ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- *。___Bloody rose
- 日時: 2009/12/29 17:17
- 名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)
真っ暗闇の中を少女は駆ける
まるで、何かから逃げようとしているかのように
ただ、ひたすら走る
暗い雲の合間から月が静かに顔をだし
優しい光を大地になげかけ、全てを赤く染め上げる
少女は立ち止まり、空を見上げる
月の光に照らされて、その顔がちらりとのぞく
少女はどこへ向かう……
過去?未来?それとも————
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*ご挨拶+
クリックありがとうございます〜☆
私を知ってる方も、初めましての方もこんにちは((^●*
またまた消えました・・・。てことで書き直します☆
この小説は二作目です。
何で一作目も完結していない私が書いているんでしょうかッ!?
という疑問は置いといて・・・。
ご意見、ご感想いただければうれしいです☆
一生懸命書くので、暖かい目でご覧ください((`o*
あ、「Crimson World———紅」の方もよろしくです☆((←宣伝!?
。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。o°o。
†…◆C o n t e n t s◆…†
*。C a s t >>5
*。Ⅰ 伝説 >>1
*。Ⅱ 夢想村 >>2
*。Ⅲ 異例 >>3
*。Ⅳ 定め >>4
*。Ⅴ 家族の気持ち >>6
*。Ⅵ 叶わぬ願い >>7
†…◆お客様◆…†
[No,1] さい様。* [No,11]ライガ様。*
[No,2] 瑠希様。* [No,12]秋様。*
[No,3] b'`*) ノ桜姫°*様。*
[No,4] くまごろう様。*
[No,5] 藍羽様
[No,6] あひる様
[No,7] nanashi様
[No,8] 紗莉也様。*
[No,9] 鈴様
[No,10] 黒翼様
- Re: *。___Bloody rose ( No.1 )
- 日時: 2009/12/12 10:43
- 名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)
*。Ⅰ伝説
「薔薇」
それは、美しきもの————
まさにその少女は、薔薇のようであった————
深い、深い森の奥にいると言われている少女。
「綺麗な薔薇には棘がある」と言うが、少女に棘などなかった。
少女はどこまでも美しくあった……。
雪のような白い肌に薔薇色の頬。
今、その少女を知る者はいない。正確には、”もう”いない。
もちろん、そこにいるあなたも彼女を知らないはず……。
どこからか、噂をきいた者は少女を探した。
しかし森に入ればなぜか堂々巡りしてしまい、その者は二度と帰ってはこない……。
「一年に一度、満月の夜。月紅く輝き、全てを染める。
その時扉開かれ、薔薇咲き乱れん。
少女、開かれし扉の向こうにて待つ」
少女の住むと言われるルージュの森にまつわる伝説だ。
少女の名は、誰も知らない。そして人々は伝説から、少女をこう呼ぶ。
「Rose」と—————
- Re: *。___Bloody rose ( No.2 )
- 日時: 2009/12/12 10:46
- 名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)
*。Ⅱ 選ばれし者
ここは、ルージュの森の入り口である村。名は、[夢想村]
この村には、約60人程の人々が暮らしている。
今村の住民は、徐々に減りつつあった。それには、ルージュの森が関係している。
夢想村では一年に一度十五夜の夜、選ばれた一人が森へ入る。
ルージュの森へ捧げるために……。
これは、何百年も前から続いている儀式。捧げなければ……どうなるかはわからない。
過去に一度あったようだが、古文書ではその部分だけが破りとられていた。
選ばれるのは老若男女を問わず、ある年はよぼよぼのお爺さんであったり、
ある時は小さな子供であったりした。
そして、それがどんな人物であろうとも、二度と村にその姿を現すことはなかった。
選ばれることを恐れた者は村を出ていき、選ばれることを誇りと思う者だけが残された。
今年もまた、その者が選ばれる。
男かもしれない、女かもしれない、老人かもしれない、子供かもしれない。
今、これを読んでいるあなたという可能性も勿論あるが……。
さあ、選ばれるのは……誰?
