ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 白羽サンのお悩み。
- 日時: 2009/12/12 11:01
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
ギャグっぽいのかなぁ。シリアスあり、ギャグありになってると嬉しいんですが。
■登場人物■
西崎リク(ニシザキ_)
16歳 白羽さんに出会ってから振り回されている作中数少ない常識人でもあり、つっこみ役。
七草緋色
16歳 リクとは親友。名前の音程が似ており、トウカから「ヒーロー」と呼ばれている。突っ込み担当を引き継ぐ事もある。
白羽トウカ(シラハネ_)
16歳 年齢の割りには精神年齢が子供。数々の『お悩み』をお抱え中。そのどーでもいいお悩みを抱えているため、ストレスで髪が白い。
柏木京
16歳 超ド天然で何がしたいのか周りの人にも理解不能な言動・行動を起こす。自称「予知能力者」らしい。
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- Re: 白羽サンのお悩み。 ( No.1 )
- 日時: 2009/12/12 11:55
- 名前: 朝倉疾風 (ID: VZEtILIi)
…序曲…
何が、どうして自分が、一億なんぼ分の一の確率でどうして自分なのか、全く持って理解できない。
でも、それはとある『偶然』から始まったんだろうね。でなきゃ説明しがたい。
ホントに、偶然。
僕らと彼女が出会ったのは、ホントに偶然だったんだ。
高校に無事、親友の七草緋色と共に合格して、早一ヶ月と二週間。
五月の空は今日も晴れ晴れだが、こちらは何とも形容詞しがたい表情だ。
「はーぁ。なんつーんだろうな。こーゆーの」
「アレでしょ?『パシリがいないから、適当にパシリに向いてる奴を見つけて、それなりにパシらせて最終的に本格的なパシリ組に認定されて永遠に卒業までパシらせられる』ってオチでしょ?」
「あーねー」
僕の古文よりも長い説明を緋色が納得気味に頷く。
時は昼休み、なんて那須野与一の冒頭みてーな事は言わないけど、この五月にしては暑い時期、僕らはパシらされていた。
片手に財布、もう片手にビニール袋を持って。中にはジュースが三本とパン六つ。
「これ続くとかマジ勘弁なんすけどー」
「なーんであんなのに目ぇつけられちゃったんだろうね」
「あーだりぃ。不登校になりてー」
同感だ。何で僕らがあんなボンボンにパシられなきゃいけないんだ。
「わーっはっはっは。遅いぞ、お前ら!」
うげ。校門前でなんか構えてるんすけど。
校内でなんか『2番目』にお金持ちだとかほざいている、成績優秀の金下元樹くん。
僕らと同じクラスで、自慢ばっかしていて、正直女子から『気持ち悪い』と思われている男子№1だ。
どうしてこんなにも自分に自信がもてるのか、サッパリわからない。バカ?バカだろ。
脳みそ傾いてんじゃねーの?
「んで、焼ソバパン三つとアンパン三つ買って来たんだろうなぁっ!」
「早くよこせよーっ」
取り巻きの二人組A君とB君がビニール袋をひったくる。名前忘れた。つーか最初から覚えてねーし。
「あのー、いい加減やめて頂きたいなーと思うんですけど」
緋色が右手を軽く挙手して言い出した。いいぞ、緋色。
「あぁ?やーだねぇ。お前ら、僕を差し置いて女子にモテやがって、目障りなんだよっ!」
……。早く、帰りたいなぁ。
遠い目で明後日を見る。現実逃避中だ。
「中学の頃は僕が人気あったのにっ」親の権力振り回してただけだろーが「何でお前らが女子にモテるんだッ!」お前よりかは俺、自分に自信あるけど。
「あー、つまりは、アレでしょ?『逆恨み』っしょ?」
見かねてそう言ってみた。
金下の顔が怒りで真っ赤になる。焼かれてろ、タコ。
「うるせぇっ!お前らなんかのどっこがいいのかサッパリわからんっ!あいつら目ぇ悪いんじゃねぇのかよっ!」
「そーですよ、金下さんっ」「金下さんの方が、こんな奴らより、何億倍もいーですって!」
明らかに大げさな褒め言葉。
「っつー事で、俺らこれで」「んじゃ」
「あ、待て!待てぇぇぇっ!!」
五月蝿い金下から逃げ(あの後校社内を追いかけられ、マラソン大会並の汗をかいた)、もう授業を受ける気にもなれず、屋上でサボるという結果に落ち着いた。
「はー、もうダメだ。リク、おぶって?」
「僕も足いってーんだよ。はぁ、屋上への階段が遠いぃぃぃぃぃぃっ」
緋色に引っ張られながら屋上へ。
その冷たいドアノブを回し、戸を開ける。
「あ」「?」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
最初に声をあげたのは、僕。そして首を傾げたのが緋色。無言で、目を大きく見開いたのは先客の女子だった。
髪が、白い。
それにまず驚いた。
ばーさんかと思って、もしやこれは天国への階段なのかと一瞬疑ったが、女の子だった。
「まさか」
先に口を開いたのは、女の子。
そして、
「うきゃああああああああああああああああっ」
ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!!
