ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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鉄パイプと彼女
日時: 2009/12/18 21:22
名前: M (ID: 0a987INq)

——序章

血に濡れた鉄パイプをただ握りしめる。
彼女の横顔に表情はなかった。
ただ虚空を見つめ呆然と立ち尽くしている。

彼女が見るのはこの世のなれの果てなのか。


それはまだ誰にもわからない。


***

こんばんは。Mと申します。
小説を書くのは初めてではないですが下手です;
温かい目で見守ってやってください^^;




登場人物 >>1
第一話 >>2
第二話 >>3
第三話 >>4
第四話 >>5
第五話 >>6

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Re: 鉄パイプと彼女 ( No.2 )
日時: 2009/12/16 22:01
名前: M (ID: gpPx10DG)

第一話

いつからだっただろう。
私が鉄パイプを握るようになったのは。

冷たくて、硬くて、長くて・・・
決して私のような人間が持つものではないのに。
気づけば私は握っていた。
気づけば私は振りかざしていた。


気づけば私は・・・・人を殺していた。









「はっ!・・・・夢、か」
彼女、一之瀬環は暗い路地で目を覚ました。
彼女に家はない。
最近は人目のつかない路地裏か空家を勝手に使って暮らしている。
昨日は資金を稼ぐためにある財閥の屋敷を襲った。
そのため疲れて眠ってしまったのだ。

「ひとまず出かけよう」
環は起き上がりよろよろと歩きだす。
手には銀色の鉄パイプを持って———

Re: 鉄パイプと彼女 ( No.3 )
日時: 2009/12/16 22:12
名前: M (ID: gpPx10DG)

第二話

彼女の姿は平和な町では浮いていた。
まわりの目が痛いが最近では慣れてしまった。

「お腹空いた・・・・・」
腹を抑えながら途方に暮れる環。
しかしまわりの人間は彼女を人目見るだけで離れて行ってしまう。
まぁ当たり前なのだが。
環の服のポケットの中にはかなりの大金が入っている。
ひとまずその金で腹を満たすことにした。




「いらっしゃい」
少し古びたラーメン屋に入ると中には愛想の良さそうな中年の親父がいた。
「おぉ、こりゃぁめずらしいお客さんだなぁ」
「何でですか?」
「いやぁ、最近はお譲ちゃんみたいな若い女の子は来ないからなぁ」
色気がなくてなぁ、と笑ってみせる。
「へぇー・・・。ていうか誰か来ましたけど」
「え?あ!またおめぇか!!」

いきなり声を荒げる店長に少し驚く環。
店に入ってきたのは環と同い年くらいの青年だった。

Re: 鉄パイプと彼女 ( No.4 )
日時: 2009/12/17 22:06
名前: M (ID: nC4FdBJT)

第三話

その青年は人懐っこい笑顔を浮かべて環の隣に座った。
「まぁまぁそう怒るなって。別に食い逃げしてるわけじゃねぇだろ?」
包丁片手に小刻みに震えて怒りを露わにしている店長を見て青年は笑いながら言った。
「そんなことは問題じゃねぇ!お前がいると客が全く来なくなるんだよ!」
「はいはい。でもそれは俺にも解決できない問題だ。一体俺の何がいけないんだろうねぇ、お譲さん?」
「え!?」
いきなり話を振られた環は挙動不審になった。
その様子を見て青年はまた笑う。

「あー、いきなり悪いな。俺の名前は天霧総一。ちょいとここら辺では有名なんだがー・・・知らないよな?」
「初めて、知った・・・・」
「そか」
ならいいんだ、と笑い適当にラーメンを注文する。
何故かわからないけど、環は総一から目を離すことができなかった。
彼が不思議な存在に見えて・・・・・





「お、店長、また客だぜ?」
その時、店のドアが乱暴に開かれた。
「だから来るなって言ったんだ!おい、店閉めるから早く出ろ。お譲ちゃん、すまねぇな。今日のとこは大人しく帰ってくれや」
何が何やらわけのわからない環に総一は笑いかけた。
「ここはお譲さんの出る幕じゃねぇよ?」
「この人たちは・・・・?」
目の前には黒服を着た集団。
その中心には鋭い眼をした男が立っていた。