- Re: *。___Bloody rose ( No.3 )
- 日時: 2009/12/12 10:47
- 名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)
*。Ⅲ 異例
シャン________シャン________
静寂の中に、鈴の音が響きわたる。
夢想村の神社の境内で、一人の老女が鈴を手に、舞う。
気のせいか、その姿は暗闇の中で、ぼんやりと光ってみえた。そばには男が一人、座っている。
「いかがですか?大婆様」
男が問いかけると、[大婆様]と呼ばれた老女は眉間にしわを寄せた。
そしてその目をぱっと開き、それと同時に大声をあげた。
「見えた!!」
老女はそのままぴくりともせず、再び瞳を閉ざした。
「お告げじゃ……。選ばれし者が……。これは、異例じゃ……」
「どうされたのですか?」
男が落ち着いた声で訊いた。それに老女は口を開く。
「選ばれし者が……三人……」
「三人!?」
男は驚愕し、それを顔に表した。 老女は静かに言葉を紡ぎだす。
「一人目は、[星幻雫(ホシ カンナ)]
村外れに母親と二人暮らししておる十四才の少女じゃ」
「星、幻雫」
男が繰り返し、老女は頷いた。そして、二人目の名を口にする。
「二人目は、[飛翔叶夜(ヒショウ キョウヤ)]十四才。
あの、宿屋の子じゃ」
「叶夜なら存じております」
男は苦しそうに眉をひそめた。
村の者達にとって、この儀式に選ばれることは、“死”を意味するのだから。
「三人目は……[桜桃杏樹(ユスラ アンジュ)]
そなたの娘じゃ。流よ」
「杏樹が!?」
男は大声をあげて立ち上がりかけ……やめた。老女も、悲しそうな顔をしていたからだ。
男はあきらめたように座ると、姿勢を正した。
「では、伝えに行って参ります」
「ああ……。私は疲れた。しばし休むとしよう」
老女はそう言うと、部屋の奥に静かに消えていった。
男もそれを見届けてから立ち上がり、その場を去った。
明日は満月。一年に一度の十五夜の日。
その予兆のように月は異常なほど明るく光り、村全体を包みこむ。
男はそれを見上げて何か考えこむと、再び前を見据え、足を進めた。
- Re: *。___Bloody rose ( No.4 )
- 日時: 2009/12/12 10:47
- 名前: (( `o*架凛 ◆eLv4l0AA9E (ID: 81HzK4GC)
*。Ⅳ 「定め」
コンコン——コンコン——
杏の父、桜桃流は[星]と表札のさがった村外れの小屋の戸をたたいた。
「はーい」という声がして、しばらくすると、一人の少女が扉を開けた。
「何か御用ですか?」
大婆様の言う通り、十四才くらいであろう。
まだ少しあどけなさの残る顔をしている。
「はい。そうですが……」
幻雫は怪訝そうな顔をして流を見た。
自分を見つめる透き通った青い瞳を見て、流は少し躊躇したが、それを伝える。
「明日は……十五夜ですね」
それを聞いた幻雫ははっとして、見る見るうちに顔が青ざめていった。
十五夜、その言葉が意味するものは、あの儀式。
幻雫はそれを一瞬にして理解したのであろう。
「詳しいことは中でお話したいのですが」
流が言うと、幻雫は茶色がかった髪をゆらし、中へと招きいれた。
小屋の中には部屋が二部屋しかなく、相当貧乏なのだと言うことが見てとれる。
案内された方の部屋には布団がひかれていた。
「お母さん、お客様だよ」
少女は横になる母へと声をかけた。
幻雫の母は重い病をわずらっていて、ほとんど寝たきりなのだ。
「幻雫さんのお母様ですね」
流は重々しい口調で告げる。
「明日の十五夜に……幻雫さんが選ばれたのです」
単純に、明確に、事実だけを伝える。
それが、この役目を果たしてきて、流が得た答えだった。
余計な哀れみなどの感情はいらない。自分はただ伝えるだけ。
ただそれだけ。実に嫌な役目だ。
選ばれし者に死の宣告をする……死神のようなものだ。
「そうですか……」
幻雫の母は小さく言った。その言葉に、感情はこめられていなかった。
「あの、私がいなくなったら、母さんはどうなるのですか!?」
幻雫は必死に問う。自分のことなど考えずに。
「大丈夫。君のお母さんのことはまかせていい」
流は力強く言った。選ばれた者のために、自分にできる限りのことをしようと思った。
幻雫は少しほっとしたような顔をした。
自分のことよりも母のことを心配する……心の優しい子なのだろう。
「それより、今回の儀式なのだが……。
選ばれたのは幻雫さんだけではないのです」
この言葉を聞いた幻雫とその母は、驚愕の表情をした。
「幻雫だけではないのですか……?」
幻雫の母が驚いた表情のまま流に問う。
幻雫は信じられないとでも言うように口をぽかんと開いたままぴくりともしない。
「なぜかはわからないのですが、大婆様のお告げでは、三人の者が選ばれたというのです。
あとの二人とは、明日森へ行く時に顔を合わせるでしょう。
では明日の夜、森前の広場で待っています」
流はそう言うと、出て行った。 幻雫はただただ呆然としていた。
まさか自分が選ばれるなんて……考えたこともなかった。
こんなに簡単に、日常は崩れさってしまうものだなんて、知らなかった。
「幻雫、よく聞きなさい」
幻雫の母は静かな声で言う。
幻雫は真剣な顔になり、耳を傾けた。
「これは……定めです。この村に住んでいる以上、避けられぬものなのです。
これまで、それを覚悟の上で暮らしてきたでしょう。
私のことは気にしないで。あなたはお行きなさい」
幻雫はその言葉を聞き、母に抱きついた。胸に顔をおしつけ、鳴咽をもらす。
母は……そんな幻雫を強く、強く抱きしめた。その頬を涙が一筋、静かに伝った。
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