが分からなかった。外から入ってきた鳥の甲高い鳴き声が、僕の頭にぼんやりと響く。
 騒ぎに気づいた他の先生達が大きく足音を立てながら走ってきた。理沙先生の嘔吐を手早く片付け、理沙先生は別の先生に肩を支えてもらいながらふらふらと暗い廊下を歩いていった。僕は叱られなかった。それどころか、まるで先生達は僕なんて元々いないように、むしろわざと僕の存在を認めないようにしているみたいだった。

Re: 未確認生物 ( No.5 )
日時: 2010/01/08 11:06
名前: リナ ◆MjEmszBjU6 (ID: .pUthb6u)
参照: http://yunayuukiyumi@yahoo.co.jp

かわいそう・・・。これからも応援してますね!


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