走ってきた!突進!抱きつかれる!うわ、やべぇっ。
倒れ、るっ!
「いってぇぇっ!」「トウカの救世主うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!」
頭打った!★が見えるっ、やっべー僕死ぬのか!?
かすかに…視界が……っ、
「…………お二人さん、何やってんの?」
「緋色っ!この子どけてくれよっ!」
べりっと音がしそうな勢いで、緋色が謎の少女を引っ張る。
「ぬぬっ!?あなたも救世主さまっ!?」
スルー。
「大丈夫か、リク」「頭、うった……」「ご愁傷様。さぁ、授業をサボろうとしたから罰が下ったんだよ。大人しく授業受けに戻ろうぜ」「おう」
「ちょい、待って!救世主さま、トウカの悩みをどーか聞いてくださいませーっっ!」
できれば聞きたくないっ!
白髪だしっ!
「あの…………何、その髪の色」
とりあえずそこを聞いてみた。
「ストレスですっ!もう悩みすぎて悩みすぎて、何が何だかわかんくなり、終いにはハゲる事態も起きてだなぁっ、もう悩み警報なりっぱなしっ!」
また変なのきたよー。
緋色が呆れ顔で関わりたくないって顔してる。
「……その悩みって何?」
「トウカって、体重、超増えてるんだよっっ!!」
…今までの成立しているのかよくわからない会話から、『トウカ』はこの子だとわかる。
「た、体重?」
そうか?さっき上に倒れてきたけど、軽かったし。
見た感じ華奢だから、別にいーんじゃねぇか?
「身長が155センチに対して、体重が40キログラムなんだよっ!?太い!?」
「それ、太ってる人にフツーに失礼だと思う発言」
「そ、そうかな!?でも、でもねっ!まだあるんだよっ!悩みがっ!いーっぱいっっ」
あぁ、もう。何で変なのに引っかかるんだ。
「言ってみろよ」
緋色が横から声をかける。こくりと頷き、『トウカ』がすぅっと息を吸い込む。
「髪の毛がなかなか伸びない、食べ物の好き嫌いが激しすぎる、部屋が汚い、寝癖がいっつもなおらない、ストレスで髪が白髪になった、リコーダーが上手く吹けない、超不器用、早口言葉ができない、勉強がダメダメ、お箸と鉛筆の持ち方がわかんない、胸がちっちゃい、犬が買いたい、学校に行きたくない、全39巻の漫画がなかなか集まらない、お小遣いがなくなった、世界を征服したい、サーカスに行ってみたい、足の爪が汚い、視力が悪い、暗所恐怖症、高所恐怖所、閉所恐怖症、なんか無駄に悩みが多い、暇な時がほしい、あとそれと」
「「ストップッッ!!」」
途中二回ほど呼吸を整え、それでもまだ続きそうな為止めた。
なんか絶対に叶えられない悩みとかもあったし。
「一体どこをどーしたらそんな悩みがザックザク出てくるんだよっ!」
「ふわぁっ!それも悩みだぁぁぁっ」
「阿呆!どれか消去しろっ!」
「無理無理無理っ!何言ってんの、それができないんじゃあんっ!あ、それも悩みだぁぁぁぁっ」
「何だよ、お前っっ!!」
緋色とトウカのやり取りを聞いて、お茶の間の漫才みたいだーと呑気に思ってしまった。
「行こうぜ、リク」
「あーっ、待ってっ!!悩みをきいて〜!!」
「もう聞いただろっ!」
「あんなの序の口だよ!?一日十個の割合で悩みがどんどん増えていくんだよぉっ!?」
「何個あんだよっっ!」
「計算できな〜い、それも悩みだぁぁぁぁっっ(泣」
この子、どこか変なんだろうか。
超ネガティブ嗜好、ではないけれど悩みが多すぎる。
単なるバカ?
いかにもバカっぽいけど。
「離せ、このド阿呆!」「困っている人を助けるのがヒーローでしょおっ!?」「俺はスーパーマンでもバッドマンでもねぇよっ!」
ん?『ヒーロー』?
「ねぇ、緋色」「んだよ、リクっ!」「緋色って、『ひいろ』だから、『ヒーロー』じゃない?」
伝わったかな?
緋色の顔は青ざめていく。対してトウカは満面の笑顔。
「ホントだっ!ヒーローだっ!」
「おまっ……リクぅっ!!てっめー殺ぞっ!」
「殺さないで。いや、ホントに」
「ヒーローっ♪ん?じゃあ、ヒーローといるキミもヒーロー!?」
「え?……ううん。僕はただの一般市民だけど」
「そっかぁ」
「いいやっ!こいつもヒーローの助手だっ!」
「うわぁ、何言っちゃてるわけ?その年でヒーローとかまじありえなくね?」
「てめーが言い出したんだろうがっ!」
ホントに、これは偶然だった。
トウカと出会ったのも、これから襲い掛かるしょーもない悩みも、全て。
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