「さぁ、大人しく俺に殺されな。一之瀬環」

Re: 鉄パイプと彼女 ( No.5 )
日時: 2009/12/17 22:22
名前: M (ID: nC4FdBJT)

第四話

「えーっと・・・・」
総一は頭をかきながら戸惑っている。
「つまりコイツらはお譲さんに用があるのか?」
「そう、みたい・・・・でも、誰?」
「そうか。あん時のお前はまだ赤ん坊だったからなぁ。覚えてねぇのも仕方ねぇ」
男は集団の一歩前に出て余裕の笑みを浮かべている。
「お前の母親、一之瀬和葉はどうやって死んだんだっけなぁ?」
「!!」
環の顔色が一変した。
「確か・・・銃殺だったっけかぁ?何度も何度も撃たれて・・・」
「なんでお前がその事を知っている!?」
「おい、お譲さん・・・?」
環は鉄パイプを握りしめる。
その様子を見て総一は唖然としていた。
「なんでってお前・・・俺がそいつを殺した張本人だからに決まってんだろぉ!?」
「!!!!!!」

ほんの一瞬だった。
環は男に鉄パイプを振りかざしていた。
しかし鉄パイプは総一の手によって上空で止められた。
「っ・・・!離して!あたしはっ、コイツを殴らないと・・・・殺さないとっ・・・!!!」
「それはダメだ!」
総一が叫ぶ。
男はこの事態を予想していたかのように後ずさる。
まだその顔には余裕が見られた。
「なんで怒るんだ?お前は確かにその場にいたが記憶はねぇだろ?」
「アンタのしたことはそれだけじゃない!!お母さんを殺した後、アンタはあたしの町を襲った!今だってまだ支配しているのに・・・」

環は総一の腕を振り払いもう一度鉄パイプを強く握りしめた。

「まぁ、今日はほんの挨拶だ。俺は帰るとするぜ。じゃあなぁ」
男は集団を引き連れ歩きだす。
「あぁ、言い忘れてた。俺の名前は、海だ」
そう言い残すと海はいなくなってしまった。

Re: 鉄パイプと彼女 ( No.6 )
日時: 2009/12/18 21:20
名前: M (ID: 0a987INq)

第五話

「今のは何者なんだ?なんか訳ありっぽいけど」
海たちが去った後、総一は床に座り込む環のそばに駆け寄った。
環の呼吸は完全に乱れていて表情も厳しかった。
「なぁ、お前ただのお譲じゃねぇよな。何があったんだ?俺に話してくれないか?」
「聞かないほうがいいっ・・・」
「何でだよ。俺だったらお前の力になれるはずだ」
「余計なことしないで!これ以上あたしに関わらないで!」
環は総一の手を振り払った。
荒い呼吸を続けながら言葉を紡ぐ。
「あたしに関わったら・・・絶対あなたは後悔するっ・・・。自分を殺すことになる!」
「そんなのわかんねぇだろ!」
総一は環の両肩をつかんだ。
「俺はお前と会ってまだ数分しか経ってないけどよ、それでもわかるんだ。苦しんでることぐらい」
「どうして・・・・?」
「そんなのっ・・・」

総一は顔を赤くしながら言った。


「お前のことが好きだからに決まってんだろ!」
「!?」
「名前もまだ知らない。だけど、好きなんだ。一目惚れなんだ。迷惑だって、お節介だってわかってる。でも惚れたもんは仕方ねぇだろ?勝手に付き合わせてくれよ」
「意味、わかんないっ/////」

そう言った環の顔もわずかに紅潮していた。



「なぁ、名前教えてくれよ」
「・・・・・・一之瀬環」
「そっか。よろしくな、環!!」
「もう行く!!」
「えぇっっ!?」

環は顔を赤らめながら歩き出した。


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